わが子が使い始めて再確認した「やっぱりLINEは楽しい」という気持ち–ただし注意点も

CNET Japan

 中学校1年生の息子がいよいよ「LINE」を使い始めた。中学校での講演は多いので実態については把握していたが、近くで見ていてさらにいろいろなことがわかったように思う。今どき中学生のLINE事情と、持たせるに当たっての注意点などについてお伝えしたい。

小学生から利用する子が増えている

 中1での利用開始はまったく早い方ではない。小学生の頃から同級生の女の子の多くがスマホを持っており、TikTokやLINEを使っているのは知っていた。

 前年に卒業した子の保護者から、「卒業に合わせてLINE交換したよ」と聞いていた。ちょうどいい機会と思い、卒業する際に利用を勧めたが、「面倒くさい」と拒否されていた。筆者の著作や監修本を目にしており、スマホやSNSに関して少々ネガティブな印象を抱かせてしまっていたかもしれない。

 SNSでは失敗がつきものなので、親がアドバイスできる年齢のうちに練習させたい、受験生になってからハマられるのも困る、という思いもある。使っていないスマホもあるし、そろそろ使わせたいと考えたのだが、思い通りにはいかないものだ。

部活の連絡にはLINEが必須

 息子は同じ小学校から行く友だちがほとんどいない中学に進学した。中学には連絡網がなかったため、連絡先がまったくわからない状態となってしまった。

 初めに困ったのが、部活動で出場する大会だ。電車に乗って初めて行く会場に行くのだが、友だちと最寄り駅もバラバラなので一緒に行けず、親はコロナ禍で参観ができないため付き添いできない。仕方なく、乗り間違いや電車の遅れなどがないことを祈りながら、乗換方法を紙に書いて持たせるしかなかった。スマホや電話があれば安心なのに、と思わないではいられなかった。

 そのほかにも、土曜の練習場所が外のグラウンドのことがあり、前日に変更の連絡がくることがある。どうやら、大半の子がLINEを使っており、主にLINEグループで連絡がくるようだった。先生から親のLINEを経由したり、友だち→友だちママ→筆者と経由したりして連絡がきたこともあるが、明らかに手間がかかりすぎる。

 中学生になってスマホを持ち始める理由に、「部活連絡にLINEが必須だったので」というものが多いのだが、合点がいった。確かに「部活の連絡にはLINEが必要」なのだ。

連絡漏れが生じてLINEのみスタート

 学校ではスマホは基本的に持ち込み禁止であり、全員がスマホを持っているわけではない。あえてガラケーを利用させている家庭も複数知っている。

 そのうち一人は、普段はガラケーだが、部活の連絡用にタブレットでLINEアカウントを作成したという。外出先でLINEで連絡を取る必要があるときは、ポケットWi-Fiを持参してやり取りしているようだ。

 おそらく部活内でLINEを利用していないのは息子だけとなったある日、筆者が別の保護者とのやり取りの中で部活の練習日の変更を知った。息子へ連絡はきていなかったので、どうやら連絡漏れが発生してしまったようだ。

 連絡が漏れていたこと、LINEが必要ということを伝え、LINEを使おうと説得すると、渋々納得して息子も同意。とりあえずということだったので、筆者の2つあるアカウントのうち1つを、名前を変えて譲り渡すことにした。自宅の電話番号で認証したアカウントをタブレットで作っていたのだ。もう少し時間があれば、データ通信専用SIMを用意するなどの手もあったのだが。

 取り急ぎ、部活とクラスが同じ友だちの保護者に、息子のアカウントを教えたところ、部活のグループ、クラスLINEなどすべてに招待してくれた。あっさりと連絡先ゼロから、すべての連絡先を手に入れた状態になったのだ。

中1はまだ制限ありの子が多い

 使ってみて、息子が素直にとても楽しそうなことに気づいた。当たり前だが、友だちにメッセージをもらって嬉しくないわけがない。本人も、一気に多くの子に連絡できるようになったことの価値を感じたらしい。

 「こんなことを送ってきた」と画面を見せてくれたり、筆者のLINEを見たがってお互いに見せあったりしたので、やり取りの全体像は大体把握している。

 クラスLINEには、40人中30人が参加。ほとんどの子は本名や下の名前などだが、一人まったくわからない名前の子も混じっており、「誰だろう」と話題になっているようだ。顔写真は登録しないものらしく、イラストや無関係な写真が多い。また、有料スタンプを使っている子が多いので、1つだけ購入してあげた。

 「家のPCでしかできません」「朝10時から夜9時まで」「夜10時までしかできません」などとステータスメッセージに書いてある子もおり、家での約束事がうかがえる。クラス名や出席番号などを書いている子もおり、中学進学と同時にアカウント作成したらしいことがわかる。

 講演先などで手を上げてもらうと、スマホ所持率やLINE利用率は中1でも学校によっては9割を超えているが、実際はそれなりの制限を受けている。中1では、LINEやスマホをまだ許可されていない子が少なくないのだ。知っているだけでも、必要がある時に親のLINEアカウントを使ってやり取りしている子、中学在学中はSNS禁止でSMSのみの子などもいる。

「SNSは楽しい」を改めて実感

 「既読は遅いと思います。習慣がないので」と書いていた息子だが、すぐに思い出した時に確認する習慣ができた。楽しさは使わないとわからないものだということを改めて実感した。

 中学生たちはLINEでも大小さまざまなグループを作ってうまく使い分けているようだ。親しい仲間グループの連絡がが一番連絡が多いらしい。グループ名を変えたり、アンケートを取ったりして盛り上がっているという。

 小学校時代の友だちともLINEでつながったため、連絡がスムーズになるだろう。家族LINEにも呼んで練習中だが、友だちの利用を見ているためかスイスイと使いこなしている。

 現時点では知り合い以外への交流の広げ方を知らず、クラスメイトと部活の仲間と友だちとのやり取りにとどまっている。LINEにはオープンチャットなどの使い方が難しい機能もあるが、あくまで友だちとやり取りできるという点に興味が惹かれているようなので、様子を見て指導しようと思っている。

 LINEを使い始めてすぐに、LINEでの誘いがきっかけで中学の友達と公園に遊びに出かけている。誘いやすいこと、声をかけやすいことを知ったようだ。電話をかけたり個別に誘ったりするのは敷居が高いが、親しいグループならそれが可能なのだ。それ以来、メッセージがきていないときも何となく覗く姿が見られるようになった。

 進学してからも小学校の友だちと遊んでいたので、中学の友だちと親しくなれていないのか心配していたのだが、単に連絡を取る手段がなかったためだったらしい。

SNSにはまりそうな兆候も

 タブレットは、ほかのアプリなどはすべて削除してから渡した。時間制限あり、アプリはブラウザとLINE、家族SNS「みてね」のみということで渡している。アプリストアに登録済みのアカウントは筆者のものなので、勝手なアプリのダウンロードなどもできない。

 友だちからメッセージがきていないときも頻繁に確認するようになった。YouTubeもはまハマって時間を取られたことがあるが、TikTokやInstagramなどならもっとはまハマっていた可能性も感じる。

 ただしこれも一度はハマるものであり、誘惑とどのように付き合っていくかも学びなので、スマホに変えたら利用するのもいいと考える。しかし不特定多数との利用はさまざまな問題をはらむので、しばらくLINEで練習してから、約束の上、制限設定などもして利用させたいと考えている。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

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Twitter:@akiakatsuki

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