LGは3月15日、薄型軽量ノート「LG gram」シリーズの2023年モデルを発表。何モデルかある中、14型でOLED採用の「gram style」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
14型OLED採用で1kg未満のモバイルノートPC!
この日発表のあったのは「gram style」と「gram」。2つの共通点としては薄くて軽いモバイルノートPCだ。前者は14型と16型でパネルはOLED。後者は14型と16型に加え17型も用意され、パネルは一般的なIPS式液晶となる。
気になる価格差であるが14型で比較するとサイズや重量は概ね同じで、「gram style」はCore i7-1360P/16GB/512GB/Windows 11 Homeで26万2,545円(Amazon)、「gram」はCore i5-1340P/16GB/512GB/Proで18万1,600円(Amazon)。プロセッサとパネルの違いで約8万円ほど。それなりに差があるのは現状仕方ないところだろうか。
手元に届いたのはOLED搭載の14型「gram style」。主な仕様は以下の通り。
LG「gram style」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-1360P(P/4コア+E/8コア、16スレッド/クロック最大5.0GHz/キャッシュ 18MB/TDP 28W、最大64W) |
メモリ | 16GB/LPDDR5 |
ストレージ | 512GB M.2 PCIe NVMe SSD(M.2 2280) |
OS | Windows 11 Home/22H2 |
ディスプレイ | 14型OLED式2,880×1,800ドット(16:10)、非光沢、90Hz、DCI-P3 100%、400cd/平方m |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics/Type-C |
ネットワーク | Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2×1、フルHD Webカメラ、音声入出力、microSDカードスロット |
サイズ/重量 | 311.6×213.9×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量999g |
バッテリ/駆動時間 | 2セル(72Wh)/最大17時間 |
カラーバリエーション | オーロラホワイト |
税込価格 | 26万2,545円(Amazon/Officeなし) |
プロセッサは第13世代Raptor LakeのCore i7-1360P。P/4コア+E/8コアの16スレッド。クロック最大5.0GHz、キャッシュ18MB、TDP 28W/最大64W。モバイル用のSKUとしては上位の方だが、上にはまだHタイプやi9もある。
メモリはオンボードでLPDDR5の16GB。ストレージは512GB M.2 PCIe NVMe SSD(M.2 2280)。OSはWindows 11 Home。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。Thunderbolt 4が2つあるので、それを使って外部モニターへ接続可能だ。
ディスプレイは14型OLED式2,880×1,800ドット(16:10)。非光沢、90Hz、DCI-P3 100%、400cd/平方m、DisplayHDR True Black 500認証、0.2msの高速応答……と、本機最大の特徴はいうまでもなくOLEDパネルとなる。
ネットワークはWi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.1。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4×2、USB 3.2×1、フルHD Webカメラ、音声入出力、microSDカードスロット。またキーボードバックライトを搭載している。
カラーバリエーションはオーロラホワイトのみ。2セル(72Wh)のバッテリを内蔵し、駆動時間は最大17時間。サイズ311.6×213.9×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、そして重量は999g。これだけの構成で1kgを切ってるのはうれしい限り。
価格は26万2,545円(Amazon/Office非搭載)。高いは高いものの、OLEDのパネルを搭載、i7/16GB/512GB、そして軽いとなれば妥当なところだろうか。
筐体はオーロラホワイトカラーと呼ばれ、光の角度によって色合いが変わる工夫が施されている。マグネシウム合金で軽くて頑丈。米国国防総省「MIL-STD-810H」準拠のテストを7項目もクリア。そして重量は実測で985g。この質感で1kgを切ってるのだから、持った瞬間「軽い!」となる。
前面はパネル中央上にWebカメラ。上下左右かなりフチは狭い。左側面に3.5mmジャック、Thunderbolt 4×2。1つは電源入力を兼ねている。右側面にUSB 3.1、microSDカードスロットを配置。USB 3.1は厚みが足らず下側にカバーがある。裏は手前に丸いゴム脚2つ。後ろは3つ。手前左右にスピーカー。ACアダプタはサイズ約48×50×28mm、重量98g、出力65W。
ディスプレイは言うまでもなく、明るさ、コントラスト、発色、視野角……全てが抜群。非光沢パネルでギラついた感じもない。90Hzなのでスクロールなども気持ちスムーズ。とにかく見た瞬間「お!」となり、しばらく評価した後、手持ちの機材@普通のIPS式に戻ると嫌になる(笑)。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度376cd/平方m。仕様は400cd/平方mなのでほとんど同じで明るい。最大から-3が168cd/平方m、-4が121cd/平方m。従って後者で計測。黒色輝度は0.000cd/平方mの真っ黒。さすがOLEDだ。リニアリティは、上の方で気持ち乱れているものの、ほぼ真っ直ぐ。かなり性能が良いのが分かる。
キーボードは日本語83キー。オフ+2段階のバックライト付きだ。ただキートップが白いので、明るい場所でオンにすると逆に刻印が見辛くなってしまう。デザインの関係もあるだろうが、ここは黒にしてほしかったところ。打鍵感はクリック感があり少し硬めだが、ストロークが若干深めか。仕様上はキーストローク1.65±0.2mm、キーピッチ19.05×18.5mm。
主要キーのキーピッチは約19mm。ただし[Enter]キーの周囲だけ狭くなっている。加えて電源ボタンの下が[BS]、左が[DEL]キー。10型クラスならともかく、14型でフットプリントは十分あるため、もう少し何とかして欲しいところ。
タッチパッドは写真からも分かるようにパームレスト一体型で段差がない。どこからどこまでかが分かるようにエリア内を触れると両端が光るようになっている。押し込みは物理的に気持ち凹むのだが、筆者の感覚と合わないのか、ドラッグ&ドロップなどがやりにくかった。
Webカメラは最大1080p/30fps。オートホワイトバランスの効きも自然で解像感もある。ビデオ会議であれば十分な画質だ。
ノイズに関しては試用した範囲で特に気にならなかった。が、発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボードの上と裏の後ろ側約3分の1がかなりの熱を持つ。もちろんキーボードやパームレストには降りてこないので、気にならないと言えばそれまでだが、昔ながらのラップトップ=膝上で半パンだったりすると低温やけどしそうな勢い。昨今試用した中ではちょっと体感したことのない温度だった。筐体が薄いので仕方ないかもしれないが、さすがに……といったところだろうか。
サウンドは裏にスピーカーがあるため、机などに反射した間接音となる。Dolby Atmos対応。鳴らなくはないのだが、画面が綺麗なだけにもっとパワーが欲しいところ。
この構成でバッテリ駆動11時間!
