株式会社日立製作所は、量子ビットを効率よく制御できるようにする「シャトリング量子ビット方式」を提案した。同社が開発を進めているシリコン量子コンピュータの実用化や大規模集積化につながるとしている。
量子コンピュータの開発においては、量子ビットの数を増やす大規模集積化が課題となっており、従来のコンピュータでは不可能なほどの超高速計算を実現するには、100万量子ビット以上の規模が必要とされている。これにともない、集積化した量子ビットを効率的に制御する技術や、誤り訂正する技術の実装も求められている。
量子ビットが固定された従来型のシリコン素子では、すべての量子ビットに対して演算回路や読み出し回路を接続する必要があった。だが、同社が提案したシャトリング量子ビット方式では、両ビットをアレイの特定領域に移動させ、そこで演算や読み出しを行なう。そのため、そのような接続が必要なく、配線や回路を削減できる。また、隣接する量子ビットを退避させることでクロストークの発生も抑えられるという。
同社では自然科学研究機構分子科学研究所とともに、本方式などを含む量子コンピュータの制御に適した「量子オペレーティングシステム」の共同研究を開始しており、大規模集積化に向けた研究の加速と量子コンピュータの早期実用化を目指すとしている。
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