PCを組もうとすると、「今は買い時」や「今は時期が悪い」など時期的な要因で買い控えてしまうこともあるかと思う。筆者としては「欲しい時が買い時」と自信をもって言いたいところだが、どうしてもコスパを気にしてしまう性格なのでなかなか手が出ないでいる。
そんな引っ込み思案の筆者なのだが、今回2023年1月に発売されたCore i5-13500がようやく「買い時」になったため紹介したい。
いい感じでコスパの高いやつ
今回購入するCore i5-13500だが、Intelの第13世代Raptor Lake-Sのちょうど真ん中に位置するミドルレンジCPUとなる。
前世代となる第12世代から第13世代に変わる際、Core i5のKなしモデルに関しては高効率コアとなるEコアが追加されたところが大きいだろう(消費電力も上がったが……)。
Core i5-13500は発売当初4万円前半だったのだが、2月に入り3万5,000~3万7,000程度まで値下がりしたことで一気に買いやすくなった印象がある。執筆時点で1つ下のCore i5-13400との差額は3千円程度だ。1つ上となるK付きのCore i5-13600Kからは冷却を気にする必要が出てくる上に、差額は1万円程度まで開いてしまうため、筆者としてはこのCore i5-13500が「いい感じでコスパの高いやつ」と判断することにした。
モデルナンバー | Core i5-13600K | Core i5-12600K | Core i5-13500 | Core i5-12500 | Core i5-13400 | Core i5-12400 |
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開発コードネーム | Raptor Lake-S | Alder Lake-S | Raptor Lake-S | Alder Lake-S | Raptor Lake-S | Alder Lake-S |
CPUアーキテクチャ | Raptor Cove + Gracemont | Golden Cove + Gracemont | Raptor Cove + Gracemont | Golden Cove | Raptor Cove + Gracemont | Golden Cove |
製造プロセス | Intel 7 | Intel 7 | Intel 7 | Intel 7 | Intel 7 | Intel 7 |
Pコア数 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
Eコア数 | 8 | 4 | 8 | 0 | 4 | 0 |
CPUスレッド数 | 20 | 16 | 20 | 12 | 16 | 12 |
L2キャッシュ | 20MB | 9.5MB | 11.5MB | 7.5MB | 9.5MB | 7.5MB |
L3キャッシュ | 24MB | 20MB | 24MB | 18MB | 20MB | 18MB |
ベースクロック | Pコア=3.5GHz、Eコア=2.6GHz | Pコア=3.7GHz、Eコア=2.8GHz | Pコア=2.5GHz、Eコア=1.8GHz | Pコア=3.0GHz | Pコア=2.5GHz、Eコア=1.8GHz | Pコア=2.5GHz |
Turbo Boost 2.0 | Pコア=5.1GHz、Eコア=3.9GHz | Pコア=4.9GHz、Eコア=3.6GHz | Pコア=4.8GHz、Eコア=3.5GHz | Pコア=4.6GHz | Pコア=4.1GHz、Eコア=3.3GHz | Pコア=4.4GHz |
Turbo Boost Max 3.0 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
Thermal Velocity Boost | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
CPU内蔵GPU (iGPU) | UHD Graphics 770 | UHD Graphics 770 | UHD Graphics 770 | UHD Graphics 770 | UHD Graphics 730 | UHD Graphics 730 |
GPUコア数 | 32 | 32 | 32 | 32 | 24 | 24 |
GPU最大クロック | 1.50GHz | 1.45GHz | 1.55GHz | 1.45GHz | 1.55GHz | 1.45GHz |
対応メモリ | DDR5-5600(2ch)、DDR4-3200(2ch) | DDR5-4800(2ch)、DDR4-3200(2ch) | DDR5-4800(2ch)、DDR4-3200(2ch) | DDR5-4800(2ch)、DDR4-3200(2ch) | DDR5-4800(2ch)、DDR4-3200(2ch) | DDR5-4800(2ch)、DDR4-3200(2ch) |
PCI Express | PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 |
PBP | 125W | 125W | 65W | 65W | 65W | 65W |
MTP | 181W | 150W | 154W | 117W | 154W | 117W |
対応ソケット | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 |
さて、買いに行くぞ
狙いは決まったのであとは買うだけである。筆者は首都圏もしくは愛知をベースに活動しているため、秋葉原か大須が行きつけの電気街だ。
