ChatGPTやDALL-E 2といったAIツールを開発したOpenAIの元社員が立ち上げたAIスタートアップのAnthropicが開発する、ChatGPTのようなチャットAIが「Claude」です。これまでNotionやQuora、DuckDuckGoといった主要パートナーと協力してクローズドアルファ版の開発を進めてきたというClaudeが、あらゆるユーザー向けに公開されました。
Anthropic | Introducing Claude
https://www.anthropic.com/index/introducing-claude
チャットAIのClaudeは、開発者コンソールのチャットインターフェイスにAPIを介してアクセスし、高度な信頼性と予測可能性を維持しながら、さまざまな会話およびテキスト処理タスクを実行できます。
Claudeは文章の要約・検索・ユーザーとの共同執筆・質疑応答・コーディングなどを行うことが可能で、既にClaudeを利用しているユーザーからは、「有害な出力を生成する可能性がはるかに低く、会話しやすく、操作しやすいものになっている」というフィードバックが返ってきているそうです。Anthropicは「より少ない労力で目的の出力を得ることができる」と述べ、Claudeの精度の高さを誇っています。
After working for the past few moths with key partners like @NotionHQ, @Quora, and @DuckDuckGo, we’ve been able to carefully test out our systems in the wild. We are now opening up access to Claude, our AI assistant, to power businesses at scale. pic.twitter.com/m0QFE74LJD
— Anthropic (@AnthropicAI)
実際、ひと足先にClaudeを利用開始したAIエンジニアが、ChatGPTとClaudeの性能を比較した実験結果を公開しており、「ClaudeはChatGPTよりも文章がやや冗長ではあるものの、自分に向いていない質問への回答を拒否したり、物語への理解度が高かったり、ChatGPTよりもジョークの質が高かったりと、より人間らしさに磨きがかかっています」と評価しています。
OpenAIの「ChatGPT」と元OpenAIエンジニアが開発した「Claude」の性能を比較した実験結果 – GIGAZINE
Anthropicは「Claude」と「Claude Instant」という2つのバージョンを提供しており、「Claude」は最先端の高性能モデルで、「Claude Instant」は軽量・安価・低遅延に特化したモデル。「Claude」の価格は100万文字当たりのプロンプトが2.9ドル(約390円)、出力が8.6ドル(約1150円)であるのに対して、「Claude Instant」の提供価格は100万文字当たりのプロンプトが0.43ドル(約58円)、出力が1.45ドル(約190円)です。なお、Anthropicは今後数週間でさらに多くのアップデートを導入する予定としています。
なお、Claudeのアーリーアクセスには以下から参加できます。
Early Access | Anthropic
https://www.anthropic.com/earlyaccess
さらに、Anthropicはひと足先にClaudeを利用している企業の活用事例も紹介しています。
Anthropicのパートナー企業のひとつであるQuoraは、同社のAIチャットアプリである「Poe」でClaudeを利用しています。Quoraの人事およびコミュニケーション関連責任者であるオータム・ベッセルマン氏は、「ユーザーはClaudeの回答が詳細で理解しやすいと語っており、やり取りが自然な会話のように成り立つことを気に入っています」と語っています。
実際、Poeユーザーからは「ClaudeはChatGPTよりも会話的だと感じます」「個人的には、回答の提示方法と詳細でありながらシンプルな回答が気に入っています」といった称賛の声が上がっているそうです。
オンライン教育ソリューションの大手プロバイダーであるjuniは、Claudeを使ってDiscordで使えるAIボット「Juni Tutor Bot」を強化しています。
juniのビビアン・シェンCEOは、「競合他社と比較検討し、我々のユースケースと実装では、より親切で高品質な回答が得られるということでClaudeの利用を決定しました。他のモデルの現状で見られるような表面的な回答とは異なり、Claudeは本物の家庭教師や先生と会話しているかのような回答を返してくれます。これが重要でした。数学の問題やクリティカル・リーディングにおける象徴の理解など、教科を問わず、Claudeを取り入れることで生徒の学習により良く、より豊かな答えが得られるようになりました」と語りました。
また、Notionは自社プラットフォームとClaudeを統合することで、職場や学校の人々の生産性を高めることに成功したとしています。Notionの共同創設者でありCOOでもあるアクシャイ・コトハリ氏は、「Claudeの独創的な執筆能力と要約能力は、コネクテッドAIアシスタントであるNotion AIの開発に貢献しています。Notionユーザーは、すべてNotionワークスペース内で、より効率的に作業し、ライティングスキルを向上させることができるようになりました」と語っています。
DuckDuckGoのスティーブ・フィッシャーCEOは、「我々はAnthropicとDuckAssistで協力できることを嬉しく思っています。これは、自然言語技術を使用して、Wikipediaやその他の関連ソースを使用して、検索クエリの回答を生成するという検索結果としては最初のインスタント回答です」「Anthropicはすでに素晴らしいパートナーであり、我々の厳しいプライバシー要件を満たしながら、DuckAssistの回答の質を向上させるために我々と密接に協力しています。我々は、このパートナーシップを継続することを楽しみにしています」と述べ、Wikipediaを情報源として検索結果に自然言語を用いた回答を出力するAI機能のDuckAssistにおいて、Anthropicと協力していることを明かしています。
法務インフラストラクチャビジネスを展開するRobin AIも、Claudeを活用しています。法律業界のようなドキュメントの多い分野では情報を見つけることが困難です。また、複雑な法律文書を読んで理解することも非常に重要になります。Robin AIのリチャード・ロビンソンCEOは、「私たちはClaudeを使用して、契約の特定の部分を評価し、顧客にとってより親しみやすい新しい代替言語を提案しています。私たちは2019年からこの種の技術に取り組んできましたが、Claudeの能力に匹敵するものはありませんでした」「Claudeは、法律用語などの技術分野を含め、言語を理解するのが非常に得意であることがわかりました。また、起草・要約・翻訳だけでなく、複雑な概念を簡単な言葉で説明する能力も非常に優れています。当社の製品にClaudeを導入して以来、ユーザーエンゲージメントは向上しており、ユーザーからのフィードバックも強化され、より多くの取引成立につながっています」と語りました。
AssemblyAIはAnthropicと提携して音声データを文字起こしし、理解するAPIプラットフォームを強化しています。AssemblyAIの創設者でありCEOでもあるディラン・フォックス氏は、「このパートナーシップが当社のAIイニシアチブを前進させることを楽しみにしています」とコメントしています。
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