ピーナッツバターとバナナ、ベーコンが挟まっているエルヴィスサンドを知ってほしい

デイリーポータルZ

皆さんはエルヴィスサンドをご存知だろうか?

私が敬愛するエルヴィス・プレスリーのお母さんが考案したと言われる彼の大好物で、アメリカでは一般的なメニューだ。

ピーナッツバター、バナナ、ベーコンという意外な組み合わせなので、日本人にはあまり馴染みがない。しかし、それじゃあ困るのだ。皆さんが普通に「エルヴィスサンドでも食べるか!」なんて思うような環境を、私は整えなければならない。

エルヴィスは片手袋と同じ、意識すると見える

私は「片手袋研究家」を名乗り、片手袋を20年近く研究している。

エルヴィスは出生時に双子の兄を死産で亡くしているので、片手袋的存在といえる

これまでに遭遇した片手袋は5,000枚以上。「え?片手袋ってそんなにあるの?」と思われるかもしれないが、ある。「別に珍しくもなくてそこら辺に当たり前にあるからこそ、誰も見なくなってしまう存在」、それが片手袋なのだ。

そしてそれは、エルヴィス・プレスリーも同じといえる。
なにしろ亡くなってから45年以上経ってしまっているのだ。
少し知っている人でも「ドーナッツの食い過ぎで死んだ人」「腕のピラピラの人ね~」、若い世代ならば「エルヴィス?誰それ?」という感じで、もはや誰も見なくなってしまった存在。

しかし、ちょっと意識して町を見渡して欲しい。エルヴィスも片手袋と同じく、実は日本でもそこら中に“ある”ことが分かるはずだ。

エルヴィスだって町の自動販売機に…
デパートに掲げられた巨大広告に。よく見ると色んなところにいる

エルヴィスが大好きで彼の魅力を追いかけ続けてきた私としては、こんなに目立つところにあっても見えなくなってしまった彼の存在をもう一度可視化させたい。しかし、そんなことが可能なのだろうか?ヒントは片手袋にあった。

これまでに、私の研究に触れた人から「片手袋の存在を知ったら、片手袋が見えるようになりました」と何回も言われてきた。そう。片手袋はずっとそこにあった。あとは気付くか気付かないか、だけなのだ。

人間の脳は「ある」と認識した瞬間から「見える」ようになる

だったらエルヴィスも「黒人文化と白人文化の融合」なんて細かい話をする前に、どんな形でも良いから存在自体を知ってもらう機会を増やすべきだろう。

例えばエルヴィスサンドが日本でもっと一般的な食べ物になれば、「エルヴィスってなんだろう?」と興味を持つ人が出てくる一つのきっかけになると思うのだ。

昨年公開された映画『ELVIS』初日に駆けつける私。5回見た

だからエルヴィスサンドを作ってみよう!

それではエルヴィスサンドの作り方をご紹介。ご家庭でも簡単に作れるので、是非皆さんも試してみて欲しい。

①ベーコン焼く!

軽く焼くだけでも、カリカリベーコンでも、お好みで

②スライスしたバナナ焼く!

焼くと柔らかくなるのでお好み次第では生のままでも良い。傷んだバナナも利用できます

③パンにピーナッツバター塗る!

ピーナッツクリームでもOK

④パンに焼いたベーコンとバナナを乗せて挟む!

⑤キツネ色になるまで焼く!

トースターでも良いが、できればバターを敷いたフライパンで。焦げやすいので気を付けて

⑥完成!

めちゃくちゃ簡単。子供でも作れます

一瞬ひるむ人もいると思うが、恐れずGOだ。「甘じょっぱい」なんて日本人が好む味付けじゃないか。誰でも好きな味とまでは言わないが、多くの人が「あれ?美味しいじゃん!」となるはずだ。

私は「エルヴィスならどう考えるだろう?」で考えてます

約20年前。リバイバル上映されていたエルヴィスのライブ映画をなんとなく見に行った。ドンドコ、ドンドコと激しいドラムにあわせてステージに飛び出してきた彼を見た瞬間、私は雷に打たれたような衝撃を味わった。

格好良くて、可愛くて、美しくて、真剣で、ふざけてて、楽しくて、寂しそうで。「魅力」というものを塗り固めて人型に抜いたような存在が、ラスヴェガスの会場を瞬時に掌握し躍動する奇跡。「こんな人がいたのか!」。

私の人生は、この時のエルヴィス体験以前と以降とで大きく変わった。「エルヴィスならどう考えるだろう?」。それがすべての価値基準になってしまったのだ。内田裕也がなんでもかんでも「ロックンロール!」で済ませて笑われていたが、私にとっては非常に良く理解できる表現であった。

(次のページはエルヴィスピザとエルヴィスそばがきが登場! )

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