米Intelは15日(現地時間)に、Sapphire Rapidsをベースとしたワークステーション向けCPU「Xeon W-3400」、「Xeon W-2400」シリーズを発表した。これに合わせる形で、SupermicroからこのCPUに対応したマザーボード「X13SWA-TF」および「X13SRA-TF」が発表となった。Supermicroのご好意により、PC Watchはではいち早くこの2モデルを試用できたので、まずは写真で紹介していく。後日、CPUの性能を含めて改めて詳細をお伝えする。
両モデルともにIntel W790チップセットを採用し、LGA4677で最大56コアのXeon Wに対応する。TDPは350Wまでとなる。メモリはECC RDIMMまたはRDIMM 3DSで、上位のX13SWA-TFは8ch/16枚で最大4TB、下位のX13SRA-TFでも4ch/8枚で最大2TBという驚異的な容量をサポートする。
Xeon W-3400とXeon W-2400シリーズは現在のところ15モデルが用意されている。主な違いは対応メモリチャネルとPCI Expressレーンで、W-3400は8チャネル/112レーン、W-2400は4チャネル/64レーン。仕様には特に書かれていないが、既に明らかになっているサーバー向けのSapphire Rapidsの情報から推測するに、W-3400はチップレットのXCC、W-2400はモノリシックのMCCだと思われる。
プロセッサー・ナンバー | コア数 | ベース周波数 | 最大周波数(Turbo Boost Max Technology 3.0) | キャッシュ | ベースパワー | ターボパワー | メモリチャネル | PCIeレーン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
w9-3495X | 56 | 1.9GHz | 4.8GHz | 105MB | 350W | 420W | 8ch | 112 |
w9-3475X | 36 | 2.2GHz | 4.8GHz | 82.5MB | 300W | 360W | 8ch | 112 |
w7-3465X | 28 | 2.5GHz | 4.8GHz | 75MB | 300W | 360W | 8ch | 112 |
w7-3455 | 24 | 2.5GHz | 4.6GHz | 67.5MB | 270W | 324W | 8ch | 112 |
w7-3445 | 20 | 2.6GHz | 4.8GHz | 52.5MB | 270W | 324W | 8ch | 112 |
w5-3435X | 16 | 3.1GHz | 4.7GHz | 45MB | 270W | 324W | 8ch | 112 |
w5-3425 | 12 | 3.2GHz | 4.6GHz | 30MB | 270W | 324W | 8ch | 112 |
プロセッサー・ナンバー | コア数 | ベース周波数 | 最大周波数(Turbo Boost Max Technology 3.0) | キャッシュ | ベースパワー | ターボパワー | メモリチャネル | PCIeレーン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
w7-2495X | 24 | 2.5GHz | 4.8GHz | 45MB | 225W | 270W | 4ch | 64 |
w7-2475X | 20 | 2.6GHz | 4.8GHz | 37.5MB | 225W | 270W | 4ch | 64 |
w5-2465X | 16 | 3.1GHz | 4.7GHz | 33.75MB | 200W | 240W | 4ch | 64 |
w5-2455X | 12 | 3.2GHz | 4.6GHz | 30MB | 200W | 240W | 4ch | 64 |
w5-2445 | 10 | 3.1GHz | 4.6GHz | 26.25MB | 175W | 210W | 4ch | 64 |
w3-2435 | 8 | 3.1GHz | 4.5GHz | 22.5MB | 165W | 198W | 4ch | 64 |
w3-2425 | 6 | 3GHz | 4.4GHz | 15MB | 130W | 156W | 4ch | 64 |
w3-2423 | 6 | 2.1GHz | 4.2GHz | 15MB | 120W | 144W | 4ch | 64 |
ちなみに表に載せていない細かいところだと、動作温度の違いやパッケージキャリアの形状の違いなどもある。
