葬儀サービスなどのグループ事業会社である燦ホールディングス株式会社と株式会社きずなホールディングスは、経営統合することを発表。7月18日に、経営統合についての記者発表会を開催した。当日は、葬儀業界における現状や課題、両社の想い、今回の経営統合について、燦ホールディングス 代表取締役社長 播島聡氏より説明があった。また、きずなホールディングス 代表取締役社長 中道康彰氏、ファンド事業を行う株式会社アドバンテッジパートナーズ パートナー 束原俊哉氏より経営統合への想いや、これから目指す姿についての説明があった。
■葬儀サービスの2社とファンド事業のアドバンテッジパートナーズ
燦ホールディングスの前身母体は葬儀会社の公益者であり、昭和7年(1932年)に大阪で創業し、今年で創業92年を迎える。2004年に公益社から商号を変更し、持ち株会社体制となった。グループ傘下には、 葬儀サービスを提供する葬儀事業会社が3社など、合わせて5社の事業子会社があり、葬儀を中心としたライフエンディングサポート事業を展開するグループとなっている。首都圏や近畿圏で事業を行っている。
きずなホールディングスは 2017年に設立(前身である株式会社エポック・ジャパンは2000年設立) 。3つの葬儀を行うグループ会社、家族葬のファミーユ、備前屋、花駒を保有する。 年間の葬儀の取り扱い件数は1万4172件であり、ホール数は150か所。関東や北海道、愛知、関西、岡山などで事業を行っている。
パートナーである株式会社アドバンテッジパートナーズは、1992年創業の日本におけるファンド事業を展開している会社の老舗の一つ。ファンド事業は日本で1997年の解禁以降行っている。当初から、プライベートエクイティ投資という、主に非上場の企業に投資をし、平均で4、5年、比較的中長期にわたって会社の支援を事業面まで含めて行う。累計の投資件数も100件以上で、ファンドの運用実績は7000億円を超える。
■経営統合について。「消費者の悩みとエンディング業界の課題」などが背景に
今回の2社の経営統合について、燦ホールディングスの播島氏が説明を行った。今回の統合の背景・課題として、「事業環境の変化」「信頼に足る企業としての重要性」「消費者の悩みとエンディング業界の課題」という三つのトピックが並べられた。
エンディング業界や葬儀業界の変化については「同業者だけではなくて異業態からの新たな新規参入というのが非常に相次いでいる業界。昨今は非常に様変わりをしている状況となっている。お客様のお葬式に対する考え方、あるいは価値観というのも随分変わった。特にこのコロナ禍での影響が大きい。また、全国の事業者間での競争の激化があり、これから活発なM&Aにより、業界の再編なども進んでいくのではないだろうか」ということが語られた。
「信頼に足る企業としての重要性」や「消費者の悩みとエンディング業界の課題」という点では、「エンディング業界の問題として、 事業者側と消費者側の情報の非対称性が非常に大きいという点に課題があるとのこと。どういうことかというと、エンディングに関連するその商品やサービスというのは非常に多岐に渡るが、多くのお客様にとって比較や検討する基準が、安い高いという見た目の表示価格に偏っている点が問題」だと説明。
「提供されるサービスの内容や品質、何が必要で何が必要ではないかという判断基準が、エンディングサービスの場合は日常的に利用するものではないため、その場面で非常に大きな選択をしなければならないにもかかわらず、十分な情報が提供されない。そのため、自分でスマートフォンでネット検索をして会社を探して、よくわからないうちに会社やサービスを決めていくことになる。以上のことから、葬儀会社であったりエンディングサービスに関する提供事業者に最も求められるものは、提供されるサービスの技術だけではなく、安心であったり信頼という点である」とアピールした。
これらの課題などを踏まえ、「両社が一体になることにより、家族や人との絆を大切に守りながら、日本の創造文化に新たな価値であったり高い付加価値を創出していけるものと確信をしている。日本におけるエンディング業界を取り巻く課題や問題解決にも資するものではないかと考えている」とまとめた。
事業が行われる地域などについては「両社の統合によって日本の全国の多くの都市で安心と信頼のサービス提供が可能になる。今回の統合により、両社の葬儀の取扱い件数はおよそ3万件になる。そして、葬儀を行う会館数は246会館にまで増える。 事業を展開するエリアは、北は北海道から南は九州まで。15都道府県へと広がり、日本で1番大きな葬儀事業の専業会社になる」と話した。
■今後の経営戦略。事業拡大し、将来的にはエンディング業界のナンバーワン企業へ
今後の経営戦略について聞かれ、きずなホールディングスの中道氏は「これまでいわゆるライフエンディングステージに立っておられる方々に対して、オーダーメイドの葬儀を提供するということにフォーカスをして事業展開をしてきた。その理由は、端的に言えば企業規模がまだまだ小さかったというところ。あれもこれもという、手を出すといったことが非常に難しかったというところがその大きな理由」と振り返った。
そして「現在は従業員の数もようやく1000名に近づくような規模になってきた。そのため、いよいよ、幅広くサービスを提供できる段階にようやく入ってきた。そういった意味では、先行されている燦ホールディングス様に色々と教えていただきながら、今後は事業領域をどんどん拡大をしていく方向で広げていきたい」と今後の方針を明らかにした。
播島氏は今後について「さらに両社の統合によって、葬儀事業を拡大していくこととライフサポート事業の拡大の基本路線を継続していく。続けて、エンバーミングやグリーフケアを拡大していくことにも触れつつ、ライフエンディングサポート事業のサービスを高い品質で提供し、 実質的な日本におけるエンディング業界のナンバーワン企業を目指していきたい」と目標を掲げた。
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