寓話と聞いて、多くの人はまず、子どもの頃に読んだイソップ寓話を思い浮かべるだろう。「アリとキリギリス」や「北風と太陽」、「キツネとブドウ」が有名だ。
大人になってからじっくり読み直してみると、寓話は重要なメッセージを伝えてくれる、仕事や人生に役立つものであることがわかる。物語の形式をとる寓話は、その中に込められている抽象的な真理をやさしく、飲み込みやすいものにしてくれる。人生のあらゆる場面で、寓話から得た教訓を思い起こすことになるだろう。
本書は古今東西の寓話を紹介するとともに、そこから得られる教訓を解説するものだ。通り一遍の読み方だけでなく、寓話を多面的に解釈しているところも魅力的である。たとえば、「アリとキリギリス」の一般的な教訓は「アリのように勤勉に働くべし」だろう。その一方で「アリは自分だけ豊かになろうとする自己中心的な存在で、将来を憂いて今をないがしろにするという悪い例」という読み方もできると著者はいう。本書を通して、よく知っている寓話を違った角度から読むという、新鮮な経験ができるはずだ。
寓話の解釈にとどまらず、関連する文献を引いて、テーマをさらに掘り下げているのも本書の魅力だ。現代を生きる私たちの身近な問題と結び付けやすく、ちょっとしたスピーチや話題提供などにも役立つだろう。ぜひ寓話を一つひとつ楽しみながら、その教訓を味わってもらいたいと思う。
今回ご紹介した「ものの見方が変わる 座右の寓話」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。