が、やってきたのは台湾の八徳商圏。いわゆる光華商場がある辺りのことだ。
なんで台湾に来てしまったのかといえば、以前、Intel Arc 770を買いに行った時の記事の最後に「次は筆者も自分のためのパーツを買いに再び訪れたいと思う」とノリで書いてしまったからだ。悔しいが有言実行である。
なお、正確に言えば12月にも台湾へ行っているため次の次になってしまった。12月は本当に物欲が湧かなかった……申し訳ない。
今回は順發(SUNFAR)でCore i5-13500を購入することにした。
この八徳商圏の順發(SUNFAR)は免税に対応しているため、外国人的にはかなり重宝するショップだ。
店内に入り、ショーケース内にあるCore i5-13500が欲しいと店員さんに伝え会計をする。
売り切れということもなくこれで一安心である。お値段は7,990台湾ドル(約3万6,500円)。この値段は筆者が八徳商圏を回って確認した限り最安値でもあった。
と思いきや重要な免税の手続きを完全に理解していないようでかなり焦る。
筆者は日本のパスポートをチラつかせ、タックスリファウンドと念仏のように唱えているのだが、なかなか意味が通じない。退税の文字を見せてようやく理解してもらった。
ここで台湾の免税について簡単にまとめると
- 還元額は日本で言う消費税分の5%で、そのうち20%は手数料として引かれる
- 今回のCore i5-13500については7,990台湾ドルなので、その5%が380台湾ドル
- そこから手数料分が20%なので最終的な還元額は304台湾ドルとなる計算
- なお、最低でも3,000台湾ドル以上会計する必要があるため計画的に買い物をする必要がある
最終的に専用の二次元コードが記載された紙が渡されるのでこれを帰国時に空港で処理すれば完了だ。
なお、今回CPUだけ買えば良かったのだが、2日後に同じ順發(SUNFAR)へ行くとKingstonのPCIe Gen 4.0 に対応したエントリークラスのSSD、「NV2」の2TBが2,599台湾ドル(日本円で1万1,900円程度)で販売されていたので衝動買いをしてしまった。それも2枚。
プライスカードに「快閃價2T爆殺(フラッシュプライス2Tバーストキル)」と強烈なワードが書かれていたわけだが、今回筆者はまさに爆殺されてしまった形だ。もちろんこちらのSSDも免税対象だ。
今回の免税後の最終的な価格は以下の通りとなった。
- Core i5-13500:3万5,063円
- Kingston NV2 2TB(2枚):2万2,770円(1枚あたり1万1,385円)
※購入、還付含めすべてJCBカードを利用
実際に組み込む
今回Core i5-13500を入手するにあたって用意した(正確に言えば未使用品を発掘した)パーツはマザーボードとCPUクーラー、SSDだ。それ以外は流用することにした。
旧環境 | 新環境 | |
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CPU | Ryzen 5 3600 | Core i5-13500 |
CPUクーラー | SCYTHE 白虎弐AMD専用版 SCBYK-2000A | SCYTHE 白虎 弐 SCBYK-2000I |
メモリ | Crucial Ballistix Sport LTDDR4 PC4-25600 16GB×4 | |
マザーボード | ASRock X570M Pro4 | ASUS PRIME B660M-A D4 |
システム用SSD | SAMSUNG MZVPV512HDGL-00000 SM951 | Optane Memory H10 with Solid State Storage 512GB |
データ用SSD | Crucial MX300 CT750MX300SSD1 | Kingston NV2 2TB |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3070 GAMING Z TRIO | |
電源 | Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1050W PLATINUM (1,050W/80PLUS Platinum) | |
OS | Windows 11 Pro |
マザーボードのPRIME B660M-A D4は本来第12世代Alder Lake-S向けの製品であり、今回使う第13世代Raptor Lake-S を使うにはBIOSアップデートおよびMEファームウェアのアップデートが必要になる。
第13世代に工場出荷時から対応しているロットには箱に「NEXT-GEN CPU READY」とシールが貼られているが、筆者は昨年(2022年)の夏頃から未開封のまま放置していた関係上当然対応していない。そのため組み込む前に第12世代Alder Lake-SのCPUを使いアップデートをした上で第13世代Raptor Lake-Sに対応させている。正直とてもしんどかった。
CPUクーラーに小型の白虎 弐を選んでいる理由は筆者が使用しているPhanteksのケースレイアウト上の問題となる。
ファンサイズが大きくなると、ケース上部に配置されているMini-ITXシステムのビデオカードに干渉してしまうためだ。
なお各種ベンチマーク結果については以下の通りだ。
PCMark 10 Extended | |
---|---|
Overall | 10,754 |
Essentials | 10,367 |
Apps Score | 14,185 |
Web Score | 10,493 |
Chat Score | 7,486 |
