「オープンサイエンスとオープンソースAIは国益に合致する」とAIプラットフォーム・Hugging FaceのCEOが議会で証言

GIGAZINE
2023年06月29日 07時00分
メモ



Hugging Faceは主に自然言語処理を対象にしたオープンソースプラットフォームであり、さまざまなAI関連のライブラリやモデルが公開されています。そんなHugging Faceのクレメント・デラングCEOがアメリカ合衆国下院の公聴会に出席し、「オープンサイエンスとオープンソースAIは、アメリカの価値観と国益に合致している」と証言しました。

Hugging Face CEO tells US House open-source AI is ‘extremely aligned’ with American interests | VentureBeat
https://venturebeat.com/ai/hugging-face-ceo-tells-us-house-open-source-ai-is-extremely-aligned-with-american-interests/


2016年に設立されたHugging Faceは、自然言語処理に特化したホスティングプラットフォームと、プラットフォーム上でのクラウド実行環境を組み合わせたサービスを提供しています。たとえば、人気の画像生成AIであるStable DiffusionのコードやドキュメントもHugging Face上で公開されており、デモを実行することも可能です。

また、Hugging Face自体もAI開発を行っており、2023年4月にはChatGPTの対抗馬としてオープンソースの対話型AIチャット「HuggingChat」をリリースしました。

ChatGPTの対抗馬としてオープンソースの対話型AIチャット「HuggingChat」をHuggingFaceがリリース – GIGAZINE


デラング氏はHuggingChatをリリースした際に、「透明性や包括性、説明責任、権利の分配を高めるためには、ChatGPTに代わるオープンソースの対話型AIチャットが必要だと思います。HuggingFaceが公開するHuggingChatは、最新のOpen Assistantを搭載した、オープンソースの初期プロトタイプインターフェースです」とコメント。オープンソースでのAI開発には重要な意味があるという認識を示していました。

6月22日にデラング氏は、アメリカ合衆国下院の科学技術委員会が開催した公聴会「Artificial Intelligence: Advancing Innovation Towards the National Interest(人工知能:国益に向けたイノベーションの推進)」に出席し、議員らの前で証言を行いました。

近年はAIがオープンに普及することで悪用が進むことも懸念されていますが、デラング氏は公聴会において、今日のAIの進歩はオープンサイエンスとオープンソースによって支えられていると主張。オープンソースとして公開されている機械学習ライブラリのPyTorchTensorflowKerasなどが存在しなければ、アメリカはAI開発の主要国になることはできなかったかもしれないと述べています。


そしてデラング氏は、オープンサイエンスとオープンソースAIは「刺激を与えるために重要であり、アメリカの価値観および国益と非常に合致しています」と述べ、オープンソースでAIを公開することを支持しました。

AI開発をオープンソースで行うことのメリットとしては、大企業だけが専門的な技術やノウハウを蓄積することを防ぎ、中小企業や学会も最先端のAI開発に取り組み、問題を検討できるという点が挙げられます。AIのブラックボックス化を防ぐことによって企業の説明責任を高め、バイアスや誤情報、著作権、アーティストやクリエイターへの還といったAIにまつわる問題の解決を支援できるとのこと。

デラング氏は、「倫理的なオープン性のおかげで、市民社会・非営利団体・学会・政策立案者に大手民間企業の力に対抗できる能力を与え、技術開発のより安全な道を開くことができます」と述べました。


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