Amazonが2023年3月14日、SpaceXが提供するStarlinkの対抗馬として注目される衛星インターネットサービス「Project Kuiper」で顧客が使用するアンテナを発表しました。Project Kuiperのアンテナは全部で3種類存在し、最大100Mbpsの携帯性に優れたアンテナから最大1Gbpsを提供する高性能アンテナまで、顧客が用途に応じて選択できるとのことです。
Here’s your first look at Project Kuiper’s low-cost customer terminals
https://www.aboutamazon.com/news/innovation-at-amazon/heres-your-first-look-at-project-kuipers-low-cost-customer-terminals
Amazon reveals its squared-off Project Kuiper satellite internet dishes – The Verge
https://www.theverge.com/2023/3/14/23639450/amazon-project-kuiper-satellite-dish-internet
Amazon unveils three satellite user terminals, plans broadband service in 2024 | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/03/amazon-says-its-satellite-home-internet-terminals-cost-under-400-to-produce/
Project KuiperはAmazonが計画している低軌道衛星ネットワークサービスであり、従来の通信インフラでカバーされていない地方やコミュニティに対し、衛星を通じて高速かつ手頃な価格のインターネットを提供するとしています。衛星インターネットサービスでは顧客が通信用のアンテナを設置する必要があるため、Amazonはアンテナの小型化や低価格化に努めたとのこと。
Amazonは3月14日のブログで、「Project Kuiperは数千万人の顧客にサービスを提供することを計画しているため、プロジェクトの開始時に『構築費用が500ドル(約6万7000円)未満の顧客端末を設計する』という野心的な目標を設定しました。Project Kuiperのエンジニアは2020年にこのマイルストーンを達成し、従来の設計よりも小型で軽量な新しいアンテナアーキテクチャを発明しました。それ以来、チームは端末設計をさらに小さく、より手頃な価格で、より高性能にするために革新を続けてきました」と述べています。
そしてAmazonは、Project Kuiperで提供する3種類のアンテナについて紹介しています。まず1つ目が、一般住宅および中小企業向けの標準アンテナです。このアンテナは本体のサイズが11インチ(約38cm)四方未満、厚さが1インチ(約2.5cm)未満であり、取り付けブランケットを除く重量は5ポンド(約2.27kg)未満となっています。通信速度は最大400Mbpsで、Amazonは各アンテナを400ドル(約5万3600円)未満で提供する予定だとのことです。
2つ目は、サイズが7インチ(約17.8cm)四方未満で重量が約1ポンド(約450g)の小型アンテナです。手軽に持ち運びできるサイズでありながら通信速度は最大100Mbpsとなっており、Amazonが公開した画像はアウトドアでの使用を想定したものとなっています。
また、Project Kuiperはより要求水準の高いニーズに対応するため、サイズが19インチ(約48cm)×30インチ(約76cm)で最大1Gbpsの通信速度を提供する大型のアンテナも提供するとのこと。
AmazonはProject Kuiperで使用するアンテナに、「Prometheus」というコードネームで開発した自社製ベースバンドチップを搭載することも発表しています。Prometheusはセルラー基地局としての処理性能も有しており、顧客側のアンテナだけでなくProject Kuiperの衛星や地上のゲートウェイアンテナにも使用され、各衛星で最大1Tbpsのトラフィックを処理できるとのことです。
Project Kuiperテクノロジー担当ヴァイス・プレジデントのRajeev Badyal氏は、「Project Kuiperの目標は、サービスの行き届いていないコミュニティや十分なサービスを受けていないコミュニティをつなぐだけでなく、サービスの品質、信頼性、価値で彼らを喜ばせることです」と述べました。
また、Amazonは2023年第1四半期にProject Kuiperのプロトタイプ衛星を打ち上げることを決定しており、2023年2月8日には連邦通信委員会(FCC)が打ち上げを承認しました。一時はライバルであるSpaceXのロケットが打ち上げに使われる可能性も示唆されていましたが、ブログではユナイテッド・ローンチ・アライアンスのロケットを使うと記されています。
Amazonの衛星インターネット「Project Kuiper」が2023年第1四半期の打ち上げ決定 – GIGAZINE
さらにAmazonは、アメリカ・ワシントン州カークランドに人工衛星の製造施設を建設し、2023年末までに衛星の大量生産を開始する予定だと主張しています。2024年前半には最初の本番衛星を打ち上げ、2024年中にProject Kuiperの早期顧客に対してサービスへのアクセスを提供するとのことです。
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