新型コロナウイルスの感染拡大で起きていたPCの購入ブームが終わり、景気後退の兆しに消費者が動揺する中、Intelは米国時間7月28日に発表した第2四半期決算で、利益と売上高が大きく減少したことを明らかにした。データセンター向けチップのアップグレードに遅れが生じていることなど、Intel自体の問題も、主要な要因の1つだった。
提供:Intel(screenshot by Stephen Shankland/CNET)
アナリストらは驚きを隠さなかった。「Intelの第2四半期の業績は、われわれがこれまで目にしてきた中で最悪だ」と、BernsteinのアナリストであるStacy Rasgon氏は述べている。
Susquehanna International Group(SIG)のChristopher Rolland氏も、同様に悲観的な見解を示した。
「Intelは数十年にわたり、多くの失敗したプロジェクト、有効ではなかった買収、戦略的な弱点を、ムーアの法則とプロセスにおける主導力を追求することで、埋め合わせることができた」と同氏は述べた。「その主導力を取り戻すか(それは難しいとわれわれは考えている)、戦略的な方向性を転換しない限り、成長、収益性、キャッシュフローの問題は残り続けるだろう」
今回の業績は、チップ製造の最先端へと復活し、アジアに奪われた影響力を取り戻すために米国半導体業界を率いることが、Intelにとってどれだけ困難を極めるかを物語っている。
同社最高経営責任者(CEO)のPat Gelsinger氏は、同社の業績について釈明する声明を出した。
「今回の四半期業績は、われわれが当社と当社の株主に対して設定した基準を下回っている」とGelsinger氏は声明の中で述べた。「業績の改善が必要であり、改善させるつもりだ」
Intelの第2四半期の売上高は、前年同期比22%減の153億ドル。株式連動報酬や棚卸評価減などの一部の費用を除いた1株あたり利益は29セントで、前年同期比78%減だった。どちらも、Intel自体の見通しとアナリスト予測を大きく下回っている。Intelは、4億5400万ドルの純損失を計上した。
28日はIntelにとって、もう少し喜ばしい日になるはずだった。米議会は27日、The CHIPS and Science Act of 2022(CHIPS法)を可決した。この法律は、Joe Biden大統領の署名をもって、527億ドル(約7兆1800億円)の資金を半導体製造企業に提供するというもの。これによって、半導体製造工場(ファブ)を新設する費用は、100億ドル(約1兆3300億円)から70億ドル(約9300億円)に下がる見込みだ。この投資は、2024年に半導体製造の競合企業に追いつき、2025年には再び半導体製造を主導する地位を奪還するという、Gelsinger氏の再建計画の鍵となるものである。
しかし、その再建までの道のりは長くなりそうだ。現時点の問題として、インフレ懸念の高まりとともにPCへの支出が急減していることと、データセンター分野においてAMDなどの競合企業が勢いを増していることなどがある。データセンター向けチップを強みとしていたIntelだが、AMDがより競争力の高いチップを提供していることや、Amazon Web Servicesが独自の「Graviton」プロセッサーを採用していることで、その強みも脅かされている。Gravitonは、スマートフォンやAppleの「Mac」にも採用されているArmをベースとしたプロセッサーだ。
IntelのPC事業の売上高は、 前年同期比25%減の77億ドルだった。データセンター部門の売上高は、前年同期比16%減の46億ドルだった。最高財務責任者(CFO)を務めるDavid Zinsner氏は、第2、第3四半期が「底だと考えている」と述べた。
Intelは、第3四半期も業績は厳しくなると予想している。その結果として、通期の売上高見通しを、当初の760億ドルから650億~680億ドルに、大きく下方修正した。同社は対策の1つとして、通年の設備投資を40億ドル引き下げて、230億ドルとしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。