新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により、多くの企業が従業員の在宅勤務を認めることになった。その場合に問題となるのが、紙の書類を使った作業だ。その作業のためだけに従業員を出社させる代わりに、その作業をどうすれば社外からでも可能にできるかを企業は考える必要がある。
このような作業の1つに契約締結がある。そこで、これまでのように紙の契約書を使う代わりに、場所に縛られずに作業を完了させることを目的として、電子契約を急遽導入した企業もあるだろう。
ここでは、企業が電子契約の導入を考えた場合、そのメリット、サービスを選ぶ場合のポイント、どのような準備をすべきかなどについて、契約ライフサイクルマネジメント(Contract Lifecycle Management:CLM)システムを提供するHolmesの代表取締役 最高経営責任者(CEO)笹原健太氏に話を聞いた。
トップのコミットが必要
――まず、電子契約導入によるメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。場所を選ばずということがあるとは思いますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
笹原健太氏
提供:Holmes
そうですね、まさに場所のところがあるとは思いつつも、旧来の紙の契約と押印というポイントに絞った時、ハンコだけが変わっても何か大きく変わるかというと、恐らくそうではないでしょう。一連の契約手続きを同じシステム上でできるようになる可能性が広がる方が大きいと思います。契約は、ハンコだけだとそんなに大した手続きではありません。
契約と言うのは、契約書を作成したり、内部的に承認を得たり、締結時にハンコを押したり、その後に契約管理業務をしたりとか、そういったところのツールが今までバラバラだったと思います。そのあたりが同じ場所でできるようになる可能性があるのが大きいと思います。ハンコのところは、そのための第一歩なのかなと思います。
今はリモートみたいなものは確かに注目されていますし、リモートの流れは今後も一定あるとは思います。ですが、アフターコロナになった時、リモートでできるかどうかというのは、そこまで大きなことではありません。
契約に関する既存の顧客や検討中の企業とかでも、リモートのためにというのはあまりありません。もちろん、きっかけとしてはあったと思います。システム導入とかデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていこうというきっかけとしてはあったかもしれません。ですが、リモートができれば何でも良いというのはあまりありません。
実際には、さまざまな点を効率化したい、適切な契約管理をしたいということになります。いわゆるコンプライアンスのようなものを含めて「じゃあ、これを機にしっかりやっていこう」とかですね。そのような流れの方が本質的な気がします。