Productivity | 10,852 |
Writing Score | 8,317 |
Spreadsheet Score | 14,162 |
Digital Content Creation | 13,140 |
Photo Score | 16432 |
Video Score | 7,301 |
Rendering and Visualization Score | 18,913 |
Gaming | 24,454 |
Graphics Test 1 | 165.21428 fps |
Graphics Test 2 | 141.48663 fps |
Physics Test | 98.97193 fps |
Combined Test | 58.87966 fps |
3DMark | |
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TimeSpy | 13,671 |
FireStrike | 28,714 |
Port Royal | 8,326 |
CPU Profile | |
Max threads | 8,970 |
16 threads | 8,362 |
8 threads | 6,353 |
4 threads | 3,860 |
2 threads | 2,027 |
1 thread | 1,022 |
Cinebench R23 | |
---|---|
CPU(Multi Core) | 20,377 |
CPU(Single Core) | 1,823 |
Blender Benchmark | |
---|---|
monster | 131.768699 |
junkshop | 75.506592 |
classroom | 64.066084 |
3,840×2,160ドット/最高画質/ウィンドウモード | 11,220(とても快適) |
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BLUE PROTOCOL ベンチマークソフト | |
2,560×1,440ドット/最高画質/仮想フルスクリーンモード | 16,694(極めて快適) |
Core i5-13500を使い、イチから組むとどれくらいの値段になる?
筆者はあくまでもパーツ流用前提だったが、このCore i5-13500でイチから組むとどれくらいの値段になるだろうか。
今回、特別にパソコン工房 秋葉原 BUYMORE店で筆者の使用したCore i5-13500とPRIME B660M-A D4を使った構成を見積もっていただいた。メモリやストレージの容量はBTOの定番を加味しつつ選定している。
【表】パソコン工房 秋葉原 BUYMORE店で見積り | |
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CPU | Core i5-13500 |
CPUクーラー | DeepCool AK400 |
メモリ | Crucial CT2K8G4DFS832A |
マザーボード | ASUS PRIME B660M-A D4 |
SSD | Solidigm P41 Plus 512GB |
ケース | Cooler Master MASTERBOX MB311L ARGB |
電源 | 玄人志向 KRPW-BK550W/85+ 550W |
OS | Windows11 Home (RTL) |
この構成で10万0,240円となる。この価格帯ではBTOでもCore i5-13400の構成(むしろCore i5-13500が選べるところは見当たらない)となるため自作のスキルがある、もしくはこれからチャレンジしてみたい読者には魅力的な話ではないだろうか。
パソコン工房 秋葉原 BUYMORE店の「PRIME B660M-A D4」は3月1日入荷ロットよりすべて第13世代Raptor Lake-Sに対応しているようで、そのため筆者のようなしんどい思いはしなくても良いそうだ。このあたりは実際の商品を手に取れるリアル店舗での購入が有利ではあるだろう。
また、同クラスのマザーボードはほかのメーカーでも展開されているためスペックや出荷時BIOSの状態を考慮しながら自分のベストマザーボードを選択していきたい。
なお、この見積もりはビデオカードなしの構成となるため、用途としては事務用で快適なマシンという具合だ。さらにゲームも楽しみたい場合はプレイしたいタイトルにあわせてビデオカードを追加し、電源も可能であればワンランク上のものにしたいところだ。
最後に
執筆時点である3月上旬の秋葉原で調べたCore i5-13500の最安値は3万5,680円となっていた。そう考えると差額はたったの617円だ。分かってはいたが、わざわざまで台湾へ行って買う必要はなく、むしろマザーボードとセットで割引を使えば逆転されてしまうレベルとなっている。そしてもちろん台湾で買った場合は日本国内の保証もない。
筆者の見込みでは、台湾なら日本より安く買える! すごい! という記事になるはずだったのだが……。
さて、CPUに限らずこの3月、国内のPCパーツ事情をみるとさまざまなパーツが良い値段になっていることに気がつくだろう。ただ、3月というのは年度末でもあるため4月以降各種パーツの値段が維持されるかどうかは正直分からない。そう考えるとこの3月中に一式揃えておくのも悪くないのではないだろうか。
筆者はもう買ってしまったので、沼の底で読者のみなさんを待っていようと思う。
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