EVメーカーのテスラは一部で「完全自動運転機能」のベータ版の提供を行っています。機能の利用は「1万5000ドル(約200万円)で買い切り」か「月額最大199ドル(約2万7000円)のサブスクリプション加入」で、当該機能非対応のテスラ車所有者が機能を利用したい場合、有償でのハードウェア更新が求められます。これに対して異を唱える裁判が起こされ、テスラに対してハードウェア更新を無料で行い完全自動運転機能が利用できるようにすることを命じる判決が下りました。
Tesla ordered to upgrade self-driving computer for free due to ‘false advertising’ | Electrek
https://electrek.co/2022/12/12/tesla-ordered-upgrade-self-driving-computer-for-free-false-advertising/
訴えを起こしたのはモデル3所有者のイアン・ジョーダン氏。テスラ車にはタッチスクリーンをはじめとした各種機能を制御する「MCU(Media Control Unit)」が搭載されていて、ジョーダン氏が購入したモデル3に搭載されていたのは「MCU2.5」で、完全自動運転機能を利用したければ更新費用として1000ドル(約13万6000円)支払って「MCU3」にする必要がありました。
しかし、テスラは2016年10月に「現在生産されているすべてのテスラ車は、完全自動運転対応ハードウェアを搭載しています」と発表していて、2021年から導入されているMCU3への更新は必須ではないはずです。
実はジョーダン氏はすでにモデル3を所有していましたが、この「完全自動運転対応ハードウェア搭載」という文言を信じて2台目を購入したとのことで、ワシントン州の裁判所に少額訴訟を提起しました。同時に、1台目のモデル3の「MCU1」の故障を保証期間内だったにもかかわらずテスラが修理せず、MCU2への交換となったことでAMラジオが使えなくなったことへの補償も求めました。
裁判にテスラは出席せず、ジョーダン氏が勝訴。MCU3への更新を無償で行うこと、1台目のモデル3のMCU1から2への更新費用1657.50ドル(約22万4000円)およびAMラジオ機能喪失の補償金500ドル(約6万7700円)の支払いが命じられました。
ニュースサイトのElectrekによると、テスラはただちにジョーダン氏への支払いを行ったとのこと。
ちなみに、ジョーダン氏は裁判において完全自動運転機能への対応に際してハードウェア更新費用が求められたことについて、機能非対応のハードウェアを更新するのは有償であることを報じるElectrekの記事を証拠として提出しており、テスラのイーロン・マスクCEOはElectrekのTwitterアカウントをブロックしたそうです。
この記事のタイトルとURLをコピーする