コロナ禍でも8割が「紙での締結」–Sansanによる企業の契約業務に関する実態調査

CNET Japan

 Sansanは4月21日、同社が提供するクラウド契約業務サービス「Contract One」において、契約書関連の業務に携わるビジネスパーソンを対象とする「企業の契約業務に関する実態調査」を実施したと発表した。

 調査期間は、2022年3月。調査対象は、契約書に関連する業務に携わるビジネスパーソン1078名。

 コロナ禍の影響でリモートワークを導入する企業が増えたことや、デジタル庁の重点項目に契約分野が挙げられていることなどを背景に、電子契約サービスの活用など契約業務のデジタル化が加速している。一方、未だ多くの企業で紙の契約書が運用されており、印刷や製本、物理的な押印といったアナログな業務が残っていることで、完全なデジタル化ができず、多様な働き方実現の妨げとなっている。

 同社によると、「脱ハンコ」の文脈で押印作業の非効率性に社会の関心が高まった時期もあったが、契約書は法的な制約もあることなどから、残存する紙の契約書や押印作業がもたらす企業への影響や課題の解決については、あまり論じられていないという。

 そこで、紙の契約書運用とそれに伴う押印作業の実態や業務負荷を明らかにし、契約業務のデジタル化における課題を探るため、「企業の契約業務に関する実態調査」を実施した。

 契約書に関連する業務に携わるビジネスパーソン1078名に対し、勤務先で取り扱う契約書の形式・フォーマットについてきいたところ、80.8%が「紙での締結」があると回答。

 また、取引先から「紙でないと契約を締結できない」と指定されたことがある人は、全体の60.6%に上り、自社の意向だけでは紙の契約書をなくせない、電子化が難しいという実態が判明した。

 契約業務において、「現在も物理的な印鑑での押印作業がある」と答えた人は全体の90.4%。その中の32.4%は、「今後も押印作業をなくすことはできない」と考えているという。

 物理的な印鑑での押印作業をなくすことができない理由は、「取引先から紙での契約書締結を求められるから」が56.6%で最も多かった。法的な課題よりも、周辺事情が多く影響していることが分かった。

 現在も「物理的な印鑑での押印作業」がある人の内、押印作業のためにオフィスに出社(ハンコ出社)をしたことがある人は71.9%だった。その内、68.6%はリモートワークに対応した企業に勤務していると回答している。

 また、「押印に関連する作業」にどの程度時間がかかっているか検証したところ、1件あたり平均31分を要していることが判明。押印が必要な契約業務が月平均20件あることから、1人あたり月間約10時間もかかっていることになる。

 現在も「物理的な印鑑での押印作業」がある人の内、67.9%の人が「押印作業に、経営者・役員、役職者の業務時間が取られてしまっている」と回答。押印作業は、現場の社員だけでなく、役職者の業務時間も圧迫している。

 また、「上司のスケジュールに合わせて出社しなければいけない」「押印をもらうために遠くの事業所や本社まで行く」「複数の役職者に決められた順番で押印をもらう必要がある」といった、押印作業に関する非効率な規則や慣習があるとの声も多く寄せられている。

 現在も「物理的な印鑑での押印作業」がある人の内、60.8%が「押印をアシスタントや部下に代行してもらったことがある」と回答。企業内では押印代行がよく行われていることが分かった。

 一方で、押印作業にかかる時間を削減できる「押印代行サービス」については、48.8%と半数近くが「導入を検討したことはない」と回答している。

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