私が住む神奈川県綾瀬市の南部から藤沢市の北西部にかけて、植木の生産・販売業者が集まっている。
その周囲には様々な木々を栽培する植木畑が広がっており、実にユニークな景観を作り出している。特に新緑の季節には新芽が彩りを添え、色鮮やかな植木鑑賞を楽しむことができるのだ。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)
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通学路沿いにあった植木畑
私と植木畑との関りは中学時代にまで遡る。中学校までの通学路沿いに、植木を育てている畑があったのだ。
これまでは身近すぎて当たり前の存在と思っていた植木畑であるが、最近になって、よくよく考えてみると他の地域ではあまり見られない、独特の光景なのではないかと思うようになった。
植木畑は現在もまったく変わっておらず、今もなお庭木を育て続けている。むしろ私が中学生だった25年前より、植木畑の面積が増えているような気さえする。
どうだろう。植木やその苗木が整然と並ぶだけではあるが、なんだか不思議でおもしろい光景ではないだろうか。特に新芽が出て色鮮やかな植木畑を見ていると心がうきうきしてくるものだ。新緑の季節は植木畑を観賞するのに適したシーズンなのである。
藤沢市葛原の植木畑
先ほど見た通学路沿いの植木畑は綾瀬市であるが、市境を跨いだ藤沢市の葛原(くずはら)地区にはさらに広大な植木畑が存在する。
植木の栽培はただ苗木を植えて育てれば良いというものではなく、より美しい見た目になるよう整えるのも必須の技術なのだろう。商品として購入してもらえるよう、ニーズのある姿に育て上げるのが植木生産業者の仕事なのだ。
刈り込みがおもしろい植木畑
植木の形状を整える方法としては、成長中の添え木のみならず、成長後に葉を刈り込む方法がある。
同じく藤沢市葛原にある植木畑であるが、こちらは植木が様々な形状に刈り込まれていておもしろい。
いやはや、なんとも遊び心のある刈り込みではないか。子供のいる家の庭木とか、児童公園や幼稚園向けなのだろうか。それにしてもこれほど複雑な形状にできるというのは、相当に高度な技術なのではないだろうか。
植木農家は庭木も凄い
植木畑が存在するということは、当然ながらそれを育てている農家が存在する。植木農家の集落は、どのお宅も非常に立派な庭木を構えているものだ。
このような植木農家の集落を見ていると、植木に対する並々ならぬ思いが感じ取れる。「うちはこんなスゴイ植木を育てているんだぜ」という 、自負を篭めた看板代わりなのだろう。
植木の生産業者は造園を手掛けているところも多いようで、このように植木のみならず庭石もストックしている。様々なニーズに対応できるよう、多種多様な植木、石材を用意しているところに企業の努力がうかがえるというものである。
新緑の植木畑を堪能しよう
というワケで、今回は植木畑および植木生産集落の景色を鑑賞した。新緑の時期ということもあってどの植木畑も鮮やかな色合いを呈しており、清々しい散策ができたと思う。
植木というと昔ながらの日本庭園、あるいはリッチなお宅の庭木というイメージがあるが、マンションの周囲や公園など、意外と身近なところにもあるものだ。
特に近年は敷地面積の何割を緑化しなければいけないという緑化条例を制定する自治体が増えている。地球温暖化防止の取り組みが求められる昨今において、植木生産は将来有望な業種であり、植木畑は今後も増えていくのではないかと思う。