初期起動時、テーマが設定されており、ピンクをアクセントとした少しネオンぽい雰囲気のデスクトップになっている。Core i7/16GB/SSDなので作動自体は快適。
512GBのSSDは「HFS512GEJ9X101N」。検索しても情報はなかったもののSK Hynix製のようだ。CrystalDiskMarkでは、シーケンシャルリード約6,800MB/s、シーケンシャルライト約3,700MB/s出てるのでそこそこ速い。C:ドライブのみの1パーティションで約455GBが割り当てられ空き409GB。BitLockerで暗号化されている。
Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211、Bluetoothもインテル製だ。
プリインストールのアプリケーションは、 「LG Glance by Mirametrix」、「LG PC Manual」、「LG Security Guard」、「LG Smart Assistant」、「LG Update & Recovery」、「McAfeeリブセーフ」など。多くは同社のツール系だ。
名前からおおよそ内容が分かるが、名前からは不明な「LG Glance by Mirametrix」を起動したところ、Webカメラを使って視線入力での操作やアシスト、覗き見防止の機能を持つユーティリティだった。
軽く試すと、まずカメラの位置(つまり本体と顔の位置関係)を合わす必要がある。具体的にはPCを使用する位置で画面キャプチャ2枚目の上にある緑のボックス内の丸にポインタ(白丸)を合わす(画面キャプチャでは少し左下にズレている)。これは、たとえば本体の位置やパネルの角度/向きなどを調整する。ざっくり真ん中になればOKだ。
この状態でたとえば席を離れたり、誰かが覗き見すると反応する。またマルチモニターの場合、視線を移せばそのパネルがアクティブになったりする。個人的には必要性を感じないが、このあたりは個人差もあるだろう。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。
パフォーマンスに関しては、前回Core i5-1345UのDell「Latitude 7440 Ultralight」を掲載しているが、i5 vs i7的な感じで(一部劣ってるスコアもあるが)順当なスコアとなっている。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは11時間(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様では17時間だが、テスト内容を考慮すると妥当なところ。いずれにしてもこの構成で10時間以上なので文句なしと言える。
【表】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2600 | |
PCMark 10 Score | 4,753 |
Essentials | 9,241 |
App Start-up Score | 12,687 |
Video Conferencing Score | 7,446 |
Web Browsing Score | 8,356 |
Productivity | 6,156 |
Spreadsheets Score | 5,769 |
Writing Score | 6,570 |
Digital Content Creation | 5,125 |
Photo Editing Score | 8,181 |
Rendering and Visualization Score | 2,934 |
Video Editting Score | 5,610 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,475 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 3,112 |
Storage | 5,072 |
3DMark v2.26.8113 | |
Time Spy | 1,380 |
Fire Strike Ultra | 1,104 |
Fire Strike Extreme | 1,983 |
Fire Strike | 4,271 |
Sky Diver | 10,529 |
Cloud Gate | 14,381 |
Ice Storm Extreme | 66,152 |
Ice Storm | 74,564 |
Cinebench R23 | |
CPU | 5,295 pts(9位) |
CPU(Single Core) | 1,338 pts(3位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 6881.751 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 3714.981 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 518.447 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 242.303 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 324.339 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 285.287 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 67.742 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 122.545 MB/s |
以上のようにLG「gram style」は、Core i7-1360P/16GB/512GBを搭載し、パネルにOLEDを採用、重量1kg未満と、攻めた仕様の14型モバイルノートPCだ。パフォーマンスはもちろん、OLEDの綺麗な映りは文句なし。バッテリの持ちも良い。
一部キーピッチが狭いのと、結構発熱があるのは気になったものの、OLEDで軽いノートPCを探しているユーザーに是非使ってほしい1台だ。
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