新型コロナ「第7波」の死者が増えている。8月17日には300人を超え、今年(2022年)初めの「第6波」を超える勢いだが、愛知県の大村秀章知事は、記者会見で「コロナ肺炎単独の原因で死亡した人はいない」と述べ、大きな反響を呼んだ。
愛知県によると、オミクロン株(BA.5)は感染力が強い一方で重症化しにくいため、コロナで重症化した患者はほとんどいない。こういうオミクロン株の特性を踏まえ、愛知県は国に対して、他の疾患が主要な原因の場合をコロナ死から除外するなど、定義を変更することを要望した。
死者が重症者より多い謎
いま毎日、都道府県が発表している速報ベースのコロナ死者は、死亡したときコロナ陽性だった人をすべてカウントしている。他の病気で死亡した患者も、PCR検査で陽性だった場合はコロナ死として集計する。
マスコミはそれを集計して死者を報道しているが、これは死亡診断書の死因とは必ずしも一致しない。死亡診断書には「原死因」として直接に死因となった疾患だけを書く。たとえば糖尿病の患者が死亡したときコロナ陽性だった場合も、医師がコロナは死因ではないと判断したら、原死因は「糖尿病」と書く。
全国的にも、コロナが原死因とは認められないケースが増えている。たとえば奈良県では、オミクロン(第6・7波)の死者の46%が「新型コロナが直接の死因とは認められなかった」としている。これは第5波までとの顕著な違いである。
愛知県が「コロナ肺炎単独の死者は確認されていない」と発表したのは、死亡診断書で原死因がコロナとされた患者にも、それ以外の基礎疾患があったという意味だろう。こういう患者を一律にコロナ重症者として扱うと、医療資源の大幅な浪費が生じる。
今年6月20日から8月15日までの愛知県の第7波のコロナ死者は235人だが、同じ期間にコロナ重症患者は39人しか増えていない。重症化してから死亡するまでにはタイムラグがあるが、2カ月間の死者が重症者の6倍というのは明らかにおかしい。この食い違いの原因は何だろうか?