今回も、グロービス経営大学院とフライヤー主催による「読者が選ぶビジネス書グランプリ」で、2023年のリベラルアーツ部門賞に選出された「13歳からの地政学」を紹介する。本アワードは、読者が「有益だった」「実用的だった」と思うビジネス書に投票する形式で選出され、2023年は投票者数・投票総数ともに過去最高を記録した。
刊行後から売れ続けているこの話題書は、世界で起こっているさまざまな出来事の背景をわかりやすく学べる1冊である。
本書は年齢不詳のアンティークショップのオーナー「カイゾク」との会話を通じて、高校生と中学生の兄妹が世界の仕組みや国同士のかけひきの裏側を7日間かけて学んでいく、というストーリーだ。そのため、肩肘を張ることなく一気に読み進めることができ、自然と学びを深められる。
著者は、国際政治記者として40カ国以上の国で、政治経済から文化に至るまで幅広く取材を行ってきた。そんな著者だからこその視点で、歴史問題の本質や、国同士の関係性を解説してくれる。「なぜアメリカが世界最強の国となったのか」「なぜ米中関係が悪化するようになったのか」「なぜ中国が南シナ海への進出を加速させるのか」といったことが、カイゾクと兄妹のやり取りを楽しむだけで見えてくる。
また、地球温暖化をポジティブに捉える側面、テロリストがヒーローになる場合など、物事を一元的に捉えていては見えてこない事柄も登場する。多元的で広い視野の必要性に気付かせてくれる1冊だ。
世界の構造を知る上でのエッセンスが詰まった本書は、子どもだけでなく大人にも読み応えがある。ロシアによるウクライナ侵略など、国際情勢が不安定な今だからこそ、地政学を教養として身に付け、世界を見る目を鍛えていくことが大切である。
今回ご紹介した「13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。