米連邦議会のペロシ下院議長のアジア歴訪では、波紋を広げた台湾訪問に続いて、韓国、日本の順番で足を運んだ。
韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が休暇中だったことを理由に対面の会談は行われず、2022年8月4日、約40分間にわたって電話で会談。その後、南北軍事境界線上にある板門店の共同警備区域(JSA)を視察した。尹氏は、ペロシ氏のJSA訪問を「韓国と米国の間の北朝鮮に対する強力な抑止力の表れ」になると評価したといい、東亜日報は「台湾訪問に続いて『安保』行動に出た」と表現。ミサイル発射を繰り返し、7回目の核実験強行の可能性が指摘される北朝鮮に対してクギをさしたとも言えそうだ。
「軍人の愛国的な奉仕に、米議会と国家の感謝の意」
JSAをトップレベルの米高官が訪問するのは19年6年のトランプ大統領以来3年ぶりで、バイデン政権発足以降初めて。ただ、トランプ氏の訪問目的が米朝首脳会談だったのに対して、ペロシ氏の訪問は
「それ自体が最近ミサイルの試験発射など挑発レベルを高めている北朝鮮に対する警告メッセージだと分析される」(中央日報)
と報じられており、この3年で緊迫化した米朝関係が影を落とした。ペロシ氏はツイッターに
「朝鮮半島で民主主義の歩哨となっている軍人の愛国的な奉仕に、米議会と国家の感謝の意を伝えた」
という文章とともにJSA訪問の写真を投稿した。
ペロシ氏はJSA訪問に先立って、金振杓(キム・ジンピョ)国会議長とも会談。韓国国会の発表によると、金氏は韓米両国が「北朝鮮の脅威レベルが高まる厳しい状況に懸念を表した」上で、
「強力で拡大された対北朝鮮抑止力をもとに、実質的な非核化と平和定着を達成するための両国政府の努力を支援していく」などと発言。ペロシ氏は
「安保、朝鮮半島の非核化問題など様々な懸案に対して持続的な関心を持つ」
と応じたという。