「高速道路でヤマト運輸トラックの後ろにつくとラク&トラブル回避」説を検証


画像:ヤマト運輸ウェブサイトより

 Twitterで「高速道路でヤマト運輸の大型トラックの後ろにつくと楽に走れる」という趣旨のツイートが話題になっている。実際に大型トラックの後ろを走ることにメリットはあるのか、専門家の意見を交えて検証した。

 6月21日ごろ、あるTwitterユーザーが「東名高速でクロネコヤマト(ヤマト運輸)の10トントラックを見つけたので適切な車間距離で後ろを走った。クロネコの大型トラックの後ろは、走行速度が80キロ前後に制限されることと引き換えに、高速道路上で繰り広げられる全てのいざこざに巻き込まれず精神の安寧が得られる安全地帯」などとツイートし、これが広く拡散された。

 それに対して、多くのユーザーから「高速を長距離走るときは、90リミッター(※時速90キロのスピードリミッター)のあるトラックの後を車間開けて、ペースメーカーにして走るのが楽でいい!」「高速で運転疲れてきた時にクロネコさんのトラックを見かけると安心してついついコバンザメしちゃう」「タクシーの運転手さんも、長距離の時はクロネコさんの後ろ走るねんと言ってたなぁ」などと共感の声が多く寄せられた。

 ヤマト運輸のトラックは速度が一定かつ安全運転であるため、後ろをついていくと安心感があって運転が楽だということのようだ。さらには「日本郵政や福山通運とかの大型トラックの後ろも安心できる」といったコメントもある。

 実際のところ、高速道路でヤマト運輸などの大型トラックの後ろを走行することにメリットはあるのか。物流ジャーナリストの坂田良平氏はこのように解説する。

「高速道路を走っていると、さまざまな刺激を受けます。ドライバーは周りの車のスピードに合わせようとしたり、前に遅い車が入ってきたら減速したり、前が空いていれば加速したり、状況に応じて走行中にいろいろなことに気を配っていますが、そうした時に視覚から入ってくる刺激を『流体刺激』といいます。この流体刺激が長く続くと、ドライバーにとってストレスになります。一定の速度で安定して走っている大型トラックの後ろに車間距離を十分にとってつけば、前を向いて同じ車線でスピードを維持しながら運転していればいいので、そうしたストレスから解放されます。高速道路における大型トラックの法定速度は80キロで、高速道路を走っている車の中では一番遅い部類ですから、その後ろにつくと、他の車を追い抜いてやろうといった自分の中から生まれるストレスもなくすことができます。簡単にいえば、『左車線を淡々と走っている大型トラックの後ろにつくとラク』という話ですね」(坂田氏)

 一般ドライバーにとって、大型トラックの後ろを走ることによるメリットは確かにあるようだ。ツイートではヤマト運輸の大型トラックが大きくピックアップされていたが、これは同社に限ったことなのだろうか。坂田氏はこの疑問に答えると共に、「後ろをついていくと安心なトラック」の目安を教えてくれた。

「基本的な話として、2トンや4トンではなく、それ以上の大型トラックの後ろをついていくとよいです。ヤマト運輸に限らず、日本郵政、第一貨物、西濃運輸など誰もが聞いたことのあるような大手はちゃんとした運転をしているところが比較的多いですが、これはドライバー次第なところもあります。安心できるトラックを簡単に見分けるひとつの目安としては、ナンバーを見るという方法があります。たとえば、首都圏で走っていて九州や東北のナンバーの大型トラックがいたら、長距離を走ってきたということ。長距離を走るトラックドライバーは、一定ペースで走ることが比較的多いですから、安心して後ろにつける基準になるでしょう」(同)

 最後に坂田氏に、高速道路でのトラブルのリスクやストレスを軽減するための心構えを聞いた。

「まず基本として、追い越し車線を走り続けないこと。延々と追い越し車線を走るのは法律違反にもあたります。そして、慌てずに同じペースで走り続けることが大切です。車間距離を取ることも重要で、時速80キロ走行時の安全な車間距離は80メートルといわれています。この距離を測るためには、案内標識などを目印にする方法があり、前の車が標識を通過してから自分の車がそこに到達するまで3秒以上の間が空いていれば、前の車が急ブレーキを踏んでも危険を回避できます。あとは、追い抜かされても抜き返そうなどとせず、周りの車と競わないこと。あおってくるような車がいたら素直に左車線によけるなど、冷静な運転が余計なストレスとリスクを避けることにつながります」(同)

 高速道路で長距離運転する際には、今回の坂田氏のアドバイスなどを参考に十分な車間距離をとって安全運転の大型トラックの後ろにつけば、走行中の疲労やストレスを減らすことができそうだ。

(文=佐藤勇馬、協力=坂田良平/物流ジャーナリスト)

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