パナソニック、次亜塩素酸の効果と実力を裏付ける「IAQ検証センター」を公開

CNET Japan

 パナソニックは、次亜塩素酸空間除菌脱臭機「ジアイーノ」の事業を拡大すると発表した。3機種の新製品を10月に発売するほか、サブスクやリースなどの販売施策を強化。次亜塩素酸の効果や安全性を検証する「IAQ検証センター」も稼働し、安心で快適な室内空気環境を追求していく。


「IAQ検証センター」

 IAQ検証センターは、「ジア環境BSL2(バイオセーフティーレベル2)試験室」「実空間除菌試験室」といった業界初の施設を備えたもの。4月に稼働を開始しており、空気調和の4要素である温度、湿度、清浄度、気流を比較体感できる「IAQ Labo」などもある愛知県春日井市に位置する。

 3階建てで、延床面積は3422平方メートル。3階には空質空調連携システムの実空間検証と新価値創造を目的とした、社員の執務室なども備えるほか、2階には、ジア環境BSL2試験室、天井埋込形のジアイーノのスケルトンモデルを設置した「体感型デザインルーム」、1階には実空間除菌試験室を用意する。


天井埋込形のジアイーノのスケルトンモデルを設置した「体感型デザインルーム」

 ジア環境BSL2試験室は、給排気にHEPAを搭載、陰圧、殺菌灯を設けるなど、高いバイオセーフティレベルを確保する。温湿度制御ができ、次亜塩素酸のガス濃度をコントロール可能なため、気体状次亜塩素酸による浮遊菌除菌効果、浮遊ウイルス抑制効果検証やカビ、PM2.5、花粉、アレル物質の抑制効果検証に対応。


「ジア環境BSL2試験室」

試験室の前には次亜塩素酸ガス発生装置とともに、「ネブライザー(菌噴射装置)」、「インピンジャー(菌回収装置)」が設置されていた

 パナソニック エコシステムズ 技術担当執行役員の岡本剛氏は「さまざまな菌やウイルスの抑制効果の検証が、温湿度制御の下可能になる。さらに空間中の次亜塩素酸ガスも制御できるのは業界初」と話す。

 実空間除菌試験室では、移動壁を設け、6~80畳に試験室のサイズを可変。生活環境を想定した空間で、付着菌の除菌効果や付着ウイルスの抑制効果の検証が可能になる。


移動壁で6~80畳に試験室のサイズを可変できる「実空間除菌試験室」

移動壁を広げた状態

 「付着菌についてはこれまでもいろいろな検証をしてきたが、さらに生活空間に近い形で、いろいろな材質に対して温湿度をコントロールし、換気量を変えて、生活空間を模した形で検証ができる。ここで取得したデータを皆様に届けたいと思っている」(岡本氏)と、より使用場所に近い形での実験設備を整える。

 執務スペースとなる空間価値創造オフィスでは、センサー、空調、クラウドを連携させ、空質空調連携システムの実空間検証も実施。ワーキングスペース内における温湿度や二酸化炭素濃度、在籍人数などのデータも取得している。

 「これまでは、社内スペースを使って実験ごとに仕切りを作り、夏は除湿機、冬は加湿器をつけて、温湿度をできるだけ整えていた。実験ごとに温湿度を手動で調整していたため、大変苦労したが、今回の実験設備は温湿度がきちんとコンロールでき、季節を問わず安定して、精度の高い実験ができる」(岡本氏)とメリットを説明する。

 次亜塩素酸は、三重大学との共同研究により、揮発した次亜塩素酸による付着菌の除菌効果の実証を2015年に発表。新型コロナウイルスについても、抑制検証で効果が得られることが実証できているという。今後も次亜塩素酸のポテンシャルを引き出すさまざまな共同研究を実施していく計画だ。

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