ソーシャルメディアやオンラインゲームに「虚偽や誤解を招く情報」をホストしないよう強いるIT法がインドで誕生

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2023年4月6日(木)、インドの電子工学・通信技術省(MeitY)が2021年に制定されたIT法の一部修正を発表し、複数の自主規制組織(SRO)がインド国内でのリアルマネーゲームの運営を許可するかどうかを決定できるようにしました。今回のIT法の改正は、オンラインゲームやソーシャルメディアによる「虚偽あるいは誤解を招く情報」の取り扱いに対し、デューディリジェンスを強制することにあるとIT省は説明しています。

India to appoint agencies to fact-check content on social media; key amendments to online gaming rules – IBTimes India
https://www.ibtimes.co.in/it-rules-amended-social-networks-online-gaming-facts-take-precedence-how-details-858070


India to require Facebook and Twitter rely on gov’t fact checking | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/04/06/india-cracks-down-on-betting-games/

インドの電子・IT担当大臣であり、今回のIT法改正に尽力したラジーブ・チャンドラセカール氏は、「オンラインゲームは確かにインドの若い人々にとって大きなチャンスである」と言及。また、インド経済にとっても「インドのオンラインゲームエコシステムは拡大しており、数十億ドル(数千億円)規模の産業にまで成長しつつあります。2025年から2026年までに、オンラインゲームはインドが目指す『1兆ドル(約130兆円)規模のデジタル経済』における重要なファクターになると期待しています」と語り、オンラインゲームがインドの経済発展における重要な役割を担うと語りました。

New India is committed to an Open, Safe & Trusted and Accountable Internet! #Misinformation is a major threat to the principles of #OSTA

➡️ Building on the October 2022 notification of the #ITRules, @narendramodi Ji’s government is focused on checking and preventing the spread… pic.twitter.com/6cmewnd0hv

— Rajeev Chandrasekhar ???????? (@Rajeev_GoI)


今回の法改正では、企業に対して「ユーザーに危害を加える可能性のあるオンラインゲーム」および「政府によって指定されたオンラインゲームSROにより『認可されたオンラインゲーム』として検証されていないゲーム」をホスト・公開・共有しないように合理的な努力をすることが義務付けられます。また、賭け事を伴うオンラインゲームやウェブサイトの広告も完全に禁止されました。

MeitYは今回のIT法改正について、「産業界が参加するSROが認可されるべきオンラインゲームを検証するための枠組みの中核になる」と言及しており、ゲーム業界にSROを設立することも命じています。


さらに、MeitYは政府の業務に関する虚偽あるいは誤解を招く情報を報じる機関に対してもコンテンツのホスト・公開・共有を取りやめるよう合理的な努力を強いることができます。

MeitYはIT法の改正について、保護者・教師・学者・学生・ゲーマー・業界団体・子どもの権利団体など、複数の関係者と広く協議を行った上で立案されたものであると言及。

インド発のモバイルゲームプラットフォームであるMobile Premier Leagueの共同創業者でありCEOでもあるSai Srinivas氏は、「IT法改正はインドをゲーム業界のグローバルリーダーにするというナレンドラ・モディ首相のビジョンの実現に大きく貢献し、インドブランドおよぶインド産ブランドの継続的な成功にも寄与することとなるでしょう」と語りました。

非営利団体のAll India Gaming FederationでCEOを務めるRoland Landers氏は、「今回の法改正はオンラインゲームの包括的な規制に向けた決定的な第一歩であり、この業界を世界的な競争へと導くものとなるでしょう」「また、ここ数年で急増した反国家的で違法なオフショア賭博サイトの脅威を抑制することにも役立つでしょう」と語っています。


なお、IT法に従わないインターネットサービスプロバイダーは、セーフハーバー・ルールによる保護を失う可能性があると海外メディアのTechCrunchは報じています。

また、インドを拠点に活動するデジタル著作権団体のInternet Freedom Foundationは、「修正されたIT法は、特にニュースメディアやジャーナリスト、活動家などに対する言論と表現に対する基本的な権利への萎縮効果を高めるでしょう。また、政府がソーシャルメディアプラットフォームやほかの仲介者に効果的な削除命令を出す可能性もあります」と言及し、今回の法改正に批判的な意見を述べました。

TechCrunchは、「インドはFacebookやTwitter、Googleにとって重要な海外市場であり、特にFacebookとGoogleは過去10年間でインドに150億ドル(約2兆円)以上を投入し、最後の大きな成長市場を勝ち取るために争い合っています。これらのサービスは現在インドで5億人以上に使用されており、両社はインドにおけるIT法改正に反対してきました」と報じています。

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