Wi-Fi&電源完備の「神代植物公園」で、バラに囲まれて優雅にテレワークしてみた 緑あり! 空気も美味し! 心身ともにリフレッシュ!【テレワークグッズ・ミニレビュー 番外編 外出先でテレワーク!】

INTERNET Watch

 10月4日付の記事において、神代植物公園(東京都調布市)でテレワークができるスポットがあると紹介しました。

 個人的な話ですが、神代植物公園には昔からちょっとした縁があります。私の両親は、昔から大の植物好きで、春の季節になると「バラでも見に行こう」と言って、幼い私を神代植物公園へ連れて行ってくれました。また、毎年の正月には家族で植物公園からほど近い深大寺に行って「深大寺そば」を食べたり、九州に住む、これまた植物を愛してやまない祖母が「いつか神代植物公園に行きたか~」なんて電話越しでつぶやいたり。

 INTERNET Watch編集部では、私を含めたインターンも普段は在宅で仕事をしています。ときどき、窓を眺めながら「たまには大空の下、植物に囲まれて仕事できたら最高なのに……」などと考えていたところ、神代植物公園の記事を担当することになり、「植物に囲まれてテレワークができる? しかも幼いころから親しんできた神代植物公園でテレワークできるなんて……これは体験してみたい!」と、原稿を書きながら、好奇心がふつふつと湧きあがったのでした。

 ということで、今回は11月初旬の神代植物公園でテレワークしてみました。公園内のWi-Fi電波状況や電源の状況、実際に作業してみて気付いた点などもレポートします。

テレワークが定着しているINTERNET Watch編集部だが、自宅でのテレワークに疲れたときには、外で気分転換を図りたい。今回は、大学生のインターンスタッフが神代植物公園のテレワーク事情を紹介する。

2021年から公園内にフリーWi-Fiを整備

 神代植物公園は調布市の、「深大寺そば」でも有名な深大寺のほど近くに位置します。「深大(じんだい)寺」と「神代(じんだい)植物公園」は違う漢字で読みが同じですが、このあたりの地域は明治時代のはじめまで「深大寺村」と呼ばれており、その後「神代村」になったのだそうです。

 京王線の調布駅、つつじヶ丘駅、またはJR中央線の三鷹駅、吉祥寺駅からバスが出ています。バスの所要時間が最も短いのは調布駅からで約15分。中央線の2駅からは約20分かかります。開園時間は9時30分~17時(最終入園16時)で、月曜日と年末年始は休園。入園料は大人500円。65歳以上は250円、中学生は200円で、都内在住在学の中学生、および小学生以下は無料です。

 広さは約50万㎡で、東京ドーム(約4.7万㎡)10個分以上。その中に約4800種類、10万本・株の植物が植えられており、1961年の開園以来、長く親しまれています。

 公園内では、2021年11月からフリーWi-Fiエリアを設置しています。当時は3カ所で利用できましたが、評判がよかったことから、2022年10月に新たに2カ所追加し、現在は大温室休憩所、植物会館ロビー、ガーデンビューロー前、ばら園テラス、芝生広場(売店前)の5カ所にフリーWi-Fiエリアがあります。今回は、このうち大温室休憩所、ばら園テラス、芝生広場(売店前)の3カ所でテレワークしてみました。

 ちなみに、「植物園」でも「公園」でもない「植物公園」という名称は、社会教育と野外レクリエーションという双方の機能をあわせ持ち、楽しみながら知らず知らずのうちに植物に親しみ、植物の知識を深められることから付けられているそうです。

 テレワークでも、仕事をしながら散歩を楽しんだりもでき、植物に癒やされながら、知らず知らずのうちに植物にも詳しくなれるはず……!?

公園内のフリーWi-Fiエリアに設置されているWi-Fiアクセスポイント

Wi-Fiアクセスポイントに近いエリアでは、このような神代植物公園向け特別仕様の「FreeSpot」シールが貼られています

電源も完備、植物と向き合って仕事ができる「大温室休憩所」

 はじめに、大温室に行ってみました。正門から入って右に曲がり、2、3分ほど歩けば大温室です。熱帯地域で育つ植物を見ながら奥にある休憩室に入ると、そこがテレワーク可能なスポットになっています。

 屋内なので、雨が降っても風が吹いても安心です。さらに、一部の席には電源ポートも備えられており、フリーWi-Fiスポットの中でも一番環境が整っています。席はベゴニア室の真正面で、植物を眺めながら仕事ができます。

