アナジャコを捕りに九州までいってきました。
アナジャコ釣りという遊びが好きだ。私の記念すべき第一回記事のテーマに選んでしまうほどに好きなのだ。
そんなアナジャコ釣り、関東ではとてもマイナーな遊びと位置づけられているのだが、干潟の本場である有明海では、「マジャク釣り大会」というイベントが開かれるほどメジャーな遊びらしい。マジャクとはアナジャコの地方名だ。
アナジャコを釣る大会。なるほど(ヒザをポンと叩く)、確かにこれほど競技性の高い釣りもないだろう。「釣り」なのかといわれると微妙ではあるが。
よし、ここは一つ、東京代表として有明海の猛者達に挑戦を挑んでみようではないか。目指せアナジャコ日本一!
※2007年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
熊本県荒尾市に向かう
マジャク釣り大会は、干潟が一番広くなる大潮と週末が重なる日に開催されるため、毎年開催日が変わるのだが、今年は8/11(土)と夏真っ盛り。暑そうだ。
大会がおこなわれる場所は、九州は熊本県荒尾市に面した有明海の干潟。去年、四国に自動車でいったらもの凄く遠かったので、今年は飛行機で飛んでいった。
自宅から自転車で行ける距離にもいるアナジャコを、飛行機に乗ってわざわざ九州まで捕りに行く。しかもお盆前の飛行機代が高い時期。さらには当日出発だと開始時間に間に合わないので前日入りだ。うはははは。
マジャク釣り大会受付に到着
当日、気合いが入りすぎて、大会開始から1時間以上前に現地へ到着してしまった。
受付付近ではマジャク(アナジャコ)をテーマにしたと思われる歌がスピーカーから流れており、大会をのほほんと盛り上げている。
マジャクの天麩羅が登場
受付の横では、九州電力による「IHクッキングヒーター調理実演コーナー」があり、そこでマジャクの天麩羅が振る舞われていた。
さっそく揚げたてを食べてみると、さすがは有明海のアナジャコだけあって、東京湾のアナジャコに比べて泥臭さがなくておいしい。
やっぱりアナジャコも産地によって味に違いがあるなあと唸っていたら、「マジャクのおいしい食べ方」というレシピ集をいただいた。
これによると、「おなかのヒラヒラと前爪をとり、きれいに水洗いする」とあった。なるほど、私が料理するアナジャコの天麩羅が今イチ泥臭かったり、堅かったりする理由が今わかった。
今まで私は泥臭くて堅いアナジャコの天麩羅をみんなに食べさせていたようだ。あーあ。
でもこのレシピを手に入れただけでも、ここ荒尾市まできた甲斐があるというものだ。みんなもアナジャコを料理するときは、おなかのヒラヒラと前爪をとろう。
マジャク釣り大会会場へ
漁港のすぐ裏手にある海がマジャク釣り大会の会場となる有明海だ。
見事に晴れた空の下、受付でもらったアナジャコ釣りのコツが書かれた虎の巻を熟読しながら、大会の開始を待つ。
ここで内容を詳しくは明かせないが、この虎の巻を手に入れただけでも、荒尾市まできた甲斐があるというものだ。と、今日二度目の納得。
干潟がせまい
ところでマジャク釣り大会のおこなわれる干潟、どれだけ広い干潟なのだろうかと期待していたのだが、これが海まで数メートルほどしかないのだ。
確かに横には延々と干潟が広がっているのだが、奥行きが感じられない。憧れていた有明海の干潟とだいぶ違う。
わずかな日陰に入って、大会開始までの時間をイメージと違う有明海をボーッと眺めて過ごしたのだが、ここで有明海の凄さを知った。
干潮の時間が近づくにつれ、すごい早さで潮が引いていき、広大な干潟が出現したのだ。
さすがは干潮と満潮の水位が日本一違うといわれる有明海だけある。
すっかり潮が引いたころ、日陰もすっかり小さくなっていた。
開会式
干潮時間ちょっと前の11時半、横断幕の前に参加者が集まって開会式がスタートした。
会場には結構な大人数が集まっており、ゼッケンをつけたプロっぽい人もちらほら見受けられる。いったい優勝ラインは何匹くらいになるだろうか。
ちなみに私の自己ベストは12匹だ。
開会式では、荒尾市長をはじめ、地元の漁協組合、商工会議所、PTAなど、たくさんの来賓の方々からの挨拶をいただき、最後に荒尾市農林水産課の方から競技説明があった。
