これが丁シャツだ!
Tの形をしているからTシャツ。
ということは、他の文字の形をしていたら名前が変わるのだろう。例えば丁(てい)の形をしていたら丁(てい)シャツだ。
ていシャツ。野暮ったくも親しみやすい良い名前だ。用もないのに呼びたくなる。丁シャツ。
丁シャツ。作ってみた。
丁シャツの作り方を考える
【T】と【丁】の違いは縦の棒の下のところがはねているかどうかである。
片方が長くなっているシャツを用意して、ワイヤーを入れて持ち上げればいいと思う。
問題は、裾の部分が斜めになっているシャツをどう用意するかである。
裾の長いシャツを手に入れて斜めに切るというのを真っ先に思いついたが、形に特徴のあるシャツはある程度高価で、切って使うのはもったいない。
何よりTシャツを改造して丁シャツにするという工程に良くない流れを感じた。丁シャツはTシャツの亜種ではない。丁シャツは、丁シャツになるべくして一から作られたものであるべきだ。
覚悟を決めて生地を買いに行った。
はじめてのシャツ作り
普段裁縫はしないし、もちろんシャツも作ったことがない。
検索で調べて得た知識で恐る恐る作る。
ミシンではなく手で縫うことにした。服作りにGOを出した自分の勘が「ミシンはやめておけ」と言っている。
はじめてのことなのだ。ゆっくりでいいから確実な方法を選んだ。
型紙を見た時は信じられなかったが、縫ってみると袖になった。
できた袖を見てからもう一枚の部品の布を見るがやはり納得いかない。過程がブラックボックスの中にある。ずっと見えてるのに。
tシャツも作ろう
せっかくなので別のシャツも作りたい。
「ティーシャツ」と言う時みんなが思い浮かべるのは大文字のTである。小文字のtのことは「小文字のティー」と呼ばないと認識されない。
例えば、クラスに「佐々木」という苗字が二人いる。一人は「佐々木くん」と呼ばれていて、もう一人は「将棋部の佐々木くん」と呼ばれている。
そんな状況を小文字のtに重ねてしまって、なんて残酷なことをするんだと勝手に憤った。小文字のtシャツも絶対に作ろう。
これが丁シャツだ!
ちまちま縫っていたら、意外とあっさりできた。ひどい縫い目だが、服の形をしているのがとても嬉しい。
やってもやってもできないことがいくらでもある世界で、裁縫は、縫えば完成するのだと知った。とても心強い。
着てきたTでも丁でもないシャツを脱ぎ、丁シャツをかぶる。
「ティーシャツ」はTだけのものではない。tだって胸を張って名乗るべきだ。
Pシャツも作っていた
もう一着、Pシャツも作っていた。Tと似た音の文字、P。
「Pシャツ」と聞いて思っていた形と違っていたらしい。
砂に描いて説明してくれた。
確かにこっちの方がいい。というかこっちを見てから自分が着ているシャツを見ると全然Pじゃない。
「Pの穴の部分はないんですか?」と聞かれたのだが、僕の案でいくと脇周辺を切ることになる。それはいくらなんでも勇気が出なかった。
「シルエットがPっていうことでいいんですよ」と全然Pじゃないシルエットで返した。こんな格好で間違っているというのがとても恥ずかしい。
Tを丁にしていくという使命
作ったものは以上である。本題の丁シャツに戻ろう。
公園を見回したら近くに丁字路があった。
ハッとした。自分の使命にだ。
Tシャツっぽい丁シャツを着た僕には、Tをことごとく丁に塗り替えていく、そんな役割が与えられているのではないか。
だが僕はそうは思わない。丁シャツを着ているからだ。
丁(てい)ポイントカード。低(てい)を連想させる音はポイントカードと相性が悪いかもしれない。
しかしそんなことは関係ない。だって僕が丁シャツを着ているからだ。
なぜそこまでTを丁にしたいのかは自分でも分からない。いつの間にそういう流れに乗ってしまった、としか説明のしようがない。
諦めて役割を全うしようじゃないか。
丁シャツを着て、丁の形で飲んでいたから午後丁(てい)だ。午後丁で丁タイムだったのだ。レモン丁とミルク丁があるが、レモン丁を選んでいた。
僕はこの儀式の後、地面から生えている長い物体を「丁(てい)リー」と呼んでいた。
「TreeのTを丁にしたから」と言っていた。恐ろしいことである。
他にもテレビの配信サービス丁Ver、肉食恐竜の丁ラノサウルス、妖精の丁ンカーベルなど、やるべきことは山ほどあったが、丁リーで少々無茶をしたようで、この日の活動は以上となった。
家に帰って丁ik丁okで丁ネイジャーがハローキ丁のぬいぐるみを持ち寄ってパー丁する動画を見た。
何を言いたいのかというと
服を作るのはとても楽しい。冗談が強引になる。