2.5GbE化でNASはどこまで速くなる!? 自宅のデスクまわりでマルチギガ環境を構築 【テレワークグッズ・ミニレビュー 第45回】

INTERNET Watch

2.5GbE対応のアイ・オー・データ機器のLAN DISKはどこまで速くなるのか? 検証してみた

 以前紹介したとおり、我が家ではアイ・オー・データ機器の2ベイNAS LAN DISK「HDL2-AAX4E」を導入した。それ以降は写真データなど基本的にNASに保存しているので、PCのストレージ容量も圧迫しないし、複数のPCでのデータ共有に悩むこともなくなった。ただ、問題もあって、写真データをセレクトしたりレタッチしたりする作業が、ローカルに入れていたときに比べて少し遅くなったように感じる。また、動画のちょっとした編集もうまく行かなかったりするので、そういう場合は一度ローカルにコピーして作業するスタイルになっている。

 前回の検証ではギガビット接続での限界近くまでの速度が出せていた。しかしこのNAS、本当は2.5GbEでの接続に対応しているので、実力はこんなもんじゃないんじゃないハズ。2.5GbE接続の速度を体験してみたいぃぃぃ~!! という欲望がわき上がってしまった。ということで今回はデスクまわりのネットワーク環境を2.5GbE対応にしてNASの性能を最大限に引き出すべく挑戦してみた。

テレワークが定着した昨今、INTERNET Watchの編集部員も、それぞれのテレワーク環境を改善すべく工夫を凝らしている。この連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介。今回は、2.5GbE対応NASの性能を引き出すべくネットワーク環境改善の模様をお届けする。

個人利用でも手が出しやすい2.5GbE

 長らくギガビットが主流だった有線LAN環境だが、ここに来て2.5GbE対応製品が増えてきている。もちろん10GbEや5GbEというのもすでに実用化されているものの、機材がまだまだ高価な上に、ケーブルもCAT6(10GはCAT6A)以上が必要。築6年の我が家の場合、宅内LANは配線されているもののCAT5eで、5Gや10Gには対応できない。ちょっとくやしくもあるが、当時はまさか数年後に在宅ワークが普通になるとは思ってもいなかった。今思えばこちらの記事のように空配管にしておけばよかった。

我が家の宅内LAN。6年前に建てた家なので据え付けでLAN配線が来ているがCAT5e。たった6年前だが、当時の家庭用といえばCAT5eで十分だと思っていた

 しかし、2.5GbEならCAT5e以上で対応可能だ。NASやネットワーク機器を始め、個人ユースでも使えそうな価格のものがそろい始めている。まずはデスクまわりに限定すれば、手も出しやすそうだ。

 ということで調べてみる。まず我が家のノートPC2台は、どちらも2.5GbEには対応していないので、USB接続タイプの2.5GbE対応有線LANアダプターが必要になる。そして同じく2.5GbE対応のスイッチングハブだ。

 調べてみると有線LANアダプターはUSB TypeーAのものやUSB TypeーCのものがあり、価格は3000円~5000円台というところ。そして2.5GbE対応のスイッチングハブは5ポートでも1万円台半ばのものがほとんどだ。

 そんな中、唯一実売価格で1万円を切った(記事執筆時)のがプラネックスの5ポートモデルだ。8ポートのモデルもラインアップされていて、そちらでも実売で1万5000円を切る価格(こちらも記事執筆時)。今回は仕事のデスクまわりだけなので、5ポートのハブで足りるが、その内、8ポートも使って家中のスイッチングハブを2.5GbE化してみたい欲望がわいてくる。

 というわけでそろえたのが、プラネックスの5ポート 2.5GBASE-T スイッチングハブ「FX2G-05EM」と、有線LANアダプターも同じくプラネックスで、USB Type-Aの「USB-LAN2500R」と、USB Type-Cの「USBC-LAN2500R」だ。2種類用意したのは、筆者が自宅用と持ち歩き用で2台のPCを使い分けているため。せっかくならType-A用とType-C用の両方を試してみようと思った。

プラネックスのスイッチングハブと有線LANアダプターを用意した

理論上は2.5倍! のハズだが……

 ということで繋いでみる。配線自体は特別な事はないが、有線LANアダプターについてはドライバーが必要になるので、接続する前にプラネックスのサイトからドライバーをダウンロードしてインストールする必要があった。

