PCおよびモニターは、PCリサイクル法によって回収・再資源化が義務付けられており、不燃ごみや粗大ごみとしての廃棄はNGだ。不要になったPCをいざ処分しようとしたものの、具体的な方法がはっきりせず、押し入れや物置に押し込んでそのままになってしまっている例は少なくないはずだ。
ここでは、そんな不要になったPCおよびモニターの適切な処分方法について、全国の地域を問わず利用できる2つやり方を、その特徴とメリット・デメリットを含めて紹介していく。
いずれも2023年3月現在の情報をもとにしており、将来的に変更になる可能性があることは注意してほしい。
ほかの家電製品も併せて無料回収してもらえるリネットジャパン
家庭用PCはその製造メーカーに回収および再資源化が義務付けられているが、各メーカーごとの申込窓口はいまいち分かりづらい上に、メーカーによってはすでにPCの製造から撤退していたりと、調べ方そのものが難しい場合もある。
そのためメーカーを問わず回収してくれる認定済みの業者を利用するのが、現実的な選択肢だ。
こうした家庭用PCの回収先としてよく知られるのがリネットジャパンだ。
「小型家電リサイクル法」における環境省・経済産業省の認定事業者であり、全国さまざまな自治体と提携している同社は、PCを箱に詰め込んで送るだけで原則無料でそれらを回収してくれる。
分解・破砕を行なったあと金属の種類やプラスチックごとに選別されるため、壊れていて動作しないPCも受付が可能だ。
またHDDなどのデータ消去サービスにも対応していることに加えて、同じ梱包内にPCが含まれていることを条件に、プリンタやスキャナなどの周辺機器はもちろん、ステレオや電子レンジなどその他の家電製品もまとめて引き取ってくれるとあって、利便性は非常に高い。
ちなみに認定事業者は同社以外にも存在するが、収集地域が全国におよんでおり、かつ直接回収を行なっているのはごくわずかだ。
手順としては以下の一連のスクリーンショットの通りで、まずは同社のホームページをから回収を申し込む。
PCのメーカー名や型番などを入力する必要はなく、また必要に応じてデータ消去サービス(有償)を申し込むこともできる。
集荷手配もまとめて行なえるので、申し込みが完了すればあとは荷物を梱包して待つだけだ。ちなみに回収を行なうのは佐川急便で、伝票も持参してくれるので記入する必要はない。
気をつけたいのは、「140cm以内」および「20kg以下」という制限だ。モニターを併せて回収してもらう場合や、ほかの家電製品をまとめて引き取ってもらう場合は、このサイズや重量を超えることは十分起こりうるので要注意だ。
また家電リサイクル法に基づく4品目、具体的にはテレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンは対象外なのでこちらも気をつけたい。
手順
ちなみに筆者はリネットジャパンによる回収をこれまで10回近く利用しているが、使い方のコツとしては「PCが複数台ある場合は1台ずつ申込を分ける」ということだ。
というのも、PCが含まれていればほかの小型家電も無料回収してくれるので、PCを1台ずつ分ければそのぶん多くの小型家電を回収してもらえるからだ。
小型家電を回収するためのボックスを設置している自治体もあるが、ポストの口に入るサイズでなくてはならず、周辺機器はともかくプリンタなどはまず投入が不可能なだけに、PCと組み合わせることを条件に、それらを無料で回収してくれるのは実にありがたい。
その結果として「次に小型家電を廃棄するときのために、不要なPCをしばらく手元に寝かせておこう」といった本末転倒なことになりかねないわけだが、それも本サービスが画期的である所以だ。
無料キャンペーンは繰り返し行なわれているので、それらのタイミングを狙って、ぜひ試してみてほしい。
パソコン3R推進協会による回収という方法も
さて、PCの回収はもう1つ、製造元のメーカーに回収してもらう方法もある。
大手のPCメーカーの多くが加盟している一般社団法人パソコン3R推進協会では、メーカー共通回収システムを用意しており、PCリサイクルマークがあるPCは、ここから無料で回収してもらえる。
すでにPCの製造から撤退している一部のメーカーもリストに名を連ねており、まさに「総合窓口」といった体だ。
今回、筆者の手元にあるNEC PCのPCについて、引き取りを依頼してみた。NEC PCは上記のメーカー共通回収システムではなく自社の専用窓口経由での申し込みになるのだが、フローはおおむね共通なので、スクリーンショットを中心に、前述のリネットジャパンとの相違点をざっと紹介する。
オンラインで申し込みを済ませた上で宅配便で送るという流れ自体は、前述のリネットジャパンと大きくは変わらないが、全体的にはかなりルールが細かい。
まず最初に、PC本体にリサイクルマークがあることを確認しなくてはならない。なくても回収はしてもらえるが、有償となり、払込票が届くまでにプラスアルファの日数がかかるので要注意だ。
さらに申し込みにあたってはPC本体の型番を入力する必要があるなど、リネットジャパンにはない手間がかかる。
梱包についても、緩衝材なしでビニール袋に重ねて包むといったルール(これはNEC PC独自のようだ)が定められているほか、キーボードやマウス、電源ケーブルなどの標準添付品は本体と分けずに同じ袋で梱包しなくてはいけないなど、細則が多いためにかなり気をつかう。
メーカー自ら回収することから、リネットジャパンのように標準添付品以外の周辺機器や家電製品を同梱することもできない。
また印字済みのエコゆうパック伝票が到着するまで数日待たなくてはならず、さらに集荷の手配も自身で行なわなくてはいけないので、申し込みがワンストップで行なえ、かつ最短で翌々日には集荷手配が可能なリネットジャパンと比べると、どうしても煩雑に感じてしまう。
これらの流れはパソコン3R推進協会経由で申し込めるメーカーでおおむね共通であり、ユーザー目線で見るとリネットジャパンのほうが圧倒的に手軽だ。
手順
もっともリネットジャパンにないメリットもある。まず郵便局への直接持ち込みに対応すること。自宅で集荷を待つのではなく、現物を直接持ち込みたい人はいるはずで、そうした人にとってはこちらのほうが便利だろう。
郵便局での発送になることから、佐川急便を利用するリネットジャパンに比べて、全国津々浦々まで対応できるのも利点だ。
申込後の状況はメーカーサイトで参照できるほか、発送後は通常のゆうパックと同じく郵便局のサイトから配達状況を追跡できる。引受はもちろん中継の情報まで事細かに表示されるゆうパックのサイトのほうが、安心だと感じる人もいるかもしれない。
以上のように、基本はリネットジャパンで問題ないはずだが、郵便局に持ち込みたい場合など、メーカーへの申し込みのほうがニーズに合致する場合もありそうだ。
また今回試したNECは、回収受付と並行して、買い取りプログラムを案内しており、そうした別の方法も併せて検討できるのはメーカーならではだ。リネットジャパンを利用する前に、メーカー窓口での回収フローもいちど確認してみてはいかがだろうか。
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