デル・テクノロジーズ株式会社は2022年12月2日、耐落下/IP65準拠の高耐久12型タブレット「Latitude 7230 Rugged Extreme Tablet」を発表した。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
最大-29℃~63℃で作動する高耐久12型タブレット
今年に入ってAndroidなタブレットを2つご紹介したが、これらはいわゆるコンシューマー向けの安価なモデルだ。もちろんWindows搭載タブレットもいろいろあり、多くは(高くても)20万円前後ではないだろうか。
そんな中、今回ご紹介するLatitude 7230 Rugged Extreme Tabletは最高1.22mからの落下テスト、最大-29℃~63℃での動作確認、IP-65に準拠した高耐久なタブレットだ。実は2016年に同モデルをご紹介しており、これの2022年版となる。
当時の記事ではCore M-5Y71搭載ということもあり「プロセッサなどハードウェアスペック以外が凄い」と書いているが、今回は12世代Alder LakeのCore i3/i5/i7を搭載可能と、PCとしてのスペックもそれなりになっている。主な仕様は以下の通り。
Latitude 7230 Rugged Extreme Tabletの仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-1240U(2P+8E/10コア/12スレッド/クロック最大4.4GHz/キャッシュ 12MB/TDP BASE 9W、最大29W) |
メモリ | 8GB(4GB×2)/LPDDR5(最大32GB) |
ストレージ | NVMe SSD 256GB(最大2TB) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics/HDMI(オプション) |
ディスプレイ | 12型非光沢1,920×1,200ドット(16:10)/最大1,200ニト、パッシブペン対応 |
ネットワーク | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、microSDカードスロット、前面5MP/背面11MPカメラ、音声入出力 |
そのほか | 最高1.22mからの落下テスト、最大-29℃~63℃での動作確認、IP-65に準拠 |
バッテリ | 35.6Whr/ホットスワップ対応 |
サイズ | 296×203×23.90mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)、重量1.26kg |
価格 | 56万5,327円(Core i3で53万5,355円) |
プロセッサは12世代Alder LakeのCore i5-1240U。2P+8Eの10コア/12スレッド、クロックは最大4.4GHz、キャッシュ12MB、TDPはBASE 9W、最大29W。モバイル用のSKUとなる。カスタマイズでCore i3-1210U、i7-1260Uも選択可能だ。
メモリは8GB/LPDDR5(4GB×2)で最大32GB、ストレージはNVMe SSD 256GB。512GB/1TB/2TB(近日発売)も選択できる。OSはWindows 11 Pro。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価した。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。ディスプレイは12型非光沢1,920×1,200ドット(16:10)で最大1,200cd/平方m。直射日光下でも視認可能と謳っている。パッシブペン対応だ。手元に届いたのは右側がUSB Type-Aだったが、HDMIも搭載できる。
ネットワークはWi-Fi 6E、Bluetooth 5.2。オプションでQualcomm Snapdragon X55 グローバル 5G モデムやシリアルポートも内蔵可能。
インターフェイスはThunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、microSDカードスロット、前面5MP/背面11MPカメラ、音声入出力。この辺りもカスタマイズで一部変更できる。
ホットスワップ対応の35.6Whrバッテリを搭載で、サイズ296×203×23.90mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)、重量1.26kg。価格は56万5,327円(今回の構成)。内容の割に高価だが、先に書いた通り、とんでもない環境での使用が主な目的なので一般的なPCの価格は当てはまらない。
なおオプションで「磁気マウント」、「モバイルスタンド」、「モバイルバッテリー チャージャー」、「プレミアムキーボード、「アクティブペン」、「リジッドタブレットハンドル」、「ショルダーストラップ」、「回転式ハンドストラップ」なども用意している。
筐体はご覧のようにガッチリしたいかにも高耐久タイプだ。一般的なタブレットとは随分イメージが違うものの、これはこれでヘビーデューティーでかっこいい。重量は今回の構成で実測で1,393g。12型としてはノートPCと同程度? で軽くはないが、用途が用途なので仕方ないところ。
前面はパネル中央上にシャッター付きの前面カメラ。下に明るさ/音量/P1/P2/P3ボタン。この左右にスピーカー。リアは上部中央にシャッター付きの背面カメラ。背面カメラでシャッター付きは初めて見たが、プライバシーと言うより保護的な意味なのだろう。左側の丸いボタンが電源。下2つの四角いのがホットスワップ対応のバッテリ。左中央辺りにペンを収納できる。左側面にThunderbolt 4×2、下側面は拡張コネクタ。
上側面の四角い部分が拡張ポート。ミニシリアルなどを装着可能だ。右側面上側に3.5mmジャック、USB Type-A、microSDカードスロット。その下は(見えないが)Type-Aを配置。このUSB Type-Aの部分はカスタマイズでHDMIにすることもできる。
付属品は65W出力のACアダプタ。Thunderbolt 4を使い給電する。オプションで90Wタイプも用意されている。
ホットスワップ対応のバッテリは残量を示すLED付きだ。ただし内部に少容量のバッテリを内蔵していないため、ホットスワップするにはバッテリを2つ用意する必要がある。
12型のディスプレイは非光沢で映り込みが少ない。また指紋がほとんど付かないのも用途を考えるとGoodだ。発色、コントラスト、視野角は十分。明るさは最大で本当に1,200cd/平方mあるので桁違いに明るい。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度1,240cd/平方mと仕様通りかなり明るい。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-4が189cd/平方m、-5が113cd/平方mとなった。従って前者で計測している。黒色輝度は0.000cd/平方mで真っ黒だが、基準値120cd/平方mに対し84cd/平方mまでしか上がっていない。
