「Twitterで知らない人にからまれた。ツイート内容に反論したかったらしいけど、議論したいわけじゃないからめんどくさくて困った」ーーこのような経験がある人は多いだろう。このような時に使われるのが、「検索避け」だ。
検索避けとは、GoogleやTwitterなどの検索で、意図しない相手に見つからないようにする手法のことだ。たとえばCNETを「C☆N☆E☆T」のように文字間に無関係な絵文字などを入れたり、「C○ET」のように一部を伏せ字にしたりする、などがある。
そもそも、なぜ検索避けが行われているのだろうか。実態と理由について見ていこう。
「検索避け」に励む若者たち
「ありがとう!すばらしすぎるから天☆皇になってほしい(検索避け)」
「M_八_七(一応検索避け)歌いたかったのに、歌えなかったー」
「やばいついーとはたいていけんさくよけでひらがなにしてるー」
「YO○SOBIの新曲マジいい。脳内ループ」
「さっきのツイートは誤字ではなく検索避けでわざとです」
「ジャニーズグループは検索避けでグループを絵文字で表すんだよ」
Twitterでは、このようにさまざまな検索避けの例が頻繁に見られる。たとえば単語の文字と文字の間に無関係なものを入れることで、単語として検索されることを避けるというわけだ。
単語の中に絵文字や「i」「l」「_」などの文字や記号を入れる、カタカナやひらがな、誤字など本来とは違う表記にする、イメージする絵文字で表現する、一部を伏せ字にするなど、色々なパターンがある。以前は「/」でも検索避けができたが、できなくなっているようだ。
「検索避けしたのに、なぜかめんどくさい人に見つかって困った」と、ある大学生が言っていた。「最近では、検索避けしすぎて自分のツイートが見つけられなくなって困っているくらい。みんなしてますよ」
非難、批判やもめごとを避けるため
なぜ若者たちは検索避けをするのだろうか。それは検索で見つけられたくない、見つけられると不都合が起きたり、厄介事が起きたりする可能性があると考えているからだ。
たとえば、著名人や芸能人についてネガティブなことをツイートしている場合は、ファンに見つけられて非難、批判を受けることがある。ネガティブなことを書いていなくても、芸能人にはつきものである“アンチ垢”にからまれることもあり、厄介事につながることも多いという。
「検索避けしたほうがいいジャンルはあると思う。『これは書いたら厄介かな』と思うことは、とりあえず全部検索避けにしている」という。たとえば、二次創作や腐女子関係のツイートも、検索避けは必須だそうだ。「同好の士の仲間内だけで盛り上がりたいのに、不快に思う人に見られてもめたくない」ーーキャラクターのイメージを壊す可能性があり、公式アカウントや作者などに見つかりたくないという。中には、声優や俳優のファンから忌み嫌われて激しいバッシングを受けることがあるそうだ。
「不快に思う人に見つかると通報されたり、最悪の場合は削除されたりする可能性もあるらしいから。ジャンルによっては掲示板とかで晒し者にされるという噂も聞いたことがある」
もちろん検索避けのために“鍵垢”にすることも多い。しかし、完全に鍵をかけてしまうと同好の士での交流が広がっていかないため、普段は検索避けを使っているそうだ。「検索避けと『#○○な人とつながりたい』は矛盾しないんです。あくまで同好の士とつながりたくて、不特定多数とつながりたいわけじゃない」
中には、あまり意味がない検索避けや、からまれそうにない内容でも検索避けを使っているツイートを見かけることがある。「たぶん身内感も出るし、もう習慣になっているのかも。仲間内はみんな検索避けが普通だから、しないのが怖い、みたいな」
若者たちは、SNSでつながりたい欲求と、つながりすぎることへの恐れを同時に抱いている。Twitterは情報を検索したり、趣味嗜好などでつながりを広げたりするために便利に使えるが、非難や批判、炎上などにもつながりやすい。状況に応じてこのような使い方を参考にしてもいいかもしれない。
高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。
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