旅行先で名物を買おうと思っていたのに、到着した時にはすでに店が閉店していることってあるよな。……え? ない??
いやいや、無計画な筆者にとってはよく起きる出来事なのだ。今回の富山旅行だってそう。富山名物 ます寿司を買いに来たのに、店が閉まっていた。
そんな筆者のミスをカバーしてくれたのは……なんと、“ます寿司の自動販売機”。やった~! 24時間いつでも美味しいます寿司が食べられるぜぇぇ~~~~!!
・ます寿司屋の夜は早い
ます寿司とは、笹を敷いたわっぱ(木製の丸い容器)に塩漬けした鱒(ます)と酢飯を詰め、重石をして作る押し寿司の一種。1970年代には現在と同じ作り方のものが登場し、現代では駅弁としても親しまれている……と、Wikipediaに書いてあった。
富山市内のホテルに宿泊した際、周辺に店が無いか探してみたのだが、
時刻は19時半。遅すぎたのだ。
老舗ます寿司店『ますのすし本舗 源』の店内は真っ暗で、
すでに閉店してしまっていた。
そ、そんなぁ……。
閉店時間は16時なので、清々しいぐらいに余裕でアウトだ。ます寿司屋の夜は早いのである。残念ながら今日のところは諦めた方が良さそうだ。
──そう思って立ち上がろうとしたのだが、視界の端にチラッと映ったものがある。
おや?
この光は一体なんだろう?
吸い込まれるようにのぞき込んだところ、
自販機だ。
……って、えっ!?!? コレって!
ます寿司じゃあ~~~!!
自動販売機でます寿司が買えるぞぉぉぉ~~~~!!!!
・導入のきっかけは働き方改革
改めて自動販売機を見てみよう。商品はますのすし(1500円)とぶりのすし(1600円)の2種類。どちらも賞味期限は2日後だ。
ぶり寿司も気になったのだが、まずは定番であるます寿司を食べるべきだろう。代金を入れてボタンを押したところ、
軽い音と共に商品が落ちてきた。
取り出し口いっぱいのサイズ。思っていたよりも大きいぞ!
ます寿司、ゲットです!
お腹がペコペコなので、本気で嬉しい。
ちなみに、取り出し口のすみっこには持ち帰り用のビニール袋が入っている。ホスピタリティ高いな。
ます寿司と自動販売機の組み合わせが意外に感じ、後日源本社へ問い合わせてみた。広報担当によると、自動販売機を導入したのは2021年8月。理由はなんと働き方改革とのこと。
以前は365日朝から夜まで店を開け、多くの観光客が買い物に訪れていたのだとか。
しかし従業員の勤務が不規則・超過勤務になりがちという問題があったため、営業時間を短縮し、自動販売機でカバーすることにしたのだそうだ。
従業員はワークライフバランスが安定し、客は24時間いつでもます寿司が購入できる。誰も損をしない素晴らしい仕組みなのではないだろうか……!
・笹の香りが漂う上品な味
さて、さっそくホテルに持ち帰って開封してみた。
筆者にとってはファーストます寿司。もちろんわっぱを見るのも初めてのこと。想像よりもかなりしっかりとした作りの、丈夫そうな容器である。
わっぱのフタは、竹の棒と輪ゴムで固定されている。
昔はゴムではなく紐で縛っていたのかもしれないな。
ゴムを外すとフタが開き、
笹が顔を覗かせる。
1枚ずつ剥がしていく。
笹の葉で手を切りやすいので注意。
ジャジャーン! これが富山名物、ます寿司です!!!!
説明によると、ケーキのようにカットして食べるということで、
プラスチック製ナイフも同梱されていたぞ。ホスピタリティ高いな。
こんな感じかな?
食べる前から既に美味しそう。ますの鮮やかなオレンジピンクが食欲をそそる。しかしなんだろう? 干し草のような、でももっと爽やかで上品な植物の香りがする。
……匂いのもとはすぐにわかった。笹だ。笹の香りが漂っているのだ。
おいしっ!
ますにしっかりと塩味があるので、醤油は無くても良いだろう(あっても美味しいと思う)。甘めの酢飯は程よく水分が抜けてねっちりとした食感。しっかりと固められているように見えたが、酢飯もますも柔らかい。
モグモグと噛んでいると、笹の香りが遅れてやってきた。
笹、めちゃくちゃ良い。笹が無ければます寿司は絶対に成り立たない、縁の下の力持ち的な存在である。
これまで筆者は美味しそうに笹を頬張るパンダを見て「あんな葉っぱのどこが良いんだろう?」と不思議に思っていたのだが、この香り高さは本物だ。パンダって実は美食家だったんだな。
あぁ、今だけ気分はパンダ。愛しき笹(の香り)の旨みぃぃぃ~~~!
自動販売機に感謝。ますのすし本舗 源に感謝。おかげで筆者は富山を満喫することができました!!