Microsoft、Windows 11/Edgeのゲーム向け機能を拡張。Xbox Game Passも拡充

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Microsoft Edgeに実装されるゲーム画面を鮮明にするクラリティ・ブースト(写真提供:Microsoft)

 米Microsoftは9日(米国時間)、Microsoft EdgeやWindows 11におけるゲームユーザー体験の拡張、Samsung Electronicsが提供するスマートTVの2022年モデルに、Xbox Apps for Samsung TVアプリが提供されることなどを発表した。

 また、Xbox Game Pass Ultimateのメンバーが、既に所有しているゲームタイトル、Xbox Game Passライブラリ以外で購入したゲームをクラウド経由でプレイする機能などを年内に提供することを明らかにした。

XboxとPC中心から、Xbox Cloud GamingとXbox Game Passへ

従来のクライアントはXboxとPCだけだったが、今回さらにスマートTVを加えたことで、クラウドゲーミングでのサポートとなっていたスマートフォンやタブレットなどに加えて対応するクライアントデバイスが増えた形になる(写真提供:Microsoft)

 Microsoftのゲーム戦略の中心と言えば、言わずと知れたコンソールの「Xbox」とPCゲーミング市場を独占していると言っていい「Windows」という2つのプラットフォームを中心に構築されてきた。MicrosoftはXboxとWindowsのゲーム市場を徐々に統合してきており、1つのMicrosoftアカウントで購入したXboxのゲームは、XboxとWindowsのどちらでも同じようにプレイすることが可能になっている。

Xboxコンソールの最新版となるXbox Series X|S(写真提供:Microsoft)

 近年はそうしたユーザー体験を、Microsoftのプラットフォーム以外にも広げる取り組みが行なわれている。具体的には、「Xbox Cloud Gaming」(ベータ版)がそれにあたり、クラウド上にあるXboxタイトルを、スマートフォンやタブレット端末からプレイすることが可能。このXbox Cloud Gamingは2021年9月に日本でもサービスインした。

 クラウドゲーミングを加速させるため、Microsoftはもう1つの施策として「Xbox Game Pass」と呼ばれるサブスクリプション型のゲーム配信システムを提供。ユーザーは月額制で対象ゲームをWindows PCやXboxでプレイできる。Microsoft Gaming CEO フィル・スペンサー氏によれば、Xbox Game Passの契約数は2021年同時点と比べ300%増えているという。

 Xbox Cloud Gaming、Xbox Game Passを両輪で回していくことで、これまでXboxとWindowsだけではカバーできなかった「30億人の潜在ゲームプレイヤー」(スペンサー氏)にリーチするというのがMicrosoftの基本的なゲーミング戦略となる。

Xbox Cloud Gaming(ベータ版)をプレイしているイメージ(写真提供:Microsoft)

 その効果は既に現れている。今年の5月にはAppleとEpic Gamesの法廷闘争の影響でiPhoneではプレイできなくなっていた、Epic Gamesのフォートナイトが、Xbox Cloud Gaming経由でプレイできるようにして見せたのは象徴的な出来事だといえる。

Windows 11やデスクトップ版Microsoft Edgeのゲーミング機能を強化

デスクトップ版Microsoft Edgeのゲーミング・ホーム・ページ(写真提供:Microsoft)

 そうした戦略の元、今回の記者会見で、Microsoftはいくつかの重要なアップデートを行なった。その1つとして、同社にとって保守本流とも言っていいゲーミングプラットフォームである、Windows 11でのゲーム体験の改善に引き続き取り組んでいく。

 MicrosoftはWindows 11のリリースに合わせてリアルタイムレイトレーシングなどの機能を追加した「DirectX 12 Ultimate」、ゲームの読み込みを高速化する「Direct Storage」などの機能拡張を行なっている。

 それに加え、Windows Insiderでのテストが開始されている「Auto HDR」や、VRR(Variable Refresh Rate)設定の追加などのウィンドウ表示のゲームへの最適化、より容易にHDR設定ができるようになる「HDRキャリブレーションApps」の提供開始、Windows 11のウィジットで最近遊んだGame Passタイトルを表示する「Game Pass Widget」、現在Windows Insiderでテストが進められているXbox Appsやゲームタイトルを起動できるランチャー機能を持つ「Controller bar」などの機能拡張が行なわれる。

 今回、カジュアルにゲームをプレイしたいユーザー向けにデスクトップ版のMicrosoft Edgeに新しいゲーム機能の追加が行なわれることが明らかにされた。

ゲームメニュー(写真提供:Microsoft)

 追加されるのは、ゲームのガイド、配信案内、ゲームのハイライト、ゲーム大会など表示される「ゲーミングホームページ」、ブラウザ上のゲームで鮮明度を向上させるポストプロセッシング機能の「クラリティブースト」機能、Microsoft Solitaire、Atari Asteroids、Microsoft Jewelなどの定番ゲームや、Edgeだけに配信されるSurf gameなどをプレイできる「ゲームメニュー」などだ。

 これは既にデスクトップ版のMicrosoft Edgeブラウザに実装されている機能になるが、バッテリ駆動時などにブラウザが消費するリソースを制限することでバッテリ駆動時間を延ばすことができる「Efficiency mode」も、ユーザーがPCゲーミングを行なう際に有効になり、Webブラウザを起動したままにしも、PCの処理能力への影響を最小化できる。

Xbox Game Passでライブラリ以外のタイトルにも年末までに拡張

Xbox Design Labによりパーソナライズ化されたコントローラ(写真提供:Microsoft)

 Xbox Game Passも、年末までに機能拡張がなされる。Xbox Game Pass Ultimate(月額:1,100円、税込み)を契約しているユーザーは、クラウドでの設定が必要になるという条件が付くが、Xbox Game Passの定額プレイの対象外であっても、既にユーザーが所有しているタイトルや、Xbox Game Passのライブラリで提供されている以外で購入したゲームタイトルをクラウド経由でプレイ可能になる。

 現時点では詳細がどのような形になるかは明らかにされていないが、Xbox Game Passの対象ではないが、Microsoft Storeで既に購入した、あるいはこれから購入するゲームタイトルなどが対象になるようだ。

 また、Microsoftは「Project Moorcroft」という開発者向けのプログラムを来年の年末までに開始する。Project Moorcroftでは、小規模の独立系ゲーム開発者などが、Xbox Game Passを契約しているユーザー向けにデモ版を提供できる。ユーザーは新しいゲームを公開前に試遊でき、開発者はユーザーの反応を試しながらタイトルを仕上げていけるようになる。

Xbox Design Labに新色などが追加される(写真提供:Microsoft)

 このほかにも、既に一部の国などで提供されているXboxコントローラの新しいパーソナライズ化については、ソフトピンクやソフトオレンジ、ソフトグリーン、ソフトパープルなどの新色が追加される。同時に、これまで提供されていなかった、日本、韓国などの11カ国での提供開始が明らかにされた。

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