政府は10月27日の「デジタル臨時行政調査会」(第5回)で、法令などに存在する「アナログ規制」の点検と見直しの前倒しを発表した。従来は期限を2025年6月としていたが、これを2024年6月に変更する。
同調査会では、7項目のアナログ規制、およびフロッピーディスクなどの記録媒体を指定する法令(約9125条項)のうち、約99%にあたる9029条項で点検と見直しの方針を固めた。見直しの工程表を策定し年末に公表する。
まず、行政手続きに関しては、フロッピーディスクなど指定した記録媒体による提出を求める規定を見直し、クラウドなど他の手段を利用可能にする。
7つのアナログ規制の内訳
7項目のアナログ規制の内訳は「目視」「定期検査と点検」「対面講習」「往訪閲覧と縦覧」「実地監査」「常駐と専任」「書面掲示」となる。
現行の河川法や都市公園法では、河川やダム、公園の巡視点検業務において、現場で人が目視確認することを求めている。政府はこの条項を見直し、IoTやロボット、AI技術を活用できるようにする。
消防法では、消火器具や自動火災警報設備の定期点検において、人による点検を一律に定めている。これを見直し、IoTを活用した常時監視を可能とすることで、安全性と効率性を向上させる。
道路交通法では、安全運転管理者講習において、遠方の居住者に対しても講習会場への来訪を求めていた。政府はこれを見直し、オンラインで受講可能にすることを目指す。なお、対面講習のオンライン化にはカンニング等の課題があるとして、離席やなりすまし、カンニングを検知する技術を広く企業から公募している。
「常駐および専任」の規制に関しては、専門的な人材が法令によって複数の事務所を兼任できず、人手不足が進む分野において、専門的人材を数多く配置しなければならない課題があるという。これを見直し、テレワークなどによって複数事務所の兼任を可能とすることで、人材不足の解消を狙う。
また、遺失物届は遺失物法によって警察署等に出向いて手書きで申請することが原則となっている。これを見直し、オンラインで申請可能とするほか、都道府県をまたいで遺失物を検索できるシステムの整備を目指す。
政府は地方自治体向けにもアナログ規制の一括見直しを求め、近くマニュアルを作成する方針。同調査会は「オンライン申請やシステムの一部のデジタル化だけではなく、行政サービス全体のデジタル完結を目指すことが必要」とまとめている。