登山&スポーツ愛好者に最適!AI機能を搭載したアウトドア派のスマートウォッチ「Amazfit T-Rex 3」レビュー

Amazfit T-Rex 3 パッケージ

Amazfit T-Rex 3は、登山やスポーツを愛する人々のニーズに応える、タフで高性能なスマートウォッチである。ChatGPT-4oとの連携により、音声操作が可能な機能も搭載されている。今回は、実際に購入して1か月半使用した感想をもとに、その魅力や実力についてレポートしよう。

■Amazfit T-Rex 3のデザイン
Amazfit T-Rex 3は、大型でごつごつとしたアウトドア向けの外観が目を引く。登山やスポーツ系の腕時計らしく、ミリタリー風の力強いデザインだ。

サイズは約48.5×48.5×15.85mm、重さは約68.3g(バンド含む)であり、かなり存在感のある仕様である。そのため、細身の手首や小柄な方にはやや大きめに感じられるかもしれない。バンドには液状シリコン素材が使用されており、柔らかさと適度な伸縮性を持つため、運動時でも快適な装着感を提供する。

また、MIL-STD-810Gの耐久試験に合格しており、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、防水性(10ATM)を備えている。このタフなスペックは、アウトドア好きにとって非常に心強いポイントである。

操作は、4つの操作ボタンとタッチスクリーンを併用したインターフェースが採用されている。リューズこそ搭載されていないが、不便さは特に感じられない。また、グローブモードを備えており、手袋をしたままでも操作可能である。この機能は、特に登山やウィンタースポーツの場面で非常に役立つ。

付属のバンドは液状シリコン素材であるが、筆者は金属製のバンドを追加購入して使用している。本機には市販の幅22mmのバンドが利用できるアダプタが付属しており、自分好みのバンドに交換して楽しむことも推奨したい。

Amazfit T-Rex 3

パッケージの内容

充電用アダプタ

充電しているところ。5V 0.5A 2.5Wで充電できている。

市販の金属製ベルトを装着

■豊富なモニタリング機能
本機は170種類以上のスポーツモードを搭載しており、登山、ランニング、サイクリング、スイミングなど、多様なアクティビティに対応する。さらに、GPS機能が搭載されており、地図データを事前にダウンロードしておくことで、電波の届かない山間部でもマップ機能を利用できる。この点は登山やハイキングの愛好者にとって大きな魅力である。

筆者はアウトドア派ではなくインドア派であり、どちらかというと日々の健康モニタリングに本機を使用している。

本機には24時間心拍数モニタリング、血中酸素レベル(SpO₂)測定、ストレスレベル測定、睡眠トラッキング機能が搭載されている。これにより、毎日の生活をモニタリングし、改善点をレポートしてくれる。健康に関して役立つ機能が非常に多い。

これらの豊富なモニタリング結果は、スマートフォン上の「Zeppアプリ」と連携させることで、より詳しいデータや解説、アドバイスを確認できる。

スポーツモード

地図の表示

ウォーキング時の地図表示

睡眠のモニタリング結果

睡眠のモニタリング結果(Zeppアプリでの表示例)

■ChatGPT-4o連携で音声操作可能な最新機能
本機は、今話題の生成AI「ChatGPT-4o」と連携する機能を備えており、音声で話しかけることで質問に答えたり、本機の操作を行ったりすることが可能である。ただし、残念ながら音声で回答を返す機能は搭載されていない。

まず、本機右上の「SEL」ボタンを長押しすると本機のAI応答機能が起動する。(画面下に青い〇が表示される)

そこでたとえば「明日の朝6時にアラームをセットして」と言うと、しばらく考え

聞き取った言葉を確認のため表示して

その後実際にアラームをセットしてくれる。画面上でその結果を確認できる。

同様に「ニューヨークは今何時?」と聞くとちゃんと答えてくれた。

本機のAI機能の特徴は、従来のAIエージェントとは異なり、自然な話し方で操作ができる点である。まだ発展途上の機能ではあるが、より自然な会話で指示を出せるようになっている。未来を感じさせる魅力的な機能である。

