スマホの普及に伴い、スマホをより便利にするアイテムとして着実に利用が進んでいるスマートウォッチ。今回はスマートウォッチの大きな魅力の1つとも言える「タッチ決済」について、その使い方や対応機種を紹介したい。
手をかざすだけで決済が完了する手軽さが魅力
今回取り上げるタッチ決済は、バーコードを読み取るコード決済とは異なり、端末をかざすだけで決済が完了できる非接触決済のことを指す。詳細は後述するが、すべてのスマートウォッチでタッチ機能が利用できるわけではなく、利用のためにはタッチ決済に対応したスマートウォッチが必要だ。
タッチ決済自体はスマホに搭載されている機能のため、スマートウォッチが必須というわけではない。しかしスマートウォッチのタッチ決済は「何も取り出さず決済できる」という手軽さが最大の魅力だ。
電車やバスに乗車する時、スマホなら鞄やポケットから取り出して手に持つ必要があるが、スマートウォッチならただ手首をかざすだけでいい。スマホを取り出すくらいたいした手間に思わないかもしれないが、何も持たず取り出さず、ただ手をかざすだけという手軽さは、一度慣れてしまうと、スマホでの決済がとても面倒に思えるほどだ。
Suica対応のスマートウォッチなら、在来線だけでなく新幹線や特急の乗車も可能。東北・北海道、上越、北陸、山形、秋田の各新幹線で利用できる「新幹線eチケットサービス」、JR東海の新幹線で利用できる「スマートEX」で、自分のアカウントにSuicaの番号を紐付けておくことで、新幹線のみの利用はもちろん、在来線からの乗り継ぎも可能だ。
荷物が多い時もスマートウォッチは便利。旅行時に荷物やお土産で両手が埋まっていたり、重いスーツケースを引きながら移動していたり、という時には、スマホを取り出すという作業すらも面倒だが、スマートウォッチなら手首をかざすだけでいい。
最近はコンビニエンスストアやスーパーでセルフレジを導入している店舗が増えているが、こうしたセルフレジでもスマートウォッチは便利。特に自分で袋詰めをしなければいけない場合に、スマホを取り出さずに済むのはありがたい。
Suicaなどプリペイド決済であれば、スマホがなくてもスマートウォッチのみで支払いが可能だ。スポーツ中などでスマホを持つことができないシーンも、スマートウォッチがあれば水分補給の飲料をスマホなしで買うことができる。
iPhoneであれば、iPhone 7以降はタッチ決済が全機種で搭載されている。一方で、Androidは機種によってはタッチ決済に対応していないモデルもある。そうしたスマホにとっては、タッチ決済に対応したスマートウォッチはスマホを補完する新機能としても魅力的だ。
チャージは専用アプリから。Apple Watchは本体チャージやオートチャージにも対応
プリペイド決済へのチャージは、Apple Watchとそれ以外で異なる。Apple Watchの場合、SuicaやWAON、nanacoはApple Watch本体およびiPhoneの専用アプリどちらからもチャージが可能。Apple Watchでのチャージは画面が小さく操作の手数が多いこともあり、iPhoneにもアプリをインストールしておくと便利だ。
Apple Watch以外のSuica対応スマートウォッチは、Google Payからのチャージが基本となる。iPhoneでもスマートウォッチ自体の利用はできるものの、支払い方法としてApple Payには非対応のため、別途Google Payのクレジットカード登録といった支払い設定を済ませておく必要がある。
タッチ決済を使用する場合、Suicaは物理カードやスマホと同様、スマートウォッチをタッチするだけで利用可能。残高はスマートウォッチ側で管理しているため、スマホを持たずにスマートウォッチだけでも決済が可能だ。
Suica以外の決済は、Apple Watchは電源ボタンを2度押しすると登録済みの決済方法が選択でき、任意の方法を選んでからタッチで決済できる。wena 3は特に選択の必要はなく、wena 3で決済端末にタッチするだけで決済可能だ。
充電やチャージの手間といった課題も工夫次第で対策
非常に便利なスマートウォッチの決済だが、わざわざスマートウォッチを付けるのが負担という人も多い。一番の理由はスマホとは別にスマートウォッチを充電しなければいけないという手間だろう。
スマートウォッチの充電自体はどうしても避けられないが、機種によっては充電の回数を減らすこともできる。Apple Watchは最大18時間と約1日程度だが、バンド型のFitBit charge 5なら最大7日間のバッテリ持続時間。GARMINは2週間以上持つモデルに加えて、太陽光充電に対応したモデルもある。wena 3も1週間以上のバッテリ持ちだ。
1日しか持たないとバッテリの維持も大変だが、1週間近く持つのであればバッテリ充電の負担は大幅に軽くなる。また、スマートウォッチのほとんどが急速充電に対応しており、数十分程度充電するだけでもフル充電できるものが多い。入浴時に充電するようにすれば、普段の生活で充電で困ることはないだろう。
