砂漠で農業ができる? 水の消費量を最大50%減らせる土、登場

毎年、年の始まりにラスベガスで開催される世界最大のテックイベント「CES」。さまざまなテクノロジーや最新のガジェット、家電、モビリティなどが世界中から集まっていました。

そんな見本市で見つけたのが、水と肥料の消費量を最大50%削減することが可能な土LNC(リキッド・ナチュラル・クレイ)」です。

砂漠の過酷な条件下での農業栽培を

Photo: ヤタガイ

LNCは、土壌を修復・保護し、農業、森林、緑地での水使用量を削減できる土、およびその技術のこと。特許も「無機静電気バインダー組成物、その使用および前記バインダー組成物の調製方法」として取得済みだそうです。このシステムは農業だけでなく、森林などの緑の復活、ゴルフ場のグリーンを水消費を抑えながら維持するのにも役立つんだとか。

すなわち、砂漠化と干ばつ、世界的な水不足のどちらにもアプローチできるんです。

自然保護しながら増加する世界人口を養うことができるなんて、地球と人類にとって画期的なシステムですよね。

一体どんなメカニズムなの?

[embedded content]

リキッド・ナチュラル・クレイ、略してLNCは、Desert Control社が特許を取得したプロセスで作られており、水と粘土だけで作られています。

LNCは電荷を帯びた小さな粘土粒子を含む天然鉱物で構成されていて、砂の一粒一粒を電荷でコーティングし、磁力のように水を保持します。特定の表面電荷を付加することで、水と反対の電荷を持つ粒子が表面に付着することを可能にするんだとか。

プロセスの最終段階は「クレイブリッジ」と呼ばれる砂粒同士を結合させて、土のかたまりを形成することで、スポンジのように水と栄養分を保持。通気性がよく、菌類が繁殖しやすく、植物が生育しやすい環境を作ります。

LNCはミネラルベースで作られているので、化学添加物を一切含まず、天然成分のみで作られています。生態系に脅威を与えないのもいいですね。

さらに栽培できる作物は限られず、その地域で栽培されているものならほとんどなんでも栽培できるんだそう。

イラクで試験的に導入予定

Photo: ヤタガイ

砂漠での過酷な条件下で農業栽培を可能にすることを目標に、LNCの技術をイラクで試験導入する予定だそう。

オリーブやピスタチオなど、防風品種などを育てる予定で、指定された対照区でLNCの性能をモニターするんだとか。

世界的な水不足の中、水を節約しながら土壌の健康を復活させ、作物の収穫量を増やすことができたり、砂漠化により失われた生態系を復活させたりすることができる。これからも注目したい、人類の希望になりそうな技術でした。

Source: DESERT CONTROL