「……水分を十分とってください。なお、マジャク釣り大会は、釣れた数を競うものではありません。皆さんに楽しくマジャク釣りを……」
ええ!釣れた数を競うものではないのか。
さっきから実はそうなんじゃないかなと、いや正確には申し込みをしようとした時点で、うっすらそうなんじゃないかなという気は正直していたんだけれど、やっぱりそうか。
どうしよう。「マジャク釣り日本一の称号を勝ち取ってきます!」っていろいろな人にいっちゃったよ。
でもいいのだ。「生き物を捕ってはいけません」とやたらに規制をするのが世の中の主流となっている中、このように「みんなで生き物をとって楽しもう!」という働きかけを、市を挙げておこなっているというのが嬉しいのだ。
漁場となる干潟へと歩く
開会式が終わり、景気のいい爆竹の合図で大会がスタートした。爆竹の音なんて久しぶりに聞いた。マイクの声が十分届く距離なのに爆竹、意味がなくて素敵だ。
これから干潟に移動して、午後3時までの間(終了の合図もやっぱり爆竹)、ゼッケンをつけた指導員に教えてもらいながら、アナジャコ釣りを体験する。
干潟にはコンクリを敷いてあるらしい歩道が海に向かって延びていて、そこをみんなで歩いてアナジャコの漁場に移動する。干潟に道があるなんて、さすがは有明海。
漁場到着
干潟を延々と歩き、出発地点が遠く霞み、「ちょっとトイレ休憩」とかが不可能になった頃にようやく漁場到着。
心配された暑さは、干潟の上を海風がそよいでいたのでそれほどでもなかった。それにしても十分暑いが。
しかし、有明海の干潟、実際に歩いてみると本当に広いや。
干潟の道はまだまだ続いており、実は歩いて対岸まで行けるんじゃないかなと思うのだが、歩いている途中に潮が満ちてきそうなので我慢。
アナジャコ釣りスタート
漁場に着くと、さっそく指導員によって「釜たて」と呼ばれる穴掘り作業がおこなわれ、参加者が筆を差し込んでいく。
アナジャコ釣りは、泥を少し掘ったところに現れる巣穴に筆を突っ込んで、アナジャコが筆を敵だと思って巣穴から押し出しにきたところを捕まえるのだ。
早速私も持参したハンディサイズのクワで穴を掘ろうとしたのだが、こんな道具では全然干潟を掘れない。
あまりの情けない姿に見かねた指導員のおばあちゃんが、すごい早さで釜たてをしてくれたので、そこでやらせてもらうことにした。
このおばあちゃん、釜たてのスキルも素晴らしいのだが、もちろん捕る方も凄い。
東京湾の干潟で鍛えた私がまだ一匹もとれないというのに、筆を巧みに使って次々とアナジャコを抜き上げていく。きっと一日で100匹以上を余裕で捕る猛者なのだろう。
筆はいっぱいある
おばあちゃんの見事な手腕に見とれてしまったが、私もアナジャコを捕らなくては。
アナジャコ釣りで使う筆は、普通5,6本あればいいのだが、私の場合は友人とアナジャコ釣りにいく度に、筆をみんなが家に置いていくので、もの凄い数の筆があるのだ。筆の数ならきっと優勝。
この大量の筆を駆使してとれた獲物はこちら。
どうにか捕れた!
アナジャコと戦うこと1時間、虎の巻を読み返し、おばあちゃんのアドバイスに耳を傾け、どうにか一匹目を抜き上げることができた。
とても嬉しい。ありがとう、おばあちゃん。
この一匹のアナジャコを捕るために私は有明海にきたのだ。よかった、ここ荒尾市まできた甲斐があったよ。と、今日三度目の納得。
一匹目を捕ったことで勘どころがわかったので、その後はおばあちゃんに褒められるほどにポンポンと捕まえることができた。
やっぱりアナジャコ釣りは捕れると楽しい。
満足したので会場見物
アナジャコを数匹捕ってすっかり満足してしまったので、あとの時間は周りの様子を眺めていた。
疲れたので帰ろう
まだ大会終了まで時間があったが、十分に有明海の干潟を満喫したので、終了を告げる三時の爆竹が鳴る前に帰ることにした。
マジャク釣り大会は、有明海の干潟と、アナジャコと、地元の人と触れあえる、とても素敵な大会でした。
有明海は広かった
今回いった場所は、有明海とはいっても、残念ながら憧れのムツゴロウやワラスボはおらず、捕れるもの自体は近所の干潟と大して変わらなかったです。でもやっぱり有明海のだだっぴろい干潟で、たくさんの人達とアナジャコ釣りをするというのは、もの凄い非日常的で最高の時間でした。
マジャク釣り大会、来年も行きたいなと思いました。