 近くには飲料やお菓子の自販機、トイレもあるため、適宜休憩も取れます。

大温室休憩室での作業風景。ガラスの向こうにはベゴニアがあります

近くには自販機

設置された机の先には、このような展示室が

設置されている電源のコンセント

机にはWi-Fiの設定方法が記載された紙が置いてありました

 電源が使えるのは6席。休憩室に入ったときには満席でしたが、少し待っていたら席が空きました。

 みなさんテレワークをしているわけではなく、植物を見に来ての休憩で利用する人がほとんどなので、少し待っていれば席は空きます。ただ、そのような場所で、私だけがテレワークで長時間席を使うのは、申し訳ない気もしました。と、いいつつ30分ほど作業をしていましたが……。

 室内の光が強いため、ディスプレイの角度によっては画面が見づらくなるのが少し気になったものの、ベゴニアの花と向き合って作業ができるのは、とても新鮮でした。

 また、作業環境として、電源が使えるがある安心感は非常に大きいです。植物公園の屋外で作業中、電源がピンチになったり、急に天候が変わったりしたときにも、ここが駆け込み寺になってくれそうです。

電源のある席は6席でした

大温室内。熱帯地域で育つ植物を見ることができます

 フリーWi-Fの通信速度は、どのエリアでも、上り下りともにおおむね45~100Mbps弱でした。画像を含むファイルのやりとりや、YouTubeの動画の視聴などもスムーズです。周囲に人が多いのでおすすめはしませんが、ちょっとしたWeb会議も問題なくできるでしょう。

秋のバラを眺めながら「ばら園テラス」でゆったり作業

ばら園テラス

 続いて訪れたのが、ばら園テラスです。大温室を出て、正面にまっすぐ歩いたら到着です。広いばら園を見下ろす、小高い丘のようになっていて、訪れた11月上旬は秋のバラが見ごろということで、バラの香りが周囲に漂っていました。

大温室を出ると、真正面にばら園とテラスが見えます

秋に咲くバラ。ちなみに、職員の方のお話によると、今年のバラは気温の寒暖差の影響もあり例年より長く楽しめるそうです

 ちょうど12時が近かったこともあり、テラスで休む人やお弁当を広げる人も多く、席が空くまで少し待つ必要がありました。席は西洋の庭園らしい、丸くて可愛らしいテーブルと椅子で、作業スペースとしては少々手狭かもしれませんが、PCとバッグを置くぐらいならば問題ありません。

 屋根付きなので、ずっと日に当たって暑くなったり、太陽光で画面が見にくくなったりすることを避けられます。この日は気温もよく、冷たい風もなくて、気持ちよく作業ができました。近くの自動販売機で缶コーヒーを買い、優雅な気持ちで原稿を書きます。

ばら園テラスでの作業風景

開放感抜群の「芝生広場」とパンパスグラス

 続いての芝生広場は、ばら園からゆっくり歩いて4、5分ほどの距離にある、1ヘクタール(1万㎡)の解放感あふれるスペースです。訪れた日はちょうど近くの幼稚園か保育園の遠足で、たくさんの子どもたちが芝生を駆け回っていました。

 北側には売店があり、さらにその北側に、テーブルとベンチが設置されて作業のできるスペースがあります。このエリアではテーブルを使うのもいいですが、芝生に寝そべって作業しても、気持ちがいいかもしれません。

 訪れた日は超が付くほどの快晴で、日なたでは画面がかなり見づらかったため、木陰のテーブルで短時間だけ作業をしました。なお、近くの売店ではちょっとした軽食も取れます。

芝生広場の真ん中ほどに、西洋のススキと呼ばれる「パンパスグラス」が。4~5mほどの高さがあり、近くで見ると迫力があります。おしゃれなインテリアとして使われている植物ということもあり、人気の撮影スポットだそう

Instagramでも「#神代植物公園」で検索すると、このパンパスグラスの写真がたくさん表示されます

 そういえば、仕事環境などにおいて、観葉植物などを置くことで、目の疲労軽減やリラックス感をもたらす「グリーンアメニティ効果」というものがあるそうです。その効果かは分かりませんが、植物公園での作業は常に緑が視界に入り、空気もきれいで、家で作業するときよりも疲れにくかった気がします。