 そして実測!! CrystalDiskMarkを使って、2台のノートPCにそれぞれUSB-LAN2500RとUSBC-LAN2500Rを接続し、2.5GbEで接続した場合と、PC本体のLANポート(ギガビット)に接続した場合で計測する。スイッチングハブはどちらもFX2G-05EMを使っている。もちろん相手は2.5GbEに対応したNASだ。

比較結果(USB-LAN2500Rの場合)

Thinkpad T540pで本体のギガビットLANポート(1GbE)を使った結果(左)とUSB-LAN2500R(2.5GbE)を使った結果(右)

比較結果(USBC-LAN2500Rの場合)

Thinkpad T480sで本体のギガビットLANポート(1GbE)を使った結果(左)とUSBC-LAN2500R(2.5GbE)を使った結果(右)

 結果はごらんの通り。ギガビットでもシーケンシャルリードで110MB/sを超えており、ギガビットとしては目いっぱいの性能が出ている印象。それが2.5GbEになると160MB/sを超えてくる。理論上では2.5倍になって欲しいところだが、そうならないのはNASに搭載されているHDDの速度やCPU、メモリーなどの問題なのかもしれない。

 またリードでは1.5倍程度の向上が見られたがライトでは若干の向上にとどまった。やはりネットワークではなくHDD書き込み速度などがボトルネックになっていると思われる。

 では意味がないかというとそんなことは全然ない。例えばNASから動画データをローカルに落とす場合なんかも、今までより圧倒的に速くなっている。容量が大きいとそれだけ明確に時間の差になって表れるので、結構快適だ。

 筆者の場合、NASの主な利用目的は写真の保存で、仕事で撮影した大量の写真の保存先としている。そこからAdobeのLightroomを使って実際に使う写真を選ぶのだが、NASに写真のデータを置くようになってから、この作業で若干遅さを感じる機会があった。特にサムネールの中から写真を選んで表示させたり、さらに原寸まで拡大させたりするときに、数秒レベルではあるが動作が止まったような待ち時間が発生する。

 その待ち時間が、2.5GbEにするとほとんど発生しなくなった。もちろんローカルのSSDに保存してある写真を選ぶのと比べれば若干遅さは感じるのだが、ストレスになるほどではない。

 写真をたくさん選ぶ時は、一度ローカルにコピーし直したほうがストレスがないかな? などと悩んでいたが、これだけ快適ならNAS上で作業して問題ないレベルだと感じている。

 もちろんバックアップソフトを使ってローカルからNASに自動バックアップさせるといった方法も考えたのだが、データが2カ所にあると、それはそれで面倒な部分もあるので、写真データはNASに一括で保存できるのは快適だ。

 たまに動画の編集をするのだが、その場合は一度ローカルに置いた方が効率がよいのでそうしているが、その場合も、ローカルへのデータコピーが速くなった。動画データは1本でもファイルが重いので、1.5倍でもその差は大きい。

 ちなみに、多くのレビューでも書かれているが、有線LANアダプターは使っているとけっこう熱くなる。特に小型のUSB-LAN2500Rの方が顕著で、本体全体的にけっこう熱くなる。一方のUSBC-LAN2500Rはというと、場所によってはUSB-LAN2500Rと同じぐらい熱くなるところもあるが、ケースが大きいこともあって、全体的には温度が低い。外側が熱くなるということは放熱できているという意味でもあるので、どちらがよいのか一概には言えないが、熱がこもりやすいような場所に置いて使うのは避けた方がよさそうだ。

おまけ:USB-LAN2500RでSynologyのNASが2.5GbEになる!?

 実は今回執筆にあたっていろいろと調べていた中で、USB-LAN2500Rの意外な使い方を発見した。それがSynologyのNASにつないで使うというもの。といっても今回のようなつなぎ方ではなく、SynologyのNASのUSBポートにUSB-LAN2500Rを接続することで、2.5GbE非対応のNASを2.5GbE化できるというもの。

 ただし、Synologyでもプラネックスでもオフィシャルに認めた使い方ではないので、あくまで自己責任。とはいえプラネックスのウェブサイトには、非公式としながらも、やり方が紹介されている。どうも古いモデルだと動かないようだが、2.5GbEの波に乗りそびれて悔しい思いをしている最近のSynologyユーザーなら、調べてみる価値はありそうだ。ただしあくまで自己責任でお願いします。

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