Suicaチャージは、Apple Watchならオートチャージに対応しているため、日常的に電車に乗っていればチャージ不足となることはほとんどないだろう。Apple Watch以外は手動チャージが必要だが、チャージ金額を多めに設定しておくといい。筆者の場合は1万円を切ったのを気がついたタイミングで、上限2万円近くまでチャージするようにしている。
腕時計を付ける習慣がない、という人はそもそもスマートウォッチの利用が難しいかもしれないが、腕への負担が気になるという理由なら、できるだけ軽量のモデルを選ぶという選択肢もある。バンド型のFitbit Charge 5は重量29gと30gを切る重さで、腕時計と比べても遜色ないか軽いくらいの重量で装着が可能だ。
スマートウォッチのタッチ決済は左右どちらが便利か
最後にスマートウォッチを日常的に装着して愛用している筆者の利用スタイルについても紹介しておきたい。
筆者のスマートウォッチを使ったタッチ決済歴はwena 3から始まった。バッテリも持ち十分に便利なwena 3だったが、肝心のスマートウォッチ機能が十分ではないという理由で、最近ではFitbit Senseを愛用している。
なお、レビューなどでApple Watchも何度か試用しているが、iDやQUICPayも使えるという点で筆者としてはApple Watchのほうが魅力的。しかしメイン端末がAndroidのためApple Watchの利用は泣く泣くあきらめている、というのが現状だ。
Fitbit SenseはSuicaのみのため、前述の通り常に1万円以上をチャージする運用でチャージ不足という事態を防いでいる。電子決済でポイントを稼ぐ、いわゆる「ポイ活」のため、普段はポイント還元の大きいクレジットカードをiDとして愛用しているのだが、最近は手首だけで決済できる便利さに惹かれて、少額のものはほとんどスマートウォッチのSuicaで決済するようになった。
スマートウォッチでタッチ決済するときの課題が、左右どちらの手に装着するかだ。右手が利き手の場合、時計は左手に付けることが多いが、改札のタッチ決済は右側にあるため、左手で通るのは若干窮屈になる。筆者も左右両方試してみたが、決済の便利さを優先して最近は右手に装着するようになった。
余談ながら、先日筆者が車を運転した際に通った有料道路は、現金かSuicaのみで支払いが可能だった。そのときはたまたま右手に装着していたのでスムーズに支払いできたのだが、左手に装着していたら支払いに戸惑っていたかもしれない。この件もあって筆者はスマートウォッチは右手で確定することになった。
スマートウォッチの一部モデルは、バンド部分を自由に変更することができる(バンド部分がスマートウォッチになっているwena 3は当然ながら対象外)が、筆者のおすすめはマジックテープとも呼ばれる面ファスナータイプのバンドだ。
コロナ禍の影響で手洗いする機会は以前よりも格段に増えたが、手洗いのたびにスマートウォッチを外すのは地味に面倒。その点面ファスナータイプはサイズを一番大きくして二の腕の間接近くまで引っ張り上げて一時的に装着しておくと、スマートウォッチを外すことなく手洗いできる。
本稿は基本的にタッチ決済の利用がメインだが、スマートウォッチを常用するようになって便利になったことも触れておきたい。その1つはスマートウォッチからスマホの場所を探す機能だ。家や仕事場などでうっかりスマホを放置してしまいどこに置いたか分からない、という時に、音を鳴らして簡単に場所を発見できる。
筆者は健康管理も兼ねて寝るときもスマートウォッチを装着しているのだが、朝起きるときにもスマートウォッチは便利。タイマーを設定しておくと、時間になったら手首に装着したスマートウォッチのバイブレーションで起床できる。大きな音のアラームに比べると物足りないかもしれないが、音を出さずに起きたい、という時にはとても役立つ機能だ。
自分の体が決済機能を搭載した感覚になるスマートウォッチのタッチ決済
筆者は長らくAndroidをメインのスマホとして愛用していたこともあり、早くからタッチ決済に対応していたApple Watchを利用することができず、スマートウォッチのタッチ決済を使い始めたのはここ数年のことだ。しかし、タッチ決済のおかげでスマートウォッチの利便性が一変し、外出時に付け忘れることがほとんどなくなるくらい愛用するようになった。
繰り返しになるがタッチ決済はスマホでもできるものの、何も取り出すことなく手をかざすだけで決済できるという体験はまったくの別物。まるで自分の体が決済機能を搭載したような感覚すら覚えるほど、スマートウォッチでのタッチ決済は快適だ。
ただしスマートウォッチで決済機能を搭載したモデルは、Apple Watchシリーズを除けば一部モデルのみとなるため、タッチ決済を利用したいユーザーは対応端末をしっかりチェックしておこう。そしてタッチ決済を皮切りとして、スマートウォッチの便利さに目覚めてもらえれば幸いだ。
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