西南極じゃなく東南極っていうのがイヤな感じですね…。
東南極で東京23区2つ分もある棚氷が崩壊して、大きな氷山として分離したそうですよ。東南極としては異常な暖かさのせいだったんじゃないかとのこと。
棚氷が崩壊して氷山の群れに
米航空宇宙局(NASA)とウッズホール海洋研究所の地球惑星科学者であるキャサリン・コレロ・ウォーカー氏は、東南極のコンガー棚氷が完全崩壊する様子を捉えたランドサット衛星とMODISの合成写真を3月24日にツイートしました。1,200平方km(ほぼ東京23区2つ分)の氷がきれいさっぱりなくなって、氷山がたくさん漂う海になっちゃいました。ちなみに、氷山群の長さは約30kmもあるそうですよ。
3万3820平方km(青森と山形と岩手の3県を足したくらい)もある超巨大なシャクルトン棚氷の東側にあったコンガー棚氷が崩壊したのは3月15日あたりですが、崩壊の兆候は3月初旬からあったそう。棚氷は、氷床が陸地から海にせり出して海水に触れている部分のことで、温かい海水に長時間さらされた場所は解けて弱くなっていきます。また、棚氷は氷床が海に向かってすべるのを防ぐブレーキ役も果たしています。なので、棚氷が縮小したり崩壊したりすれば、氷床の海への流入が加速してしまいます。
気候変動との関連はクエスチョン
Scripps Polar Centerのヘレン・アマンダ・フリッカー氷河学教授は、3月に起こったコンガー棚氷を含む3件の棚氷崩壊による氷山流出を、積雪によって重くなった氷床がバランスをとって分離するという、南極の一般的な自然現象と考えられるものの、この地域の異常な暖かさが関係していたかどうかについては分析する必要があると指摘しています。
以下のツイートでは、コンガー棚氷が崩壊していく様子がよくわかります。最後は一気に崩れた感じですね。
3月中旬には、東南極のコンコルディア基地で気温が平年より40度も高くなったばかり。あの時期に東南極でマイナス11度はエグい。大気の川が湿った暖かい空気を運んだためとされていますが、気候変動が寄与しているかどうかはハッキリわかっていません。それと同じように、異常な暖かさが棚氷崩壊につながったのかどうかもわかんないので、ちゃんと調べなきゃねってなっているところです。
南極で起こった棚氷の崩壊としては、2002年に西南極で起こったラーセンB棚氷以来のインパクトとウォーカー氏はガーディアン紙にコメントしています。同氏の話では、コンガー棚氷の縮小は今年の初めから始まっていたようです。エジンバラ大学の特別研究員であるBertie Miles氏は、今回の崩壊は数十年にわたって続いてきた現象の最終段階で、棚氷は1973年から2000年にかけて最も縮小したとツイートしています。専門家のツイートわかりやすくてありがたい。
南極では海氷面積も過去最小に
南極関連では、1979年の衛星による観測開始以来、海氷が最小面積になったニュースが記憶に新しいところ。海氷の平均最小面積と比較すると、今年はカリフォルニア州2個分(日本2つ分よりちょっと大きい)くらい小さかったのだとか。
米国雪氷データセンターで海氷を研究しているウォルト・マイヤー氏の話では、異常な強風によって海水温の高いエリアまで海氷が押し流されてしまったのが原因だそうです。暖かい日がちょっと続いたくらいではあんなに海氷が解けるなんて考えにくく、温かい海水の方が影響を与えやすいと。海水は大気よりも気温の変化がゆっくりなので、いったん海水温が上がると気温のようにすぐに下がったりしませんもんね。
南極でいろんな変化が起きているのは明らかです。今回の観測データや、今後の氷床や棚氷、海氷の研究によって、人間活動による気候変動がどれくらい影響しているのか解明されていくのは間違いないでしょう。