枕に似ていることから名付けられた枕状溶岩というものが静岡にあるらしい。どれくらい枕なのか、実際に寝てみた。
枕状溶岩とは
枕状(まくらじょう)溶岩という言葉を知ったのは子どもの頃、NHKの「地球大紀行」という番組(1987年)でだ。
海底で噴火があったときに、まばゆく光る溶岩が吹き出してはすぐ冷えて黒くなる、というのを繰り返して枕みたいな岩ができていく。番組でのその映像が印象的で、枕状溶岩という言葉をそれ以来覚えていた。
地球大紀行での映像は NHK for School というサイトで見ることができる。むくむくとできていくようすがとても面白いのでぜひ見てほしい。
NHK for School:まくら状よう岩
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005400315_00000&p=box#in=28&out=38
静岡に枕状溶岩があるらしい
子どもの付き添いで静岡の大井川というところに行くことになった。せっかくなので近くでなにか見ていこうと思い、地理院地図で「日本の典型地形」という地図を調べた(地形が好きなので)。
するとなんと、近くで枕状溶岩が見られることがわかった。大崩海岸というところだ。最寄駅は焼津らしい。
枕状溶岩をひとめ見てみたい。そしてどれくらい枕っぽいのか確かめたいと思った。
※日本の典型地形:「扇状地」とか地理で習うと思いますが、ああいうのの典型的な場所をぜんぶ教えてくれるという、国土地理院によるすばらしいコンテンツです。
焼津へ
大井川での用事を終えて、焼津駅に降りた。
駅から見える山々一帯に枕状溶岩があるらしいのだが、なかでも赤い矢印の虚空蔵山(こくぞうさん)のふもとは砂浜になっていて近づきやすく、そこに枕状溶岩があるという。
さっそくやってきた。木が目立つが、奥の右手に岩場がある。きっとあそこだろう。
ふーむ?
なるほど・・?
あまり枕っぽくはない
枕状溶岩という名前ではあるものの、条件によってその形はさまざまであり、いかにも枕という形をしたものばかりでもないらしい。
ここにあるものも、丸っこい形ではあるものの、とくだん枕っぽいわけではない。狛犬がこっちを向いて寝ているみたいだ。
それでもしばらく探すと、これこそは枕、という形の岩を見つけることができた。
この景色のなかの・・
これです。この真ん中のやつ。丸っこいし、いかにも枕でしょう。
いやそうでもないじゃん、と思ったら2、3枚上の写真を再度見てほしい。こういう中にあっては唯一といっていいほど枕だったのだ。
枕と比べる
こういう自然の写真でありがちなのは、全体的なスケール感がよく分からないことだ。地学の人はハンマーとかを置いて目安にするが、今回はせっかくなので家から枕を持ってきた。
念のためだが左上が溶岩、右が枕だ。溶岩は枕と比べて幅は半分、高さは2倍といったところだろうか。測ってみたところ幅は約40cmだった。
枕状溶岩たちの中に枕を紛れ込ませて、「じつはこのなかに本物の枕があるんです!」というのをやりたかったのだが、まったくそうはならなかった。岩場に枕が置いてあるだけだった。人生は厳しい。
寝てみる
枕としては幅が狭め、高さは高めのようだ。実際に寝てみると寝心地はどうだろうか。
寝てみて驚いた。
なんと、悪くないのだ。固いはずなのに固さを感じさせない。首を転がしても滑らかでひっかからない。足元の砂は日光を浴びて暖かく、岩場もちょうど一人分に凹んでいてフィットする。
頭の代わりに別の岩を乗せてみた。枕(状溶岩)が絶妙にカーブしていて、寝返りをうったときに頭が滑らかに転がるのが想像できると思う。
枕状溶岩、枕としても悪くないかもしれない。商品比較サイトのようにして、枕と枕状溶岩の比較表を作ってみた。
枕状溶岩の重さはだいたいの大きさと一般的な玄武岩の密度から推定した。製造年は「シームレス地質図v2」という地図でこのあたりの地質を調べたもの。素人解釈なので怪しいが、このとおりならすごいヴィンテージ枕である。
実際に使ってみた人(私)のレビューも書いてみた。
書いていることは「購入した」という以外はだいたい本当のことである。特に腰の痛みはマジで、この1ヶ月ほどぎっくり腰の軽いやつみたいな状態でゆっくりしか歩けない。寝ている写真はセルフタイマーで撮ったのだが、最長でも10秒までしか選べないので必死だった。枕状溶岩で治るなら購入したい。
枕状溶岩は枕っぽいものばかりではないと分かった
丸っこい岩が少しでもあって助かったが、名前どおりの典型的なものがそうそうあるわけではない、ということは分かってよかった。
冒頭に書いた地球大紀行は本当に印象的な番組で、他にもストロマトライトという(地球に酸素を増やした藻類の)化石も繰り返しでてきて覚えているが、こちらはオーストラリアとかにしかないらしい。せめて日本にある典型的な地形は一つでも見ておきたい。
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以前当サイトで「建物の汚れカタログ」という記事を書いたのですが、それをパワーアップした内容でCGを作る方向けの講座をやることになりました。
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