芝生広場近くのテーブルでの作業風景

散歩なども楽しみながら半日程度の滞在がオススメ

 この日は、神代植物公園に設けられたWi-Fiスポットのうち3カ所でテレワークしました。色づき始めた紅葉も楽しめ、気候もちょうどよく、家の中でのテレワークで閉塞感を覚えていた中で、いい気分転換になりました。

 公園内では、散歩や植物の観察など、さまざまな目的で訪れた人のための場所が、テレワークもできるように整備されています。腰を据えて長時間しっかり作業するというよりは、しばらく作業したら園内を歩いて、植物を眺めながら、といったスタンスが、場所に合っているのかなと思いました。

 ここで、神代植物公園を楽しめて仕事もはかどりそうな、半日程度の滞在プランを提案します。トータル4~5時間ほどの想定ですが、お昼以降は混雑する印象なので、できたら朝の早い時間から入園した方がいいと思います。

9時30分 入園。ばら園へ散歩がてら移動(10分)

9時40分 ばら園で作業(50分)

10時30分 芝生広場周辺を散歩(10分)

10時40分 芝生広場で作業(50分)

11時30分 芝生広場またはガーデンビューローで軽食など(1時間)

12時30分 植物会館ロビーまたは大温室休憩室で作業(30分)

13時20分 ばら園テラスなどに移って作業を仕上げた後、園内の植物を見て帰宅

 このプランのポイントは、11時30分から1時間ほど取っている軽食などの時間です。軽食だけでなく、芝生でごろっと昼寝したり、紅葉がきれいなかえで園や、Wi-Fiスポットから少し離れた「つばき・さざんか園」(12月以降から見ごろです)まで足を伸ばしてみたり、といった過ごし方をおススメします。フリーWi-Fiスポット周辺を一周すると、おおよそ1km程度。上記のプランで歩き回ったら、3〜5kmくらいは歩けると思います。

 なお、大温室休憩所で電源が使えるとはいえ、PCのバッテリーはフル充電にし、モバイルバッテリーも持っていくと安心です(私はモバイルバッテリーを忘れてしまったので、スマホのバッテリーがピンチになってしまったのは、ここだけの話です)。

気分転換をしながら、四季の植物にも詳しくなり、楽しめるはず!

 今回は秋のバラをはじめ、写真映えするパンパスグラス、紅葉した木々などを見ることができ、テレワーク目的で訪れたはずなのに、いつの間にか植物の写真もたくさん撮ってしまいました。

 この記事が公開になる11月25日には、秋のバラの見頃も終わにさしかかっていると思いますが、職員の方によれば、今年のバラは気温の寒暖差の影響もあり例年より長く楽しめるとのこと。神代植物公園ではTwitterアカウント(@ParksJindai)での情報発信も行っているので、出かける前にチェックしてみてください。

 11月19日に、ばら園で見頃が続いているというツイートがありました。今週末も、まだ秋のバラを楽しめるのではないかと思います。

 また、取材した11月上旬の紅葉は色づきはじめたところ、といった頃合いでしたが、下旬には、園内のあちこちで紅葉の盛りが楽しめるでしょう。Wi-Fiスポットからは少し離れますが、色とりどりの紅葉が見られる「かえで園」や、晩秋に花をつけるサザンカが見頃となる「つばき・さざんか園」まで足をのばしてみるのもオススメです。

 このほかにも、神代植物公園では、サクラやツツジ、水生植物園のハナショウブなど、四季折々の花を見ることができます。冬から初春にかけては、1月下旬から3月下旬まで210本のウメの花が咲き、ロウバイやツバキなども楽しめるということです。

 なお、最初に入園料は大人500円と紹介しましたが、実は年間パスポートも2500円で販売されており、5回行けば元が取れてしまいます。1、2カ月に1回のペースで訪れても、毎回見ごろの植物は変わるので、「仕事をしにきたはずなのに、散歩もできたし植物もきれいだったし、楽しかった」と思えるのではないかなと思います。

 「屋内での仕事に飽きた」「仕事もしつつ、リフレッシュしたい」という方には、ぜひ一度行ってみてほしい場所です。ただし、これからの季節に行って屋外で作業しようという場合は、防寒にご注意ください。

売店に売っていたバラ味の饅頭を、この日初めて食べました。あんこの味が強かったのですが、鼻から抜けるのは、バラの香りそのもの。好みは分かれるかもしれませんが、私は美味しく感じました。なお、バラ味のソフトクリームも売っていましたが、こちらはまた次の機会に

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