やり取りはインスタ、情報検索はSNSで–スマホ・SNSネイティブ世代の大学生たち

CNET Japan

 大学の講義中、Z世代に当たる受講生たちにアンケートを取ってみた。その一部を紹介しながら、Z世代の傾向について解説したい。

 アンケートの回答者は合計160人。1年生が約半数を占め、2、3年生が約4分の1ずつ、4年生もおり、1〜4年まですべての学年の受講者がいる。男女比はほぼ半々である。

「スマホはiPhone」が9割以上

 スマホのOSを聞いたところ、「iOS」は91.9%を占め、「Android」は7.5%、「その他」が0.6%だった。他の年度に聞いたときにはiOS、つまりiPhone所有率が100%だったこともあり、やはりZ世代においてiPhoneの支持は圧倒的に強い。

 「友だちもみんな持ってるから」「高校生からずっとiPhoneだったから」など、無理をしてもiPhoneを使いたい。他のOSのスマホを持つことは検討もせず、“スマホといえばiPhone”という意識が強い学生が多いようだ。最新のiPhoneを持つ学生もいるが多数派ではなく、古いものを大事に使い続けていることも少なくない。

 海外でも若者層のiPhone所有率は高く、若年層へのiPhoneのブランド力は強い。

YouTubeよりもInstagram

 SNSのサービスごとの利用率を聞いたところ、「LINE」が99.4%で利用率トップに。続いて「Instagram」(95.0%)、「YouTube」(91.3%)、「Twitter」(83.1%)が上位となった。YouTubeよりもInstagramの利用率が高くなっている点が特徴的だ。

 事項で述べる通り、Instagramは大学生にとってコミュニケーションに使うメインツールであり、自分を表現したり、親しい友人と交流したりするために使われているのだ。

 その他、「TikTok」(57.5%)、「スマホゲーム」(53.1%)、「位置情報共有アプリ(ZenlyやNauNau等)」(33.1%)、「Discord」(21.9%)、「マッチングアプリ」(9.4%)、「ライブ配信アプリ」(5.6%)、「Facebook」(5.6%)、「mixi」(0.6%)などだった。

 TikTokを約6割、位置情報共有アプリを3割強、Discordを2割強が使っており、このあたりの利用率の高さも大人世代との違いとなるだろう。TikTokは女子学生、Discordは男子学生が多めとなっている。位置情報共有アプリは友人間で位置情報を共有し、空き時間などに合流するために活用しているようだ。

 マッチングアプリの利用率は1割程度だったが、他の年度では2割に及ぶときもあるなど、利用率はやはり高めだ。Facebookの利用率はずっと低く、ほぼ利用されていない。

インスタのDM、Twitterやビデオ通話でやり取りも

 コミュニケーション手段も大人世代とは異なっている。友だちとのコミュニケーション手段をすべて答えてもらったところ、最多は「LINE」(95.6%)だが、次点は「InstagramのDM」(89.4%)に。前述の通り、若者世代のコミュニケーション手段はInstagramのDMがメインなのだ。

 その他、「会って話す」(56.3%)、「通話」(43.1%)、「Twitter」(28.8%)、「ビデオ通話」(13.1%)、「Instagramのその他機能」(11.9%)、「ゲーム」(10.6%)、「Discord」(10.0%)、「その他SNS」(5.6%)などとなった。

 大人世代と比べて、Twitterやビデオ通話、ゲームやDiscordなどのツールでのやり取りが多いことがわかる。友だちと待ち合わせてボイスチャットしながらゲームをする、といった使い方がよくされており、通話するときに通話ではなくビデオ通話を選ぶ学生もいるなど、大人世代とはコミュニケーション手段が異なっている状態だ。

スマホ・SNSネイティブ世代ならではの特徴

 Z世代の特徴と言われることと自分がどのくらい合致しているかについても聞いてみた。

 一番合致していたのが、「情報はSNSで検索する」で、64.4%と6割強が当てはまった。「コスパ(コストパフォーマンス)重視」も60.6%と多い。最近流行りの「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」は33.1%、「匿名でのやり取りに抵抗がない」は30.6%とやはり多い。

 その他、「電話が苦手」は26.9%、「ネットリテラシーが高い」は22.5%、「節約に興味がある」は21.3%、「SNSで知り合った人に会うことに抵抗がない」は18.1%、「長い動画が見られない(ショート、TikTokなら見られる)」は16.3%、「ニュースはSNSでシェアされたものだけで十分」は13.8%、「儲け話に興味がある」は10.6%などだった。

 日本で最初に人気となったSNSであるmixiが登場して19年、iPhoneが日本に上陸してから約16年。大学生はまさにSNSネイティブ、スマホネイティブ世代ど真ん中世代だ。

 そのため、ネット利用には長けているが、その代わりに固定電話をかけた経験に乏しい。複数アカウントを使い分けて匿名に慣れているため抵抗感が少なく、ネットの知り合いに会うことにも抵抗が少ないというわけだ。

 また、閉塞感がある不況の中で育ってきているので、コスパや節約、儲け話などにも興味を持つ世代となっている。スマホ世代なので長い時間待つことができず、短くタイパの良い動画を好む傾向にある。

 もちろんすべての学生がZ世代の特徴に合致するわけではなく、一部しか合致しない学生も多い。しかし、世代的な特徴は指摘できるだろう。

 若者世代の新たな傾向が見えたら、またこちらで記事化していければと思う。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

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