Teslaの最高経営責任者(CEO)Elon Musk氏は米国時間9月30日、ステージ上をすり足で移動し、手を振ったり、ゆっくりと踊るように腕を上げ下げしたりするロボット「Optimus」(2021年の発表時は「Tesla Bot」)の試作機を公開した。3~5年で価格を2万ドル(約290万円)にできる見込みだという。
提供:Screenshot by Claire Reilly/CNET
「われわれの目標は、役に立つ人型ロボットをできるだけ迅速に製造することだ」とMusk氏は語った。いずれは「大勢の人々を手助けする」ことになるが、まずはTeslaの自動車工場で採用するという。
Optimusは、パルクールもできるBoston Dynamicsの「Atlas」のようなロボットほど派手ではないが、Teslaが8カ月もかけずに組み立てたものだ。Musk氏は、Optimusと自動運転技術「フルセルフ ドライビング(FSD)」の情報を発表するイベント「Tesla AI Day 2022」で、「このロボットはここで披露したよりはるかに多くのことができる。顔から先に転ぶようなことが起きないようにと願っていた」と語った。
Optimusプロジェクトはまだ初期の段階にあるが、ロボットの普及と可能性にTeslaがどれだけ期待しているかを考えると、ロボット工学の世界でひときわ野心的な取り組みだ。しかし、前途は多難だ。Boston Dynamicsなどの競合企業は、何年も前から人型ロボットに取り組んでいるが、これまでに製作したのは試作品にとどまる。車輪付きの配達用ロボットや、車輪とカメラ付きタブレットを備えたAmazonの家庭用ロボット「Astro」など、機能が限定的なロボットの方が一般的だ。
Musk氏はOptimusを自社工場で採用するにあたり、製造ラインで働いている従来型ロボットのところに部品を運ぶなどの作業が考えられると述べた。
手を振るOptimusの試作機
提供:Screenshot by Claire Reilly/CNET
ステージに登場した2体のTesla Bot
Musk氏は2体のロボットを披露した。1体は歩行ができ、既製の機械式アクチュエーター(モーターと歯車、センサーを組み合わせた円筒形の装置)を採用している。映像を見ると、箱を持ち上げたり、じょうろを持って植物に水をやったり、腰を回したりと、多くのことができるようだ。もう1体は、手足と指をTesla独自のアクチュエーターで制御するもので、歩行はまだできず、車輪の付いたスタンドに支えられてステージ上に運ばれてきた。
Musk氏は2体目のロボットについて、「まだ歩けるまでにはならなかったが、数週間もすれば歩けるようになると思う」と述べた。
2体目の試作機は、重さ73kgだ。Teslaの自律走行技術FSDと同じコンピューティングハードウェアに手を加えたものを採用している。バッテリーパックの容量は2.3kWhで、Teslaのエンジニアによると「1日中作業させても問題ない」という。
Teslaは、自動車と同じ人工知能(AI)ソフトウェアを使ってOptimusを制御している。近くにある物体を検知するなど、同じ技術も一部応用している。ただし、走行動画ではなく実環境で訓練しているという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。