【Hothotレビュー】3万円台の低価格ノート「CHUWI GemiBook XPro」。Google Play Gamesも動くN100搭載

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14型ノートPC、Chuwi「GemiBook XPro」

 CHUWIは14型フルHDのIPS液晶を備え、最近話題の低価格CPU「Intel Processor N100」を採用した低価格ノートPC「GemiBook XPro」を発売した。価格は40,079円だが、直販サイトでは割引価格3万3,377円で販売中だ。

 CHUWIはこれまでも低価格のSoCを内蔵したノートPCやデスクトップなど数多くの製品をリリースしており「GemiBook XPro」についても同様だ。この手の低価格PCと言えば、当初はCPUもスペック不足で、メモリも少なくストレージも心もとないなど、実用面で見た時に微妙な製品も多かったが、「GemiBook XPro」ではメモリ容量は8GB、内蔵SSDは256GBと、これまでの低価格製品と比べるとかなり性能が向上している印象だ。

 性能の向上に1役買っている最大の要因がCPUのN100(コードネームAlder Lake-N)であることは間違いないだろう。低電力設計のプロセッサで、Turbo Boost時の最大クロックは3.4GHz、GPUはCPU内蔵のIntel UHD Graphicsで、最大クロックは750MHzとなっており、かなりのパフォーマンスが期待できる。

 今回はサンプル品をお借りできたので、外観やそのパフォーマンスについてチェックしてみよう。

14型IPS液晶搭載のN100ノートPC

 まずは「GemiBook XPro」のスペックや搭載CPUについて見ていこう。N100はこれまで「Celeron」や「Pentium」のブランド名でリリースされていた、Intelの低価格帯CPUの新ブランド「Intel Processor」のシリーズとなる。

 N100の詳細な性能面などについては、既にAlder Lake-N搭載ミニPC「Beelink EQ12」のレビューにてチェックしているのでここでは割愛するが、これまでの低価格ノートPCと比べると、OS起動時のスムーズさや、ブラウザ起動時の挙動、ブラウジング中の更新速度や画面描写、ファイル操作時のレスポンスなど、いわゆる低価格PCでよく見られた、ちょっとした操作のもたつきが感じられなくなっており、全体的にパフォーマンスの向上が感じられる。

 メモリはLPDDR5で容量は8GB、ストレージはM.2 SATA SSDで容量は256GB、ディスプレイは14型、解像度フルHDのIPS液晶パネルを搭載する。また、ディスプレイの額縁上部には解像度2MPのWebカメラを搭載、スライドで開閉可能な物理シャッターも搭載する。また、ディスプレイ部は180度展開も可能。

 端子類は左側面に電源ランプ、DC入力、HDMI出力、USB 3.0、USB 3.0 Type-C、3.5㎜ジャック、右側面には何もなし。USB 3.0端子が右側面にもある方が利便性が高くてありがたかったところだ。

 無線LANはWi-Fi 6でBluetoothは5.2対応、本体サイズは323.4×219.9×19.9mm、重量は実測1,440g。バッテリ容量は約5,000mAで、バッテリ駆動時間はベンチマークソフト「BBench」によるWeb巡回実測で約5時間(17,980秒)だ。

本体内部

 底面のねじ穴をすべて外した上で、爪による固定部を外すことで、裏蓋の着脱は比較的容易に行なえる。右端には封印シールが付いており、分解の有無がチェックできるようになっている。

 内部構成を見ると、冷却ファンの周辺には何も配置されておらず、筐体内はかなりゆとりのある作りになっており、吸気口からの空気がスムーズに流れるようになっている。また、基板部には熱伝導シートのような物がガッツリ貼られており、基板全体の冷却も考慮しているようだ。M.2 SATA SSDは手前に配置されており、着脱も容易な作りになっているため、ストレージの換装は比較的スムーズに行なえそうだ。

 ただし、ざっと見る限り、メモリスロットが見当たらなかったので、基板をひっくり返す必要があるか、チップ直付けとなっている可能性が高そうだ。

ねじを外して爪による引っかかりをうまく外すことで裏蓋の着脱が可能。筐体内は冷却ファン周辺に何も配置していないなど、比較的ゆとりのあるレイアウトとなっている

M.2 SATA SSDを確認。手前に配置されており、換装も容易に行なえそうだ

第7世代Core i5を軽く凌駕する高パフォーマンス!

