ウクライナ伝承は困難に打ち勝って勝利者になるものが多く、ロシア伝承はじっと待って幸運を手にするものが多い

GIGAZINE
2022年03月30日 06時00分
メモ



2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、「首都キエフ(キーウ)が数日で陥落するのではないか」という事前の予想を覆すものとなっています。この結果についてはいろいろな要因が考えられるところですが、それぞれの国に伝わる「伝承(民話)」の違いがウクライナ人とロシア人の文化的な違いを生み出しているのではないかという説が挙がっています。

How fairy tales shape fighting spirit: Ukraine’s children hear bedtime stories of underdog heroes, while Russian children hear tales of magical success
https://theconversation.com/how-fairy-tales-shape-fighting-spirit-ukraines-children-hear-bedtime-stories-of-underdog-heroes-while-russian-children-hear-tales-of-magical-success-179630


ジョージア州立大学の「おとぎ話の心理学」の専門家ソフィア・モスカレンコ氏と、同じくジョージア州立大学で子どもがどのように暴力に走るのかを研究しているミア・ブルーム氏は、子どもたちが育って大人になり世界観を形成する中で果たす「伝承」の力の大きさを説いています。

ウクライナの伝承といえば「Котигорошко(Kotygoroshko)」や「Кирило кожум’яка(Kyrylo Kozhumyaka)」、「Iвасик-Телесик(Ivasyk Telesyk)」といった、地味な人物が厳しい試練・困難を乗り越え、意志を試され、弱者から勝利者へと姿を変えるものが多いとのこと。主人公は、最初はヒーローになりきれませんが、勇気や賢さ、根性で困難に打ち勝っていきます。

一方、ロシアの伝承は「イワンのばか」のような、弟キャラクターが主役になることが多めです。イワンには通常、複数人の兄がいて、1人は優れており、その他の兄弟は平均的。イワンは兄たちより劣っているように描かれるか、愚か者ではないときは兄たちが一生懸命働いているあいだベッドでごろごろしている怠け者として描かれます。

「Царевна Лягушка(カエルの王女)」や「Сивка-Бурка(シフカ・ブールカ)」、「По щучьему веленью(At the Pike’s Behest)」など、最終的に主人公が勝利者になるというのはウクライナと共通しますが、自らの徳によって勝利を得るのではなく、カエルや馬、魚など、不思議な存在が主人公に手柄をもたらします。

モスカレンコ氏とブルーム氏は、ロシア伝承は「兄のように賢すぎず、努力しすぎず、魔法に期待しながらじっと待つことが成功の秘訣(ひけつ)」と示唆するような内容だと指摘。大人になって危機に直面したとき、こうした伝承から学んだ内容が行動を決定づけることがあるため、これがウクライナ軍とロシア軍の違いの一因になったのかもしれない、と述べています。

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2022年03月30日 06時00分00秒 in メモ, Posted by logc_nt

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