ESSENCOREのプレミアムブランドである「KLEVV」から、DDR5オーバークロックメモリ「CRAS XR5 RGB DDR5 ゲーミングメモリ」(以下、CRAS XR5 RGB)が順次発売開始となった。
今回は、そのCRAS XR5 RGBの最上位にしてDDR5-6200動作に対応するメモリキット「KD5AGUA80-62E400S」を紹介する。
DDR5-6200動作を実現するオーバークロックメモリキット
CRAS XR5 RGBは、最大でDDR5-6200を実現するKLEVVの新作オーバークロックメモリ。メモリプロファイルはIntelのXMP 3.0に対応しており、白くカラーリングされたアルミニウム製ヒートスプレッダや、RGB LEDを内蔵するライトバーを搭載している。メモリの高さは42.5mm。
CRAS XR5 RGBの最初のラインナップには、DDR5-6200とDDR5-6000にそれぞれ対応したモデルが用意される。いずれも、1枚16GBのメモリモジュールを2枚セットにした32GBメモリキットで、今回紹介するのはDDR5-6200対応のKD5AGUA80-62E400Sだ。
KD5AGUA80-62E400Sは、1.3Vのメモリ電圧でDDR5-6200というメモリスピードを実現しており、メモリタイミングは「40-42-42-78」となっている。DDR5-6200というメモリスピードの割に、動作電圧が1.3Vと比較的低めなのは、このメモリの魅力の1つと言えるだろう。
【表1】KLEVV CRAS XR5 RGB DDR5 ゲーミングメモリのスペック | ||
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メモリスピード | DDR5-6200 | DDR5-6000 |
メモリ容量 | 16GB×2 | 16GB×2 |
メモリタイミング | 40-42-42-78 | 40-40-40-76 |
メモリ電圧 | 1.3V | 1.3V |
メモリプロファイル | Intel XMP 3.0 | Intel XMP 3.0 |
ヒートスプレッダ | 搭載 | 搭載 |
RGB LEDライトバー | 搭載 | 搭載 |
製品型番 | KD5AGUA80-62E400S | KD5AGUA80-60E400S |
製品保証 | Limited Lifetime Warranty | Limited Lifetime Warranty |
各マザーボードメーカーのLEDユーティリティで制御可能
CRAS XR5 RGBが搭載するLEDライトバーは、内蔵するRGB LEDの発光をカスタマイズ可能なのだが、KLEVV自身からはLEDユーティリティが提供されておらず、マザーボードメーカーなどが提供するLEDユーティリティで制御する仕様となっている。
LEDユーティリティでCRAS XR5 RGBのLEDを制御可能なマザーボードメーカーは、ASUS、ASRock、GIGABYTE、MSIの4社で、このほかにもRazer Chroma RGBでの制御が可能だ。
今回はASRock製マザーボードにCRAS XR5 RGBを搭載し、LEDユーティリティのASRock Polychrome SYNCを試してみたところ、マザーボードやほかのデバイスとLEDを同期制御することができたほか、非同期のLED制御も可能だった。
DDR5-6200とDDR5-4800でメモリ性能の違いをチェック
ここからは、DDR5-6200動作を実現するKD5AGUA80-62E400Sのパフォーマンスをチェックする。
テスト方法は、XMPを読み込んだDDR5-6200動作と、SPD情報に基づくデフォルト動作であるDDR5-4800動作でベンチマークテストを実行、それぞれのパフォーマンスを比較するというものだ。
メモリを搭載するベース機材には、Raptor Lake-Sこと第13世代Coreの最上位モデル「Core i9-13900K」と、ASRockのIntel Z790チップセット搭載マザーボード「Z790 Steel Legend WiFi」を組み合わせたIntel Z790環境を利用する。その他の機材や条件については以下の表のとおり。
【表2】テスト機材一覧 | ||
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メモリ | KLEVV CRAS XR5 RGB「KD5AGUA80-62E400S」 | |
メモリ容量 | 32GB (16GB×2) | |
メモリスピード | DDR5-6200 | DDR5-4800 |
メモリタイミング | 40-42-42-78 | 40-40-40-76 |
メモリ電圧 | 1.3V | 1.1V |
CPU | Core i9-13900K (8P+16Eコア/32スレッド) | |