 続いてベンチマークのスコアをチェックしていこう。比較対象としては同じくN100を搭載する「Beelink EQ12」のスコアを参考に併記した。またCinebench R23のみ、第7世代のCore i5-7200U(2コア)を搭載した「Surface Laptop」で実行した結果も併記している。

 筆者宅のSurface Laptopはメモリ8GB搭載、256GBのSSDを内蔵している。このクラスのノートPCはビジネスのシーンでは今でも現役で使われているスペックとなるが、正直なところパフォーマンスでは「GemiBook XPro」に完敗だ。Singleスレッドでも劣る上に、マルチスレッドではコア数の影響も大きく、倍以上の差がつけられた。

 一方でPL1が20Wに引き上げられている「Beelink EQ12」との比較ではスコアはやや劣る結果となった。「GemiBook XPro」のPL1/PL2は15W/25Wに設定されており、このPL1の5Wの差がスコアの差に直結していると思われる。

 そのほか、PCMarkや3DMarkのスコアについても概ね「Beelink EQ12」と比較してやや低いくらいのスコアに落ち着いている。「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果についても同様だ。

BIOSの設定は豊富だがPLの上限は引き上げられず

 ちなみに「GemiBook XPro」のBIOS画面を確認してみたところ、電源やパフォーマンスの設定にて、PL1/PL2の値が変更可能な作りに見えたのだが、実際にBIOS設定を変更しても、再起動後の値に変化がなかった。BIOS設定の説明を読む限りでは、「Package Powe Limit MSR Lock」を解除すれば設定が変更できそうだったが、あれこれ試してもPL1を引き上げることはできなかった。

 「Beelink EQ12」の試用機では、PL1が20Wに設定されているなど、やや通常の仕様と異なっていたが、「GemiBook XPro」搭載のN100は本来のN100同様、パッケージ上限のTDP6Wを超えられないのかもしれない。

 ただ、BIOS上の項目を眺めていると、PL設定をする項目が複数確認できたため、設定次第ではPL1を変更できるかもしれない。

低価格ノートPC再興の光となるか?

 これまでの低価格ノートPCは、メモリ容量を多少上げてもCPUパワーの不足が顕著にパフォーマンスに影響を与えるレベルのことが多かった事もあり、特定の用途を1つ与えて専用機として使うことが多かった。

 また、その用途であれば同じような価格帯の中古ノートPCでもいいんじゃない? という選択肢もあり、デザイン面や使い勝手などから中古のノートPCの方が選択肢として優れてる面も多々あった。

 「GemiBook XPro」では、N100の効果もあり、ようやく物理2コアの旧世代Core i5クラスならパフォーマンスでぶっちぎれるようになったのは喜ばしい。N100は第12世代プロセス設計の、内部的にはかなり新しい作りのCPUとなっているため、古いPCでは快適に動作しないようなアプリケーションも動作するからだ。

 例えば記事執筆後に、N100が4コアのCPUである点が気になったので「Google Play Games」をインストールしてみたところ、見事に正常にインストールでき、無事起動するできた。各種ゲームの多くは正常に動作していたが、レビューでも触れた「ウマ娘 プリティーダービー」については、残念ながら、筆者所有のノートPC「ThinkPad X1 nano」と同じ事象が発生しており、正常にプレイできなかった。

 2コアの「Surface Laptop」では正常にインストールできなかったことを考えると、今後もこうしたアプリケーションが増えてくることは想像に難くない。現段階ではまだマニア向けという印象も強いN100搭載PCの「GemiBook XPro」や「Beelink EQ12」だが、こうした高パフォーマンスの認知度が上がれば、今から買うならN100というのが今後のトレンドになるかもしれない。

動作条件に物理4コアCPUが必須となっている「Google Play Games」も正常に動作。パフォーマンスも良好だ

ただし、「ウマ娘 プリティーダービー」は画面が乱れて動作せず。なんでだよ!

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