戦争、襲撃……衝撃の2022年末に誓うこと

アゴラ 言論プラットフォーム

田原総一朗です。

2022年が終わろうとしている。日本にとって、世界にとって衝撃の1年であった。

2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。僕はこのメルマガで書いた。「もし武力行使という事態になれば、多くの人が犠牲になる。人間はそこまで愚かではない、そう信じたい」と。

しかし、ロシアの武力行使は、現実のものとなり、さらに今も停戦の気配さえ、見えないのである。その間多くの人々の命が、失われているのだ。21世紀にこんな戦争が始まるとは……。人間は歴史に学ばないのか。いつまで過ちを繰り返すのか。

さらに、日本国内で衝撃的な事件が起きた。7月8日の安倍晋三元首相銃撃である。安倍さんはよく話を聞く方だった。僕とは考えの違いは多々あったが、会えば真剣に話し合うことができた。

犯人の動機から、次第に旧統一教会問題が浮き彫りになった。しかし、やはりこれだけは言いたい。どんなに社会への不満があっても、暴力を手段としては絶対にいけない。僕は何度でも、そう訴えようとあらためて誓った。

ところが、11月29日、僕にとって絶対に許せない事件が起きた。東京都立大学教授の宮台真司さんが襲われたのだ。宮台さんとは何度も番組や、雑誌の仕事でご一緒した。

実は12月にも、僕が定期的に開いている「田原カフェ」というイベントに、出ていただくことにもなっていた。ところが、宮台さんは大学のキャンパスで、何者かに無言で切り付けられたという。

宮台さんは幸い回復され、「どんな理由があれ、暴力でなんらかの表現をしようとしたのかわかりませんけれど、効果としては表現をふさぐ機能を果たす。それを許せない」とインターネット番組で語った。

犯人はまだ捕まっていない。しかし宮台さんは、精力的に言論活動を再開させた。すごい意欲に僕は刺激を受けている。宮台さんとは、あらためて対談をする予定だ。

宮台さんも僕も、覚悟を持って言論活動をしている。それに対してもし反対意見や、異議があるのならば、暴力ではなく「言論」で闘うべきではないか。

衝撃的な事件が続いた2022年だったが、僕はそれでも日本人を、人間を信じたい。来年もどんどん発信していく所存だ。みなさん、よいお年をお迎えください。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2022年12月30日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。