SpaceX、NASAとの共同プロジェクト「アルテミス計画」の画像を公開

なお、画像はすべて本物ではなく、生成されたイラストですよ。

今から55年前の1969年、アポロ11号が月面に着陸しました。NASAは、再び月に宇宙飛行士を送り込む計画を進めています。

NASAはイーロン・マスク氏のスペースXをはじめ、世界各国のパートナーと共同し、宇宙飛行士を月面に輸送できる大型宇宙船「スターシップ」の開発などを計画中です。

有人月面着陸は2025年以降

Image: SpaceX

有人月探査計画をミッションとするNASAの「アルテミス計画」

現地時間、2022年12月11日に太平洋への着水をもって完結した、アルテミス1号は無人でしたが、今後の打ち上げは有人飛行が予定されています。

アルテミス2号は2024年11月の打ち上げが予定されていましたが、2025年9月以降に延期。NASAは、すでにアルテミス3号のミッションについても発表しています。SpaceXはこのミッションに関するイメージ画像を公開しました。

3ミッションの目的は、SpaceXのスターシップ、有人着陸システム(HLS)を使用し、2人の宇宙飛行士を月周回軌道から月面まで運び、再び月に戻してオリオン宇宙船と合流。アルテミスの乗組員を迎え、安全に月面に降ろすことです。なお、このミッションによって、女性や有色人種が初めて月面に着陸する予定だそうです。

Image: SpaceX

スターシップHLSは、月周回軌道に到達する前に燃料補給をする必要があります。そのための計画は、推進剤を積んだスターシップタンカーを使用し、着陸船の到着を待つというもの。2 機の宇宙船は、低地球軌道で互いに出合うように設計されており、タンカーがスターシップHLSに推進剤を移送している間にドッキングして、月への旅を続けられるようにします。

SpaceXによると、2025年初めまでに低軌道で操縦のテストをするそう。2025年3月に2機のスターシップ機の間で、飛行中の燃料テストが行われる可能性があります。燃料を満載したHLSは月周回軌道に向かい、そこで4人の宇宙飛行士を乗せた「オリオン宇宙船」の到着を待ちます。HLSはオリオンに直接ドッキングし、2人の宇宙飛行士は月着陸船に乗り換え、残りの乗組員は月周回軌道上のオリオン宇宙船内で待機します。

Image: SpaceX

そして、2人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船は、低月軌道から出発。2基のラプターエンジンを使用し減速噴射を行い、塵の多い月面へと降下するという計画です。

HLSの底部にあるエレベーターに乗って月面へ降ります。スターシップHLSの高さは約50m。15階建てのビルに相当する高さです。このエレベーターは、2 人の宇宙飛行士が貴重なサンプルを収集する間、月面と着陸船の間で貨物を輸送するのにも使用される予定です。

月への道のりはまだ長そう

Image: SpaceX

なお、スターシップは現在も開発中。スペースXは宇宙飛行士を月に着陸させる前に、スターシップを使って無人月面着陸を行う予定です。最近行われた6回目のテスト飛行では、ブースターが海に墜落してしまいました。

すでに、2028年9月に打ち上げ予定のアルテミス4ミッションに向けたスターシップHLSの開発も進めています。最新版のスターシップは、より多くの質量を月面に運ぶことができるだけでなく、月周回軌道上でNASAの月面宇宙ステーション「ゲートウェイ」にドッキングできるとのことです。

このスターシップ、定期軌道飛行の実現には近づいていますが、有人着陸システムとなると全く別の話。今回、公開された画像では非常に美しい宇宙空間が描かれていますが、実際にスペースXとNASAがこの野心的なスケジュールを達成できるかどうかは時が経てばわかるでしょう。