■バッテリーが長持ち
Amazfit T-Rex 3のバッテリーは評判通り非常に長持ちである。満充電を行い、10日ほど経過した段階でバッテリー残量が30%台であった。実際の使用では、10日以上充電なしで十分に使えることを確認した。この様子では、2週間ほどの使用も可能であると考えられる。

一方で、充電には空の状態から満充電までおよそ3時間を要する。しかし、バッテリー残量がなかなか減らないため、満充電にこだわらずとも使用可能であり、充電速度が遅い点がさほど問題になることはない。
なお、充電時の実測値は5V 0.5A 2.5Wである。

充電には付属の充電アダプターを使用し、そのUSB Type-Cポートに別売のUSBケーブルとACアダプタを接続して行う。旅行時にはスマートフォンの充電環境と共通化できるため、非常に使いやすい仕様である。ただし、付属の充電アダプターは小型であるため、紛失には注意が必要である。

■本機の弱点も指摘しておこう
本機はここまで説明したように多くの魅力を持つが、いくつか弱点も存在する。

まず、無線LANの接続性の問題である。筆者のT-Rex 3だけの問題である可能性もあるが、初めて地図をダウンロードして表示しようとした際、自宅の無線LANアクセスポイントにどうしても接続できなかった。自前のスマートフォンでテザリング接続を試みたが、それも失敗した。サポートに連絡して対応策を尋ねたところ、「初期出荷状態に戻すことを試してみてほしい」という回答を得た。

さっそく初期出荷状態に戻してみたところ、無線LANへの接続が可能となり、地図データをT-Rex 3に転送し表示することができた。これで一件落着と思われたが、先日旅行先の宿泊施設でアクセスポイントに接続しようとした際、再びつながらなかった。旅先で初期設定に戻すのはリスクが高いため、地図データのダウンロードを断念した。この状況では、無線LANの接続性に関しては信頼性に疑念を抱かざるを得ない。

旅行先で地図機能を使用する場合には、自宅で事前にダウンロードを済ませておくことが望ましい。しかし、今回はそれができず失敗に終わった。友人が同じ機種を所有していたため状況を確認したところ、無線LANは問題なく使用できているとのことであった。よって、この問題は筆者のT-Rex 3特有の不具合である可能性が高いが、現時点では未解決である。

その他にもいくつか気になる点がある。

操作マニュアルはWebからダウンロードして利用しているが、内容がややわかりにくい。また、ウォッチフェイスやアプリは多く用意されているが、アプリに関しては実用的なものがまだ不足しているように感じる。

もうひとつ大きな欠点は、スイカやクレジットカードなどのタッチ決済に対応していない点である。ただし、タッチ決済はスマートフォンで代用できるため、筆者個人としては特に大きな問題ではない。
また、音声で操作するAI機能についても、まだまだ発展途上である印象を受ける。

今後のバージョンアップによる改善が強く望まれるところである。

■アウトドア派向けのスマートウォッチとしてお薦めしたい
いずれにしても、本機が非常に魅力的な製品であることは間違いない。
アウトドアに最適なタフネスさ、幅広いスポーツや健康管理に対応したモニタリング機能、長持ちするバッテリー、そして生成AI技術を活用した音声コントロール機能を備え、ユーザーにとって使いやすいデバイスに仕上がっている。

価格は約4万円であり、同様のアウトドア用スマートウォッチとしてGermin製品を選ぶ場合、倍以上の価格になることが予想される。本機は、価格面でも非常に魅力的である。

タッチ決済に非対応である点など、一部気になる点はあるが、それを補うだけの魅力を備えている。特にアウトドア派向けのスマートウォッチとして、自信を持ってお薦めしたい製品である。

テクニカルライター 鈴木 啓一

「Amazfit T-Rex 3」

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