十二支(じゅうにし)は中華圏や東南アジアなど、日本以外にも広く根付いた文化である。そんななか、なぜかベトナムにだけは “ウサギ年の代わりにネコ年がある” ことをご存知だろうか? 理由は諸説あるが、正確には分からないようだ。
やや誤解を招く言い方になるが、仮に私が十二支の中でどれか1つを脱落させるとすれば “ネズミ、ヘビ、イノシシあたり” から選ぶと思う。かわいいウサちゃんを脱落させてまでネコを採用するとは、ベトナム人はよほどのネコ好きに違いない。
今年は12年に1度のネコ年だ。ネコ好きたちの熱気を体感すべく、新年のベトナムを歩いてみた!
・ベトナム猫は目が細い
ベトナムは旧暦で正月を祝う国。まさに今、新年ムードに包まれている最中である。
空港へ降り立つと、さっそくネコ年感あふれる電子広告が視界に飛び込んできた。ベトナム語は読めないが、たぶん「ベトナムでいっぱいお金を使ってね!」的なことが書かれているのだろう。
首都ハノイのシンボル・ホアンキエム湖周辺もネコ仕様。
イオンには巨大なネコのオブジェが設置され、さながらパワースポット扱いを受けていた。
ニューイヤー・ネコグッズも多数。
ところでフト気づいたが、ベトナムにおけるネコのイラストは “笑顔” で描かれる場合が多いらしい。日本で “クールに見開いたつり目” が特徴的に描かれるのと対照的だ。
街を歩けば2〜3軒に1軒の割合で、店先に招きネコが設置されている。
市場にも大量の招きネコが……しかしながら、果たしてネコ年と関係があるのかは不明。
ベトナムでこれほど招きネコが愛されていたとは、ちょっと予想外だなぁ。
・衝撃事実が発覚
そこから私はベトナムの4都市(ハノイ、フエ、ホイアン、ホーチミン)を巡り……
結果はまぁ、どこも似たような感じであった。
たしかに街中でネコのイラストやらぬいぐるみやらを大量に見かけるものの、正直「それ以上でも以下でもない」のである。もっとこう、ネコ年ならではの面白い展開を期待していたのだが……ま、現実はそんなものだよね。
それより問題なのは……
ベトナムに「ネコが全然いない」こと!!!
ベトナムの街では大量のノライヌが日がな1日ダラダラと過ごしている。しかし……なぜかノラネコ(または外飼いネコ)は、ほぼ生息していない様子なのだ。10日間のベトナム旅行で、私が目撃したネコはたったの2匹! ベトナム人、本当にネコ好きなのか!?
・未来から来たアイツ
日本を一歩出ると、国によって「ノラネコが多い国」「ノライヌが多い国」に分かれがち。ベトナムのお隣・タイは「ノラネコが多い国」なため、てっきりベトナムもそうなのかと思っていた。バイクが多すぎてネコは住みづらいのだろうか?
せっかくネコ年を取材しに来たのに、ネコがいないなんて無念すぎる。な〜んかよく分からない記事になってしまったが……仕方ない。アイスでも食べて帰ろうか……
ん!?
『新年ドラえもんアイス』だと!?
以前の記事でもお伝えしたとおり、ベトナムは世界一のドラえもん大国。完全に忘れていたけれど、そういえばドラえもんって “22世紀から来たネコ型ロボット” なんだった。
改めて街を見渡すと……ネコ年グッズに混ざってドラえもんグッズの数々が! ドラえもんを愛するベトナムの人々にとって、ネコ年は『ドラえもん年』と呼んでも過言じゃないのかもしれなかった。ドラえもんアイス、食べるしかねぇ!
「ドラえもんアイスは売り切れよ」と言われてしまったァァ!!!!!
ドラえもんアイスを販売する『Roseice』は、ベトナムの主要都市に進出しているアイスクリームチェーン店。美しく盛ったバラ型やキャラクターもののアイスクリームで人気を博している。「ごめんね、他のキャラを選んでくれる?」と店員さん。
仕方がないので “日本のキャラクター” という意味ではドラえもんに最も近い『けろけろけろっぴアイス』(4万2000ドン / 約238円)を注文。果たして……
……こうなった!
ヒキガエルバージョンとでも呼ぶべき茶色のけろっぴアイス。自分で書いていて「何なんだ、この記事は……?」という気持ちでいっぱいなのだが、大変美味しゅうございました。
「ドラえもん好きなら1度はベトナムを訪れるべき」という、ネコ年とはあまり関係ないかもしれない結論が導き出された今回のベトナム取材。本日(2月22日)は『ネコの日』なので、日本が生んだネコ型ロボットにも思いを馳せてみてくれ。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.