【国民全員が標的】「NHK」を名乗るフィッシング詐欺が横行中!気をつけるべき2つのポイントとは?

ロケットニュース24

留まる気配が一向に無いフィッシング詐欺。

その種類の多くはVISAカードアメリカンエキスプレスなどのクレジットカード会社や三井住友銀行イオン銀行などの銀行を装う、いわゆる金融系だ。

その他にもAmazonなどのECサイトを装うフィッシング詐欺も相変わらず猛威を奮っている中、今回取り上げるフィッシング詐欺は初のテレビ局を装うもの。しかもあの『NHK』だ。

子供からシルバー世代まで幅広く試聴される国民的チャンネルだけに、多くの被害が予想される。そこで今回はこの『NHK』を名乗るフィッシング詐欺が個人情報を搾取するまでの一部始終と防止策をお伝えしよう。

・入口の偽メールは2種類?

まずはフィッシング詐欺の入口である、偽メールから見ていこう。


現在、私(耕平)のメールボックスで受信しているのは、主に2種類。まず1つ目が「【NHKサポートセンター】NHKより重要なお知らせ」という件名のもの。


こちらの偽メールの内容は、受信料の支払いの確認を促すものだ。送信元のメールアドレスも「info@nhksupport.com」と、いかにも本物っぽいので騙されないようにしていただきたい。

そして2つ目は「【重要】NHKプラスアップグレードサービスお知らせ」という件名のメール。


こちらは「NHKプラス」というサービスに、無料アップグレードできるといった内容のもの。「NHKプラス」とは、NHKで放送された番組を1週間、インターネットに接続されたスマホやPCなどで繰り返し試聴できるサービスのことだ。

このサービスは受信料を納めていれば本当に無料で契約ができる。したがって、個人で選んで契約するようなクレジットカードや各種サービスなどのフィッシング詐欺とは違い、国民のほぼ全員に近い確率で該当するところが、この詐欺の恐ろしいところだ。


・ほぼ完コピの偽サイト

それではいよいよ、個人情報を抜き取るフィッシングサイトに潜入を試みる。メール本文のリンクをクリックすると「NHK 日本放送協会ID登録」というページに飛ばされた。


ちなみに本物のサイトは「NHKプラスID登録」というタイトルだが、それ以外は全て同じといった徹底したコピーっぷりだ。


そしてページ下部にある「登録手続きへ」をクリックすると……


「ログイン情報等の入力」と書いてあるページに移動した。


ここから個人情報の抜き取りが始まる。ここで「VISAカードを騙るフィッシング詐欺」などでも使っている手法でお馴染み、全て数字の「1」のみを打ち込んで進む戦法を今回も試みる。


しかし最近のフィッシング詐欺は巧妙化していることもあり、簡単に弾かれてしまった。そこでそれっぽいケタ数で、デタラメな英数字を打ち込んでみる。


ページ下部の「放送受信契約情報の入力へ」をクリック!


すると……

進めた!


お客様情報の入力ページが表示され、氏名や住所などの個人情報の入力が求められる。


ここで改めて数字の「1」のみ入力戦法を試みる。


ひたすら「1」……。


そして最下部の「へ進む」と書かれた、謎のボタンをクリックすると……


クレジットカード情報の入力ページに進むことができた。


ここでも「1」のみを打ち込もうと試みる。が、以前潜入したJR東日本が提供しているサービス「えきねっと」を騙るフィッシング詐欺の時と同様、手打ちで入力することができない。このフォームは、あらかじめGoogle Chromeなどにブラウザに登録しているカード情報から自動入力するしか受け付けない仕様になっている。


ただ、この時フィッシングサイト対策用に仕込んでいた架空のカード番号で登録した名義である「FISHINGTAROU(フィッシングタロウ)」を使って対抗。難なく入力に成功する。


あとは適当に打ち込んで、「入力を完了する」のボタンをクリック。


クレジットカードのパスワード入力ページに飛んだ。


ここも「1」のみを打ち込んで……


「送信」をクリック。

弾かれてしまった。


そこで適当にケタ数だけ合わせて、デタラメな英数字を打ち込んでみる。


再度「送信」をクリックすると……

本物のNHKの番組表のサイトに飛ばされた。


このパターンは、もはやフィッシング詐欺では王道となりつつある。もちろん、この時点で個人情報が全て抜き取られていると思われる。


・被害に遭わないための2つのポイント

今回の「NHK」を名乗るフィッシング詐欺が、かなり危険な理由、それは前述したとおり……


「日本国民のほぼ全ての人が対象になる」


これに尽きる。今までの金融系やその他サービスを装うフィッシング詐欺は、その会社やサービスと契約していないとすぐに偽メールと気づいてしまう。しかし、テレビ放送が受信できる設備があるだけで契約義務が発生してしまう「NHK」の契約条件に当てはまらない人の方が、圧倒的に少ないのではないだろうか?

しかも日本国民で「NHK」を知らない人は、まずいないだろう。ある意味、今まで紹介したフィッシング詐欺に使われている会社やサービスの中で、一番知名度は高いのではないだろうか。そんな環境下で、このフィッシング詐欺は巧妙な手口で襲いかかってくる。

ということで防止策として、1つ目はNHKが注意喚起している「NHKを名乗り不審なサイトに誘導するメールにご注意下さい」を一読していただきたい。

2つ目は毎回警告しているが、確実な防止策として……


「メールやSMSから、直接サイトにアクセスしないこと」


これは今回のフィッシング詐欺に関わらず、あらゆるサービスにおいて意識してもらえれば、100%に近い確率で騙されることはないだろう。

──この記事が被害拡大防止の一助になれば幸いである。

参考リンク:NHK「NHKを名乗り不審なサイトに誘導するメールにご注意下さい」 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.

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