これは昨年末に島根県を訪れていた時のこと。その日の宿だった「千畳苑」という国民宿舎で見つけたのだ。そこでは受付けのカウンター前でトマトなどの野菜が売られており、この梨もその中にあった。
なんだよこれ、キモいくらいデケぇぞ……! あまりのサイズに感動したので、急遽買って帰ることに。
・あたご梨
こいつは「あたご梨」という品種だそうで、お値段は1個700円だった。浜田市旭町産とのこと。生鮮食品の入手は100%都内の西友か東武ストアに頼っているが、こんなのは見たことが無い。たぶん都内のその手のスーパーには出回らないモノなのだろう。
それにしても……これって、普通に食べるものなのだろうか? 規格外なサイズの品種というのは、往々にして何か特殊な用途に用いられがちなもの。
その可能性を考慮し、宿舎の受付けにいたスタッフの方に聞いたところ、子供のころから仏壇に供えられているのを見たとのこと。
常温放置で1ヵ月くらいは普通に持つタフな品種らしく、その特性が死者や神への供物として好都合なもよう。普通に食ってもイイらしいが、そのスタッフはあまり食べた記憶はないという。
・1ヵ月放置
そんな感じのやり取りを経て購入。本当は一番デカいのを買いたかったが、荷物の都合上やや控えめのサイズにせざるを得なかった。こうしてスーツケースにブチこんだのが昨年の12月10日のこと。
そして本日は2023年1月23日。一か月以上スーツケースの中で放置されていたのだが……
全然余裕
ちょっと黒ずんだりしているが、これはスーツケース内で何かにぶつかったりしたからだろう。長持ちするだけでなく、衝撃にも強い気がする。
・デカい
冒頭からデカいデカいと述べているが、今のところあまりデカさが伝わっていないと思う。ということで、先日福袋で入手した千疋屋の超高級エリートりんごと並べたのがこちら。え、普通の梨と比べろって? 1月に普通の梨は出回ってないですね。
成人男性が手に持ってもこの通り。
重さは余裕の1キロ越えで、秤の重量制限オーバーだった。あとで4等分にしてから量ってみたところ、全体で1500gほどあることが発覚した。
包丁に対するサイズ感も、梨というよりカボチャだ! とはいえ、刃の通る感覚は普通の梨と変わらない。
ぶっちゃけ大味でマズいと予想しているのだが、切った瞬間から普通の梨と同じくらいに梨フレーバーが香る。あと、刃を伝って果汁も出てくる。けっこうウマそうだぞ?
断面はこんな感じ。真っ白だ。
4等分にしてようやく千疋屋のりんご1個分くらいのボリュームになる。小学生とかの弁当箱に、デザートとしてこれを入れてやったら馬鹿みたいにウケる気がする。いや食えねぇよって。分量が主食だろって。
食べてみると、味は全く普通の梨だった。若干ハードめな気がしなくもないが、たぶん他の品種であっても個体差でこの程度は普通にある。甘さも香りもジューシーさも、マジで普通に梨。
デカくて日持ちが良いという特製を持ちつつも、中身は普通に梨ってる……! 今のところメリットしか感じないので、わりと梨業界的には戦闘力が高い方だと思う。
それにしても、いつかこいつが木に生ってるところを見てみたいものだ。一般的な梨よりも枝への物理的負担がデカそうだが、どんな感じで対処しているのか気になる。
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.