急落した岸田人気をうけた政治の行方:モノを決められない国になる恐れ

アゴラ 言論プラットフォーム

どうも岸田政権の雲行きが怪しい状況です。8月8日のNHKの世論調査は支持率が46%と前回より13ポイント下落。そして毎日新聞が行った8月21日の調査が支持率36%と16ポイント下落しました。今後続く各調査も同様の展開となる公算があります。

自民党HPより

NHKの8月8日の調査は内閣改造をした8月10日の前ですので内閣改造が不評だったとするのは必ずしも支持率低下の主たる理由になりません。もちろん、毎日新聞が指摘する「支持率が改造前より低下するのは異例」というのはうなずけるもので、顔ぶれが変わったものの有権者は「それで?」ということだったと思います。

では内閣支持率が急落したのはなぜか、かなり個人的な想像ですが、安倍さんが亡くなったことで文鎮がなくなり、自民党が軽くなったような気がするのです。そもそも自民党の重鎮も高齢者が多くなった中で世代交代の時期に入っていました。岸田さんはその意味では新しい時代を背負い、内閣も前回、今回共に岸田カラーが出ていたわけです。ところがその人事とは後ろにある派閥、ひいては重鎮のかじ取りに基づく派閥同士のせめぎ合いの産物であったとすれば結局、人々が内閣を支持し、自民党を支持する理由は根底にある指導力と安定感だったのではないでしょうか?

残念なことに絶対的なリーダーであった安倍さんが亡くなり、清話会で明白な次の方も育っていませんでした。かつて安倍政権が安定を極めていたころ、私はこのブログで「安倍さんは次を育てていない」と申し上げたことがあります。もしかしたら子供がいないご夫婦ゆえに「育てる」という発想が薄かったのかもしれません。

私は岸田政権は政権発足時から長くなると何度も申し上げてきています。解散さえしなければ3年間は選挙からは解放されます。では岸田さんが解散総選挙にまで追い込まれることは起こりえるのでしょうか?私は岸田さんの性格があまり踏み込まないタイプなので自ら爆弾を抱えて解散も辞さずなどということをするとは思えないのです。

それと野党も情けないのです。強い野党がいればこれは別の話です。産経には「安保政策語らぬ立憲民主党 参院選敗北で『立憲共産党』に先祖返りも」とあります。私が見る立民の構造はアメリカの民主党と同じで中道左派を標榜するつもりが左派の広範囲の考え方を拾い上げ、まとめられず、挙句の果てに共産党の名前が再び取りざたされるようになるほど内部が歪んでいるのです。

岡田克也さんが党幹事長になるようですが、そうせざるを得ないところまで追い込まれていたともいえないでしょうか?

もう一つ、私の不満は公明党にあります。先の世論調査の中で支持政党の質問で公明党の支持率はNHKが2.7%、毎日の調査が2.0%であります。公明が占める参議院の議席数は10.9%、これに対して支持率が2%台ということはあまりにも選挙結果がいびつであると言わざるを得ないのです。妥当な議席数は6議席でありそれを今は21議席も上回っていると言えるのです。もちろん、世論調査と議席数はマッチしませんが、偏差を考えても公明党は異常値であると言わざるを得ないのです。

ちなみに同じ組織票の共産党は支持率が概ね4%で議席に占める割合は4.4%ですのでさほど歪んではいないということになります。

旧統一教会の問題はお茶の間で飽き飽きしてきた話題でもありますが、政党政治に組織票という考え方を持ち込むと必ずしも世論の発想を反映しないのが現在の政党政治であるとも言えます。組織票の取り込みは日本の政治に於いてごく当たり前でした。しかし、それが今回の旧統一教会の問題であり、公明党の潜在的問題であり、立民と労働組合という関係だとも言えます。

一方、自民党が組織的弱体化に陥ると日本はモノを決められない国になりやすくなります。現状を見る限り、これからの日本にとっては頭痛の種になるのではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年8月22日の記事より転載させていただきました。