CPU電力/温度リミット | PL1=PL2=265W、Tau=56秒、TjMAX=100℃ | |
GPU | Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V (ターボモード) | |
CPUクーラー | ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%) | |
マザーボード | ASRock Z790 Steel Legend WiFi [UEFI=2.07] | |
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |
電源 | Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum (1050W/80PLUS Platinum) | |
GPUドライバ | GRD 526.47 (31.0.15.2647)、Resizable BAR=有効 | |
OS | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.755/VBS有効) | |
電源プラン | バランス |
帯域幅とレイテンシを計測(SiSoftware Sandra 20/21)
まずは、ベンチマークソフトのSiSoftware Sandra 20/21で、メモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果から確認してみよう。
メモリ帯域幅については、DDR5-6200動作が74GB/sを記録しており、DDR5-4800動作の59GB/sを約25%も上回った。これは、スペック上のメモリスピードの差(約29%)に近いものであり、帯域幅についていは、スペック上の差がかなり素直に性能へ反映されているという印象だ。
一方、レイテンシについては、DDR5-6200動作が80.1ns(ナノ秒)を記録しており、DDR5-4800の96.0nsよりレイテンシを17%削減している。
メモリのスペックでレイテンシに関連しているメモリタイミングについては、DDR5-6200動作が「40-42-42-78」で、DDR5-4800動作の「40-40-40-76」より大きい数値となっているが、これらの数値の単位は「クロック」であるため、レイテンシを求めるためにはメモリクロックで割る必要がある。
それぞれのメモリクロックでタイミングを割った場合、DDR5-6200(3,100MHz)は「12.9ns-13.5ns-13.5ns-25.2ns」、DDR5-4800(2,400MHz)は「16.7ns-16.7ns-16.7ns-31.7ns」となるので、レイテンシ的にはDDR5-6200動作の方が小さい。よって、先のレイテンシの計測結果は妥当なものであることが分かる。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHDと4Kでテストを実行、スコアと平均フレームレートを比較した。
DDR5-6200動作のスコアは、フルHDで「40,746」を記録してDDR5-4800動作の「39,484」を約3%上回り、4Kでも「28,672」を記録してDDR5-4800動作の「27,870」を約3%上回った。DDR5-6200は、平均フレームレートでもフルHDと4Kでそれぞれ約2%ずつDDR5-4800を上回っている。
メモリ性能を直接計測するテストではないので、SiSoftwareで計測されたメモリ性能の差がそのままスコアやフレームレートに反映されているわけではないが、GeForce RTX 4090のような強力なGPUが持つ性能をより引き出すうえで、メモリ性能の向上がプラスに働く場面は確かに存在する。
1.3V駆動と美しいビジュアルが魅力のDDR5-6200メモリ
KLEVV CRAS XR5 RGBのKD5AGUA80-62E400Sは、1.3Vという比較的低い電圧でDDR5-6200というハイクロックと、白いヒートスプレッダとLEDライトバーの組み合わせによる美しいビジュアルが魅力のオーバークロックメモリだ。
DDR5-6200動作のメモリプロファイルを適用すればCPUやマザーボードの定格外動作となるため、それに伴うリスクを受け入れる必要はあるが、だからこそ1.3Vという電圧で動作するというKD5AGUA80-62E400Sは、DDR5-6000以上での常用を狙うユーザーにとって魅力となるだろう。
現在、今回試したモデルは未発売ではあるものの、Amazonでは下位のDDR5-6000対応モデルが販売中だ。年末にPCの新調を考えているユーザー、特にIntelのDDR5環境を候補としているゲーマーやパワーユーザーなら、CRAS XR5 RGBはぜひともチェックしておきたい製品だ。
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