【山田祥平のRe:config.sys】立って一畳寝て半畳 Version 2.0m

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 円の面積は半径×半径×円周率で求められる。つまり、半径が2倍になれば、その面積は約4倍になる。やっぱりこれは大きな自由度だと再認識して長めのUSB Type-Cケーブルを追加で購入しようとたくらんでいる。PCを母艦にしたときのペリフェラルレイアウトの自由度はケーブルの長さに依存するのだから、とりあえずは、長は短を兼ねる作戦を試してみようとしているのだが……。

見かけは同じでも規格が異なるケーブル

 USB4やThunderbolt 4の世代が新しくなることが話題になっているが、その一方で、ケーブルの長さが気になるようになった。

 USB Type-Cプラグを両端に持つケーブルは、対応規格ごとにケーブル長の上限が決まっているのはご存じの通りだ。

 個人的には、充電専用ならUSB 2.0で十分というポリシーで百均のものから高耐久ケーブルやシリコンの柔らかさをセールスポイントにする取り回しのいいものまで使い勝手のいい長さのものを選んでいる。

 これは楽しい。いろんなタイプがよりどりみどりだ。何しろ規格上の最大長は4mあるので、かなりの自由度が得られる。出張先のホテルなどで壁のコンセントからベッドまでの距離がそれなりにあっても対応できるので、出張用のケーブルセットの中には4mのケーブルを1本入れてある。

 今回は、このケーブルをリプレースするのではなく追加だ。Thunderbolt 4が発表された時に、これから購入するケーブルは対応規格で混乱することがないように、必ずThunderbolt 4対応のものを選ぶようにすると決めたのだが、それだと80cmまでに長さが制限されてしまう。これではノートPCなどに接続する機器のレイアウトの自由度が低いのだ。

 もっとも、Thunderbolt 4ケーブルには、新しい規格としてユニバーサルケーブルが追加され、これまでの0.8mに加えて、2mのものが追加されている。ベルキンなどから対応製品が発売されているが、いわゆる全部入りケーブルとしては申し分ない。価格的にはちょっと高価だが、この先のことを考えれば、やれ遅い、やれつながらないと混乱することもないのでいいと考えていた。

やっかいなケーブル探し

 ところがだ。USB4やThunderbolt 4の世代が刷新されることが発表され、従来のパッシブケーブルのままでの倍速化(40Gbps→80Gbps)が表明された。新しく規定されるアクティブケーブルに加え、従来のパッシブケーブル、つまり、80cmまでのケーブルが使えるとされているが、その中に2mのユニバーサルケーブルが含まれるのかどうかがまだよく分からない。

 詳細については正式にすべての規格が出揃い、対応製品が出てくる来年を待つことにして、とりあえずは、背に腹は代えられない。そこで、高価なThunderbolt 4ケーブルではなく、一般的なUSB 3シリーズ Gen1ケーブルを入手することにして探してみた。

 USB 3シリーズ Gen1の伝送速度は5Gbps、規格上の長さ上限は両端USB Type-Cの場合、2mまでだ。今となってはとても中途半端な速度だが、これだけあれば4Kモニター1台くらいなら平気でまかなえる。そして、この長さがあれば、手元で使っている80cmのThunderbolt 4ケーブルよりも、かなり使い勝手はよくなるはずだし、2mのThunderbolt 4ケーブルの半額以下で手に入る。

 ただ、ザッと探してみた限り、それなりのものを探すのが難しい。探してみて思ったのが、どのサイトも、コネクタ形状と対応規格と長さという、もっとも基本的な要素を組み合わせて製品を検索するのがとても難しい。

 たとえば、「USB Type-Cケーブル 2m」や「Thunderbolt 4 ケーブル 2m」で検索してみると、

ビックカメラ.com
メーカー、色、価格、予約・新商品で絞り込める

ヨドバシ.com
メーカー、価格帯、販売開始日で絞り込める

Amazon
ブランド、価格で絞り込める

やってみれば分かるが、検索結果が悲惨だ。玉石混淆なのはもちろん、そもそも規格を満たさないものも結果に含まれ、とても選べる状態ではない。目星をつけて製品を選んでいっても、そのケーブルは何mなのか、規格は何に対応しているのかがとても見つけにくい。

 求める要件をちゃんと満たした製品だけに絞り込んだ上で、色だの素材だのという付加価値的要素を確認できればいいのに、それだけのことができない。

 つまり、「2mの5Gbps対応USB Type-Cケーブルがほしい」という希望を満たす検索結果を得るのがとても難しい。というかできない……。

 いわゆる著名量販の検索機能はこんなありさまだし、仮に著名ブランドを指名買いしようと思ったとして公式サイトを開いても、決して製品の検索性が良いとはいえない。製品を売る側も買う側も誰も気にしていないのだろうか。なので、カジュアルなエンドユーザーが、何らかの用途にケーブルがほしいと思った時に、選ぶのが難しすぎて結局間違いだらけのケーブル選びをしてしまう可能性が高い。

やりたいことで決めるケーブル規格

 今回、長めのケーブルがほしいと思ったのは、モバイルノートPCにモバイルディスプレイをUSB Type-Cケーブルで接続した時の位置の自由度をもう少し高めようと思ったからだ。持ち運び以外でも、自宅の仕事場などで周辺機器を使うにも1m未満のケーブルはやっぱりちょっと短く感じる。

 冒頭に書いたようにケーブルが倍の長さになれば、レイアウトに使える面積は4倍になる。ただそれだけの恩恵を得るために2mという長さを望んだ。そして、そのための要件は、USB 3.xシリーズのGen1ケーブルだ。USB 2.0では映像出力に帯域が足りないし、USB 3.xシリーズGen2では長さの上限が1mになる。

 また、全部入りのUSB 4やThunderbolt 4ケーブルは理想だが、高価なのと次世代対応がちょっと見えない。

 ちなみに、USB Type-C仕様では、Thunderbolt 3非対応のケーブルがパッシブケーブルなら速度はUSBのGenに依存するものの、実質的にThunderboltケーブルとして機能する。

 従って、Altモード非対応を主張するケーブルでもDP Altモードで表示ができてしまう。USB 2.0以外の両端USB Type-Cのケーブルは、すべてThunderbolt3ケーブルとして機能し、ベストエフォートのGen2扱いとなる。つまり、eMarkerがなんといおうと、DP Altモード、Thunderbolt 3 Altモード非対応のケーブルは存在しない。その一方で、eMarkerのないケーブルはThunderboltが却下されAltモードが使えなくてもDPについてはトンネリングで使える可能性はある。

 でも、それを期待するのは博打に近い。どっちにしてもケーブルの品質などでできることできないことは変わってくる。確実を目指すなら、ちゃんとした規格のケーブルを選ぶのが賢明だ。こうしてちょっと用途を拡げてケーブル選びを始めると、とたんにややこしい話になる。いつまでもこんなのでいいわけがない。

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