リニアリティは、下の方はいいのだが、上に行くほど揃っていない。昨今のパネルとしてはイマイチの特性だが、用途が用途なだけに環境に耐えれるよう工夫した結果だと思われる。
ペンはパッシブ式なので、指が硬めの棒に変わった程度で、どちらかと言うと手袋したままなどで使用する感じだろうか。ペン入力が主な場合はオプションのアクティブ型を用意したいところ。
カメラは前面/背面ともにタブレットとしては結構よく写(映)る。露出補正、ホワイトバランスなど一般的な項目が調整可能。前面カメラは背景ボケにも対応する(効き過ぎなので調整したいところだが)。Web会議や現場の記録などに役立つ。なを前面カメラはWindows Helloに対応する。
ノイズは試用した範囲で気にならなかったが、発熱は左上のスリットから温かいエアが結構出る。Core i5-1240Uなのにこんなに出るのか……というところ。
サウンドは、前面下左右にスピーカーがあるため直接耳に届きクリア。シャリシャリ音だが、最大だとうるさいほど鳴る。これだけパワーがあれば、工事音などで騒がしい現場でも聞こえそうだ。
Core i5-1240U搭載PCとしては一般的なパフォーマンス
今回、本体のタブレットだけでは使いづらいので、USBでThinkPad Keyboardを接続していろいろチェックした。起動は少し時間がかかるものの、それ以降はCore i5-1240Uと言うこともありサクサク作動。通常使用ならストレスは感じないレベルだ。
ストレージはNVMe SSD 256GBの「KBG50ZNS256G NVME KIOXIA 256GB」。仕様によると、シーケンシャルリード3,400MB/s、シーケンシャルライト1,900MB/s。CrystalDiskMarkのスコアも(リードはやや遅いが)ほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約235.59GBが割り当てられ空き193GB。
Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211、BluetoothもIntel製だ。Intel グラフィックス・コマンドセンター/ディスプレイによると、普通のパネルなのが分かる。
インストール済みのアプリケーションは「Dell Display Manager」、「Dell Peripheral Manager」、「Dell Command | Update」、「Delle Digital Delivery」、「Dell Optimizer」、「Dell Pugged Control Center」など。この辺りは同社何時ものパターンだ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。本機は筐体が高耐久以外は、Core i5-1240U搭載PCなので、各スコアもそれなり。これだけ動けば一般的なアプリであれば普通に扱える。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは7時間42分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。現場で8時間動かしっぱなし……というのはあまりなさそうなので、これだけ動けば問題なさそうだ。またホットスワップ対応のバッテリなので作業しながらでもバッテリ交換できる。
【表】ベンチマーク結果 | |
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PCMark 10 v2.1.2574 | |
PCMark 10 Score | 4,911 |
Essentials | 9,715 |
App Start-up Score | 12,779 |
Video Conferencing Score | 7,810 |
Web Browsing Score | 9,188 |
Productivity | 6,685 |
Spreadsheets Score | 6,533 |
Writing Score | 6,842 |
Digital Content Creation | 4,951 |
Photo Editing Score | 7,419 |
Rendering and Visualization Score | 2,954 |
Video Editting Score | 5,540 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,354 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 3,171 |
Storage | 5,024 |
3DMark v2.25.8056 | |
Time Spy | 1,116 |
Fire Strike Ultra | 816 |
Fire Strike Extreme | 1,600 |
Fire Strike | 3,219 |
Sky Diver | 10,710 |
Cloud Gate | 17,239 |
Ice Storm Extreme | 74,854 |
Ice Storm | 98,101 |
Cinebench R23 | |
CPU | 8,077(7位) |
CPU(Single Core) | 1,654(1位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 2809.469 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1991.529 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 537.098 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 281.883 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 361.564 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 304.336 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 67.646 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 127.212 MB/s |
以上のようにLatitude 7230 Rugged Extreme Tabletは、Core i5-1240U/8GB/256GBを搭載した12型タブレットだ。カスタマイズでプロセッサはもちろん、いろいろ選べるのもポイントが高い。そして最大の特徴は高耐久。雪山でも砂浜でも問題なく使用できる。これなら個人でも欲しい人はいそうだが問題は価格。業務用なので約50万円から。さすがに手が出ない価格帯だ。
とは言え、過酷な現場で使えるPCは機種的にも限られている。これは! と思った企業ユーザーに使ってほしい1台と言えよう。
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