3年ぶりに訪れたハノイ(ベトナムの首都)のイオンモールで、『ダイソー』や『シャトレーゼ』が撤退していたことに軽くショックを受ける。とはいえ「厳しいコロナ禍をよく耐えた」と万感の思いだ。みんな、ハノイへ来たらイオンへGOだよ!!
……さて。そんな3年ぶりのベトナム・イオンでド肝を抜かれたのは、意外にも『1階の寿司屋』だった。日本では寿司の衛生問題が話題になっているが、まさか遠いベトナムの地で “日本に待ち受けているかもしれない未来” を目撃することになるとは。
・安心の日本ブランド
3年前の記事でもお伝えしたとおり、ハノイ郊外にあるイオンモール ロンビエンは言われなければ日本のイオンと見分けがつかないほど “イオンみ” に溢れた佇まい。
1階スーパーは惣菜エリアが独立した構造になっていて、中でも築地 中島水産(日本の企業)が手掛ける寿司コーナーは圧巻の品揃えと規模を誇っている。
パック寿司のほか刺身やサラダ、おにぎりなどが並ぶ。そして売り場の大部分を占めるのは……
なんと “個別包装の握り寿司” なのだった!
3年前に来た時はこんなの無かった……気がする!
・包まれた謎と寿司
ただ私自身 “当時は衛生管理への関心が薄かったため個別包装に気づかなかった” 可能性も捨てきれず、結局のところベトナムでいつごろ個別包装の寿司が売られ始めたのかは定かでない。
1貫ずつ透明なシートに包まれた寿司は、1つ5000〜1万ドン(約28〜56円)ほどと日本の回転寿司よりお安い計算だ。海鮮ネタは種類が少ないものの、海藻、カニカマ、揚げ物などを駆使したバラエティ寿司が豊富である。
お店をぐるっと1周すると……
逆サイドは軍艦 & 巻き物コーナー。こちらは1切れずつ小さな容器に入れられており、物理的な防御力も高め。他の客が触ろうと舐めようと、ビクともしない完全武装寿司だ。
タクアン、ガリ、醤油、わさびなどの添え物も個別包装。
客は好みの寿司を手掴みでパックに詰め、あとはレジに持っていくだけ。値段を示すシールが貼られており、会計で手間取ることもない。これ……かなり合理的なシステムなんじゃないか?
・日本もこうなるの?
なお後日訪れたハノイより田舎の都市(フエ、ダナン等)でも、大きめのスーパーで個別包装の寿司が同様のスタイルで売られているのを発見。
以上のことから、ベトナムでは寿司の個別包装がかなり浸透しているとみていいだろう。
街中いたるところで普通に野ざらし状態の食べ物が売られているベトナムで、一体なぜ寿司だけが超厳重な衛生管理下におかれているのか? とりあえず食べてみるしかないか。
こちらがホテルに持ち帰った個別包装寿司たち。
うむ、普通においしい。
衛生面もさることながら、実際に食べてみて感じたのは「個別包装のメリット、予想よりデカい」ということ。自分の好きな寿司だけを1貫単位で選べる。箸がいらない。手も汚れない。乾燥しない。そのまま冷蔵庫で保存できる……などなど。
おまけにポケットサイズでちょっとオシャレ! 「寿司の抱える問題点は個別包装で全て解決するのでは?」と感じるほどである。
あくまで予想ではあるが、ベトナム人たちは単純に「1貫ずつ買えたほうが楽しいじゃん」というノリで個別包装寿司を受け入れているのかもしれなかった。確かにおにぎり感覚でホイッと寿司が食べられるのは嬉しい。
ただ日本で論じられている寿司の衛生管理問題には “伝統の寿司文化を守りたい” という国民感情も含まれているため、一概に “日本でも個別包装を導入すればいい” という話ではないのだろう。個別包装寿司が当たり前になった世界を体験できる国ベトナム……どう感じるかはあなた次第だ。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.