表からも分かる通り、W-3400シリーズは上位が「w9」で下位が「w5」、W-2400シリーズは上位が「w7」で下位が「w3」となっている。基本的にはW-3400の方がメモリチャネルやPCI Expressレーン数、キャッシュ容量が多くハイスペック寄りだが、W-2400の方はその分消費電力が少ないのが最大のメリットだ。
ちなみにXeonはこれまでCPUのオーバークロックをサポートしていなかったが、Sapphire Rapidsではついに解禁となり、本製品も対応が謳われている。また、メモリがRDIMMでありながらDDR5 XMP 3.0を初サポートするとしている(Supermicro製品の対応の有無は不明)。Intelは2019年にリリースしたCore Xシリーズ以降、オーバークロックできるハイエンドデスクトップ向けのCPUをリリースしてこなかったが、(メモリこそRDIMMではあるものの)Sapphire Rapidsでこのセグメントに帰ってきたとも言える。
X13SWA-TF
まずはプロフェッショナルワークステーション向けだと位置づけられているX13SWA-TFの方から見ていく。この製品はXeon W-3400とW-2400の両方をサポートするが、メモリスロットが16基あり、W-3400でのみ8チャネル構成が可能であることや、PCI ExpressもM.2スロットもふんだんに用意していることから、基本的にW-3400の利用を前提としたモデルである。
フォームファクタはExtended ATXであり、この大きさでありながらパーツはぎっしり詰まっている。PCI Express 5.0対応スロットが6基、PCI Express 5.0対応M.2スロットが4基搭載されており、さまざまな拡張のニーズに応えられる。また、ストレージインターフェイスもSATA 6Gbps×8、NVMe対応U.2×2と圧巻だ。
外部のI/Oも豊富で、背面にUSB 3.2 Type-C、USB 3.1×4、USB 2.0×2、10Gigabit Ethernet(Marvell AQV113C)、Gigabit Ethernet(Intel I210-AT)、シリアルポート、ミニD-Sub15ピン、音声入出力(Realtek ALC888S)を搭載している。また、ASPEEDのAST2600によるリモート管理機能も対応する。
X13SRA-TF
高効率ワークステーション向けと謳うX13SRA-TFは、メモリスロットが8基で、4chまでしかサポートしてない。W-3400シリーズも利用可能だが、どちらかと言えばW-2400シリーズ向けだと捉えた方がいいだろう。
下位モデルとは言え、AST2600によるリモート管理機能などはX13SWA-TF譲り。また、PCI Express 5.0 x16スロットは3基、同M.2スロットは2基、PCI Express 4.0 x4スロットが1基あり、このあたりの拡張性の良さもメインストリーム向けCPU/マザーボードに対して大きなアドバンテージとなるはずだ。
メインストリーム向けの第13世代Coreでは、PCI Express 5.0が16レーンに限定されているため、PCI Express 5.0対応のSSDを使おうとすると必然的にビデオカード側がx8接続となる。このためIntelプラットフォームでいち早くPCI Express 5.0対応SSDを使いつつ、ビデオカードの性能も妥協したくないというユーザーなら、選択肢に入れてほしい。
ちなみにSATAは6基となり、U.2も搭載しない。背面のUSB 2.0もないなど、X13SWA-TFからいくつかインターフェイスが削がれている。しかしUSB 3.2およびUSB 3.0のピンヘッダーがあり、前面インターフェイスを充実させて使い勝手を向上させられる点は評価したい。
ワンランク上のPC環境
新しいXeon Wは、とにかくPCI Expressレーンの多さが光り、ビデオカードの性能を妥協せず、最新の高速ストレージ環境を構築したいユーザーにうってつけだ。また、キャッシュ容量が効くアプリも多く、Eコアを省いたシンプルさも良いと感じるユーザーも少なくないだろう。
いかんせんLGA4677対応CPUクーラーが少ない上に、いくらCPUが魅力的な価格だとしても、RDIMMの値段の高さで躊躇するユーザーは出るだろう。だが、これまでCore XやRyzen Threadripper環境を構築してきたエンスージアストであれば、値段はともあれ久しぶりのHEDT(ハイエンドデスクトップ)プラットフォームに心惹かれるはず。その環境をいち早く構築したいのであれば、Supermicroのこの2製品を真っ先に買い物リストに入れておきたい。
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